2012年10月01日

プロフィール写真を取るちょっとしたコツ

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写真を撮る際に、標準レンズで撮るのと望遠レンズで少し遠くから撮るのでは写真の歪みが違うというのは知られています。例えばこのページに解説があります。ただ、このページではモデルさんのポーズは同じなものの構図も違い、一概に評価できません。


それでは、撮り方でどのくらい違うのでしょうか?カリフォルニア工科大学のRonnie Bryanらはモデルとなる人をハーフミラーを使って、45cmと135cmの2つの距離で同時に撮影しました。その写真から全く同じ大きさで、左右の目がちょうど水平になるようにして画像を切り出して、被験者に様々な評価をしてもらいました。

下の写真は論文から引用したものです。左の写真が45cmの距離から撮ったもの、右の写真が135cmの距離から撮ったものです。

写真のゆがみ.jpg

この研究では、平均年齢33歳の23人の被験者にその人にどれだけ投資するかという調査を行いましたが、135cmからの顔がより投資を受けるという結果になりました。また、別の実験として平均年齢30歳の45人に魅力、能力、信頼を評価してもらったところ、全てで135cmからの顔がより高く評価されました。

ちなみに45cmと135cmというのは、標準的なパーソナルスペースの中(45cm)と外(135cm)と考えることが出来ます。人はパーソナルスペースの中に入って来られると不快に感じるというのは知られています。この135cmからの方が良いというのは、パーソナルスペースの外のためとも言えます。

また、別の実験では、135cmからの顔の方が、より平均的な顔と評価されました。平均的な顔は魅力的に見えるというのもよく知られた現象です。135cmからの顔の方がより平均的であることは、魅力や能力が高いとみなされる説明にもなっていますね。


これでフェイスブックなどにプロフィール写真を載せる場合には、広角レンズでなく、少し遠めから撮った方がいいということが、分かったのではないでしょうか?その理由にはパーソナルスペースと平均顔が隠れていそうですね。


この記事は以下の論文を参考に書きました。また、顔写真も以下の論文からの引用です。
Ronnie Bryanら, 2012, "Perspective Distortion from Interpersonal Distance Is an Implicit Visual Cue for Social Judgments of Faces", PLoS ONE 7(9): e45301. doi:10.1371/journal.pone.0045301


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年09月24日

偽情報と戦うには?

月面着陸.jpg

アポロの月面着陸を信じている人はどのくらいいるでしょうか??
それではロズウェルの宇宙人が隠蔽されていることは?



世の中には正しい情報だけでなく、様々な間違った情報があります。そして”専門家と称する人”が、インターネットだけでなく一見信頼性の高そうな本やテレビといったメディアでも間違った情報を流しています。それでは間違った情報に対抗するにはどうすればいいのでしょうか?今回は、西オーストラリア大学のStephan Lewandowskyらの研究からその対策を少し見てみましょう。

まず、間違った情報を打ち消すことはできるものの、最初に間違った情報を信じた人を修正するのは大変です。特に大変なのは、自分の宗教観、政治観、世界観にあった情報を打ち消すことです。たしかに、アメリカ政府は陰謀を企んでいると信じている人から「アポロの月面着陸は嘘」だという情報を打ち消すのは難しいでしょう。


それでは、このような間違った情報を信じている人を説得する場合は、どんなことに注意すればいいでしょうか?研究からポイントをまとめてみます。

相手がその事柄をどのように捉えているかを考えてみて下さい。そして、今、相手が信じていることでは説明がつかない説明の隙間がどこかにないかを考えましょう。「人間の脳の90%は使われていない」という話を信じている人に対しては、「どうしてそうなっているの?じゃあ、100%を使っている人間でなくて、10%しか使わない人間が生き残ったのは何故?残り90%を使わない人間よりも、使う人間の方が多くなりそう」という論点が説明の隙間になりそうです。

・間違った情報を打ち消そうとすることで、結果的に間違った情報が広まるということがあります。「アポロの月面着陸は嘘、というのが間違い」と言い続けることで、記憶違いや、わざわざ打ち消すなんてアヤシイ等の理由で逆に「アポロの月面着陸は嘘」という話も広まってしまいます。そこで、「〜でなくて、〜です」と言うのでなく「〜です」といった形で情報を打ち消しましょう。

・この記事の冒頭のような書き始めはよくありません。「こんなことを信じてしまっている人はいないでしょうか。アポロの月面着陸が嘘であると信じている人」のように、間違った情報の前にはきちんと警告をした方がいいです。

シンプルで分かりやすい説明は強いです。私の母親は「自動車関係の大企業の株は持っていれば絶対安心」と信じています。「そんなことない、なるべくいろいろな業界の様々な企業の株を組み合わせてもっている方がリスクが低く平均リターンが高い」と何度言ったところでその理由の説明がわかりづらいので、決して考えを変えようとしません。「右脳は芸術的な能力、左脳は理論的な能力を司る」といった説明が幅をきかせているのも、簡単で分かりやすいからです。

・宗教心が強く「世界は6000年前に神様が作った」と信じている人に、「宇宙は137億年前のビッグバンで起こった」と説得するのは難しそうです。これは背景に強い信念があるからです。ビッグバンの説明や宇宙背景放射の話をしたところで、逆に神様が作ったという信念を強くする可能性が高いでしょう。その人の強い信念に合致している話を、合致していない話で置き換えるのは特に難しいです。


考えれば考えるほど相手が一度信じてしまった情報を打ち消すのは難しそうですね><)

以前に、”一貫性の魔力”では人はそれまで行ったことを続けようとするということを書きました。この一貫性により、それまでの信念を持ち続けます。「えー、ぼく、間違ってたかなー、考え変えるわ」というよりも、「そんなこと言っても、アインシュタインも脳の10%しか使ってないって言ってたよ」とか「脳の10%で人間は生き残るだけの思考力があるし、そこから人間は進化して90%が余力としてある」ととか言ってきそうです。


少しずれるかもしれませんが、”第一印象はとてもとても長い手を持っている!"という記事は、人間にとっては第一印象が強力で、それ以降の情報は第一印象をもとに判断されるというものがあります。これなども、新しい情報によって以前の情報が書き換えられないということを示していますね。


あ、この件については忘却からの帰還さんの”否定論者と戦うときに Again”という記事も参考になります。

この記事は以下の論文を参考に書きました。
S. Lewandowskyら, 2012, "Misinformation and Its Correction: Continued Influence and Successful Debiasing.", Psychological Science in the Public Interest, 2012; 13 (3): 106 DOI: 10.1177/1529100612451018

(文・絵: やまざきしんじ)

2012年09月20日

子供と家族の関係は、希薄になっている?濃密になっている?


博報堂の生活総研から”2000年前後に「アラウンド・ゼロ世代」を追う”というレポートが出ました。これは1997年、2007年、2012年のそれぞれの小学4年生〜中学2年生(年度によっては小学5年生〜中学3年生)の調査を元に現代の子供像をレポートするというものです。非常に読みやすいので是非読んでみてください。


今回はここから、子供と家族との関係を見てみます。

まず、子供が家の中で、どこに一番いるかという調査の結果です。
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次に、子供が家の中では家族といるか一人でいたいか、のグラフです。
child-family.002.jpg

これを見ると今の子供は家族と一緒にいたいという価値観へ回帰しているように見えますね。

それでは、家族と友達との関係はどうでしょうか?家族といるよりも、友達と遊んでいたいのが当たり前な気がしますが...
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グラフを見ると友達よりも家族の方が大事という人が増えています。これは、3.11以降の「がんばろう、日本」といった保守化のムーブメントの影響でしょうか。また同時に、もしかすると以前は固定機のゲーム機のために自分の部屋にいた子供たちが、携帯ゲーム機を持って居間にいるようになったのかもしれません。


子供と家族との関係というと、どんどん希薄なってきていると思っていたのですが、これを見ると必ずしもそうとは言えないようです。

(グラフのデータは全て、上述のレポートより)

(文: やまざきしんじ)

2012年09月06日

急いでいると嘘をつく

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私たちは嘘をつく誘惑にいつもさらされています。Bella DePauloの分類でいう”感情の嘘”という自分の感情を偽るような嘘はいつもついていると思います。これは、全然面白くなったドラマでも、友だちが「昨日の夜のドラマ面白かったよねー!」と言ってきたら、「そうそう、あの最後のシーンは良かったよねー」と思ってもいないのに相手の感情に合わせます。

これは場の空気を見出さず、相手の気持ちを傷つけないための嘘です。しかし、もっと主体的な嘘。例えば、自分の利益のために嘘をつくのはどのような場合でしょうか?

オランダのアムステル大学のShaul Shalviらが、”時間”と嘘について研究しました。


この研究では、2つの実験をしました。1つめの実験では、70人の被験者は2つのグループに分けられて、それぞれ自分しか見えないようにして3回サイコロを振りました。サイコロの目によって報酬が変わるので、1回目のサイコロの目を報告するように言われます。

ちなみにサイコロの目を報告する際には、片方のグループは20秒以内に報告するように言われ、もう一方のグループは報告の時間制限がありません。

この実験では、どちらのグループも嘘をついており実際より大きな目を報告していましたが、時間制限があるグループの方がより嘘をついていました。つまり、人は時間制限がある方が嘘をつくのです。


2つめの実験はほぼ同様ですがサイコロを3回振って1回目の値を報告するのでなく、1回だけサイコロを振ってその目を報告しました。すると、20秒以内に報告するグループはやはり嘘をついてましたが、時間制限がないグループは嘘をつきませんでした。


この研究は何を意味しているのでしょうか?まず時間がない場合に、嘘をつくということです。

次に1つめの実験と2つめの実験の差について考えてみましょう。1つめの実験では、3回サイコロを振ったうちの一番大きい目を報告しようという誘惑があります。このために、制限時間がないグループでも、嘘をつきます。しかし、2つめの実験ではそのような誘惑がないために、制限時間がないグループは正直に報告をするのです。


人間はどうやら、時間がないと思わず嘘をついてしまうようですね。相手に嘘をつかれたくない場合は、十分に時間を与えてから口を開かせるのがポイントのようです。


この記事はAssociation for Psychological Scienceの"When Do We Lie? When We’re Short on Time and Long on Reasons"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年08月03日

長距離バスの心理学

バスの中.jpg

バスで座る席を決めるとします、どの場所に座りますか?なんとなく。手前や奥の隣が空いている場所から人が座って行くことと思います。それでは、全部の席が隣に人がいるとします。それならばどの場所に座りますか?逆に、既に座っている人は、どのような戦術を使って、知らない人が隣に座るのを回避しているのでしょうか?荷物をシートに置いておく?寝たふり?


イェール大学のEsther Kimらは、このようにいつも漠然とみんながやっているバスでの行動を研究しました。何やら文化人類学っぽい研究ですが、立派な心理学とも言えますよね!!(え?違いますか?)

この研究から分かったことは、人は

・他人と目を合わさない
・窓側に身体を傾けて、通路側の席に脚を伸ばす
・空いている席に大きなカバンを置いておく
・通路側の席に座っておき、ヘッドフォンなどで音楽を聞いて、「すみません窓側に通してもらえますか?」というお願いを聞かない
・どうでもいいもの(例えば本とかお弁当の空とか)を空いた席にとりあえず置いておく
・窓の外を無心に見つめる
・寝たふりをする
・ぱっと見は誰かがいるかのように、空いている席にコートをかけておく


といった様々なテクニックを使って隣に人が座るのをガードします。どれも覚えがありますよね!!

もちろん、最終的に満員になりそうな時でもこのようなテクニックを駆使します。しかし、満員ならば特定の人が来たら、アイコンタクトや荷物をどけるフリをして「どうぞ座って下さい」というメッセージを送ったります。これは、同じような年齢、性別といった気に入りそうな人を隣に座らせるというのではなくて、隣に座っても害がなさそうな人を探して座らせます。つまり、人は隣に人が来なければもちろんいいですが、隣に誰かが来る場合は”変な人”が隣に座るリスクを最小化するようにしているんですね。


この記事は以下を参考に書きました。
Wiley. "Strangers on a bus: Study reveals lengths commuters go to avoid each other." ScienceDaily, 1 Aug. 2012. Web. 3 Aug. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)


この本はパーソナルスペースについて書いてある古典ですよね。ちょっと古典すぎるかもしれませんが。

2012年07月30日

ネガティブ・フィードバックはやっぱりもらえない

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世の中は、イイネ!にあふれています。以前、”ナルシシズムの養殖場”という記事でもイイネ!文化について書きましたが、フロリダ州立大学のJoyce Ehrlingerらもネガティブ・フィードバックについて研究をしました。


実験では、人は政治的な変わった主張をしても、ネガティブなフィードバックをもらえないことを明らかにしました。人は、ネガティブなフィードバックをして他人と衝突するよりも、その場をやり過ごすことを選びました。

また、別の実験では、ジョークにみんなが笑いますが、それによってジョークを言った側は自分のジョーク能力を過信します。これは礼儀によって笑ってもらっていることを、笑いの能力と勘違いするためです。


このように、周りからネガティブなフィードバックをもらえないことや、礼儀としてのイイネ!を自分の能力と勘違いしてしまうというのはありそうです。私たちは、自分の能力を過信しないように、よっぽどなことがないとネガティブなフィードバックをもらえないということを肝に銘じておかなければなりません。


この記事はフロリダ州立大学の"Think you're a comic genius? Maybe you're just overconfident, psychology researcher says"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年07月24日

カリスマの3つのテクニック

昨日は、さいころセミナーα@タスクールということで”イエスと言わせるテクニック 説得の心理学”というテーマでお話をしてきました。この準備(と塾の予習)で少し更新が滞ってました..ごめんなさい (_o_)


昨日お話した内容から、今日はカリスマのテクニックについてポイントを3つ説明します。


さいころニュースでも以前”カリスマは生まれついてのものか?”という記事でカリスマについてご紹介しましたが、今日の内容はイギリスのエグゼター大学のアレクサンダー・ハスラムらの研究によるものです。


ここでは、カリスマのポイントとして、3つのものを挙げています。

1.「私たち」で語ること。そして、”私たち”みんなが知っている歴史や名言を使うこと。

4世代と7年前に私たちの祖先たちはこの大陸に、自由の理念から生まれ、全ての人が平等に創られているという命題に捧げられた一つの新しい国を生み出しました。

リンカーンのゲティスバーグ演説はこのように始まります。カリスマは”私たち”の代表です。そのため、”私たち”として話し、また、私たちの歴史や私たちみんなが知っている名言やエピソードを使います。


2.「私たち」のグループにとって、あるべき外見、話し方、言葉の使い方をすること。

バラク・オバマ大統領は、いつも”強いアメリカ人らしい”外見と話し方をしています。また、知的な人たち、白人以外の人たちの代表者といった印象も与えます。このようにカリスマは”私たちの代表らしい”見た目、話し方をしています。


3.グループのみんなが持っている関心事について、結果を「イメージさせる」ストーリーを語ること。

我々は、10年以内に人類を月に到達させる。
それが簡単だからではありません。
それが困難だからです。


これはジョン・F・ケネディのアポロ計画についてのスピーチの一部です。聞けばすぐに何をするのか、が明確にイメージできるスピーチではないでしょうか?

難しい話し方よりもシンプルに「皆さんのためにトンネルを作ります!」と言うのがカリスマらしい話し方です。(←イマドキの政治家ではないですね^^;;)


私たちがカリスマになることはないかもしれません。しかし、この3つのポイントを覚えておくと、例えば飲み会の乾杯の際にでもキレた挨拶ができるかもしれません。


(文: やまざきしんじ)

2012年07月12日

ソーシャルメディアで、倫理観も変わってる?

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ソーシャルメディアによって自己愛(ナルシシズム)が向上するという研究がありますが、実際にはそれほど向上しないというのがノースカロライナ大学ウィルミントン校のBruce McKinneyらによる新しい研究のポイントです。


この研究では233人の大学生について、ソーシャルメディアに費やした時間と、自己愛や開放性の関係について調査しました。その結果、ソーシャルメディアはエゴを増長するよりも、自分の生活を友だち達と共有するためにアクセスしているといった使い方をしていることが分かりました。これまでの研究ではシェアするというのがあっても、同時にソーシャルメディアの使用が自己愛を増長しているとしていましたが、この結果はそれを否定するものです。

この研究での主張はソーシャルメディアの使用の拡大に伴って、自己愛的な行動(例えば自分の写真を載せるなど)の標準が変わってきたというものです。


たしかに、昔はプライバシーのために電話ボックスの中で電話していましたが、現在は携帯電話を使って歩きながら電話したり、人ごみの中でも電話したりします。つい5年くらい前までは、誰でも見えるネット上に写真を載せることを避ける人が多かったのですが、最近はホイホイ載せる人も増えてきました。

このように最近のソーシャルメディアの拡大にともなって「自分の写真を他人に見せる」ことも普通になってきて、その結果として私たちの倫理観や自己愛についての考え方が変わってきたのかもしれません。


この記事は以下を参考に書きました。
University of North Carolina Wilmington. "Redefining what it means to be narcissistic in a social media world." ScienceDaily, 11 Jul. 2012. Web. 12 Jul. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)

2012年06月07日

出産後のフェイスブック使用

出産とフェイスブック.jpg

アメリカでの子供が生まれたばかりの304人を対象とした研究によると、子供が生まれたお母さんはフェイスブックの使用を増やしているみたいです。研究によると、母親は子供が生まれた後に44%が使用を増やしています。一方で27%が使用を減らして、29%が同じくらい使っていると答えました。

ちなみに父親は31%が使用を増やして、19%が使用を減らし、51%が同じくらいの使用です。この出産後のフェイスブック使用を下にグラフにしました。

出産後のフェイスブック使用.001.jpg


また、98%の母親が生まれた子供の写真をフェイスブックにアップロードしたのに対して、父親の83%が生まれた子供の写真をアップロードしました。また、63%の母親は子供が生まれる前よりも多くの写真をアップロードするようになり、73%の父親はより多くの写真をアップロードするようになりました。


やはり、子供が生まれた後は写真のアップロードが増えるようです。また、子供が生まれると、しばらくはあまり外出ができなくなるので、その分フェイスブックの使用が増えるとも考えられます。

この研究はオハイオ州立大学の学部生のMitchell Bartholomewらによる研究です。アメリカでは、学部生の研究が発表されることも多いですね。


この記事は以下を参考に書きました。
Ohio State University. "Many new mothers spend more time on facebook after birth." ScienceDaily, 4 Jun. 2012. Web. 7 Jun. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)

2012年05月21日

EQが高いと、相手の嘘を見抜ける気がする

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EQが高い人は、他人のウソを見抜く能力を過大評価しています。

カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のAlysha Bakerらは、116人を被験者とした調査をしました。まず、被験者のEQを質問紙を使って調査してから、世界中での「家族に帰ってきてもらいたい!」という20のビデオを見せました。ちなみに、このビデオのうち半数は、犯罪者が嘘をついていたものです。

被験者はそれぞれのビデオについて嘘をついているかどうかを判断し、どのくらい自信があるかを報告しました。


この調査の結果、EQが高い人は自分の嘘を見抜く能力を過信していることが分かりました。EQが高いと、自分は社交的だから相手のこともよく分かると思ってしまっているのでしょうか?また、EQは嘘を見抜く能力には関係がなく、情緒的だったり社交的な人間だからといって相手の嘘を見抜くのが上手いわけではないということです。つまり、単に過信しているということですね。

ちなみに嘘を見抜く能力は普通はあまり高くなく、一般的には50%〜60%程度しか嘘を見抜けません。つまり、コインで投げて決めるよりややマシな程度です。


また、EQとはあまり関係がありませんが、”透明性の錯覚”があるため、自分の嘘は相手により見ぬかれやすいと普段から思っていることも、嘘を見抜けると過信するポイントにはなります。


この記事はThe British Psychological Societyの"Emotional intelligence and spotting"を参考にしました。


(文・絵: やまざきしんじ)

嘘に関する本ではこちらの本はオススメです。ポール・エクマンの本もいいですが、このフェルドマンの本は読みやすいです。ちなみに、嘘を見抜けると書いてあるながら、デタラメが書いてある本が多いので注意しましょう。例えば、”嘘をつく時はどこを見る?”などを参考に、デタラメが書いてある本かチェックしましょう。




2012年05月18日

フェイスブックの最新事情

フェイスブック使用.jpg

海外の調査ですが、フェイスブックについての新しい調査結果があるのでご報告します。


フレンドについて

この調査によるとフレンド数の平均は229です。日本のユーザーの平均フレンド数よりも多い印象はありますが、他の研究を見てていてもだいたいこの位の数です。

ちなみに年齢ごとのフレンド数をグラフにしました。

フェイスブックフレンド数.001.jpg

これを見て分かるように若者の方がフレンド数が多いことが分かります。一般に知人の数は年齢を重ねるごとに増えていくのですが、フェイスブック普及率は若者の方が多いと考えられますし、若者の方が気軽にフレンド申請をしているかもしれません。また、平均では、月に7人がフレンドとして増えていきますが、これは使い始めた時期にも依存するので、あまり平均の意味がないかもしれませんね。


フェイスブックユーザーの行動

フェイスブックユーザーは1日に
・平均して15%が、自分のステータスを更新します。
・22%が他人のステータスの更新にコメントをします。
・20%が他人の写真のアップにコメントをします。
・26%が、”いいね”をします。
・10%が他人にメッセージを送ります。

ちなみに、男性は月に6回状態の更新をするのに対して、女性は21回更新をします。男性の方がより仕事で高い位置を占めていてフェイスブックどころじゃないのか、性別によってオンラインでの自己開示傾向が違うのかは分かりません。

また、若者の方がステータス更新頻度は高く、18-22歳では13%が1日何度も更新しているのに対して、23-35歳では7%、36-49歳では4%となっています。これは私たちの感覚にはあうことですよね。

ちなみに5%以下のユーザーは自分のタイムラインを他人に公開しない設定にしています。


この記事は、"PewResearchCenter PublicationsのFacebook: A Profile of its 'Friends"を参考に書きました。英文ですが、他にも様々なデータが載っています。


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年04月28日

偉大なリーダーになる方法(簡易版)

偉大なリーダー.jpg

6つの要素が、偉大なリーダーにしてくれます。

他の人を導くリーダになりたい?それなら、これまで何度も言われてきた偉大なリーダーになるためのコツをお見せしましょう。

HoganとKaiserの2005年の研究では、良いリーダーの一貫した特徴を挙げています。


1.断固としている: 良いリーダーはたびたび決定をし、やり通します。不確実性が高い時に、良いリーダーは選択をして責任を取ります。
2.能力がある: リーダーはグループにリソースを提供すべきです。有史以前の族長は、しばしばグループでの最高のハンターでした。現代では、有能であることは他人に影響力を持つことを意味します。
3.真摯である: 信じられるリーダーは、フォロワーのパフォーマンス、満足、コミットメントを高めます。真摯さが、尊敬を集めます。
4.ヴィジョンがある: 道筋を示すことは不可欠です。道筋が目標を与え、モチベーションになります。ヴィジョンなしでは、フォロワーは道に迷ってしまいます。


偉大なリーダーは同時に偉大なマネージャーでなくてもいいですが、両者には共通点があります。

上の4つの要因は、フォーチュン1000についての研究からなるCollinsの2001年の著書ビジョナリーカンパニー2でも述べられています。この調査では、良い企業を偉大な企業にするさらに2つの要因を見つけました。


1.謙虚さ: 最も効果的なリーダーは目立ちたがりの自慢屋ではなく、控えめで謙虚です。
2.根気強い: 組織のほとんどを変えるリーダーは、決して諦めません。これは頑固であるという意味でなく、目的に向けて歩みを止めないという意味です。

これらの特徴はかなりありふれたものに思われるかもしれませんが、このような特徴を持ったリーダーはほとんどいません。多くの調査での直接の上司についての考えを聞かれた結果は、平均としてリーダーの半分は無能という結果でした。


(英語の記事ですが、リーダーが失敗する7つの理由も読んでみてください)


この記事はPsyBlog"How To Be a Great Leader (in under 300 words)"を翻訳したものです。


(翻訳・絵: やまざきしんじ)

2012年04月27日

チームワークは過大評価されすぎ!

チームの力.jpg

チームワークは、組織のパフォーマンスを常に向上させるのでしょうか?


これはあまりにも明らかな問いに見えます。実際に、すべての求職の要件には「良いチームプレイヤーであること!」とあります。また、組織のどこにでもチームというのがあって、チームは組織のパフォーマンスを高めると言われています。

しかし、実際には、グループでのパフォーマンスについては何百という研究がありますが、素晴らしいチームの力についての証拠はほんの少ししかありません。

チームワークがパフォーマンスを高めるという結果からはほど遠く、チームワークの効果はないかほんの僅かという結果がAllenとHechtの2004年の研究で示されています。

また、Hackmanの1990年の本から、いくつかの典型的なグループの特徴を挙げてみます。
・高いパフォーマンスのグループは一般的でなく、グループは最高レベルから最低レベルまでの様々な能力を持つ。
・グループにいるメンバーは、揉めごとにしばしば時間を使う
・グループはしばしば、パフォーマンス低下のスパイラルに苦しめられる

この研究でのメッセージは明確なものです。チームワークには、一般に言われているように明確な利点はどこにもないのです。それどころか、気ままなチームの作成が、組織のパフォーマンスを低下させます。古典的な例としては、それほど機能しないブレインストーミングがあげられます(英語ですが、ブレインストーミングの記事があります)


チームに「私」はいない

もちろん、人はチームでとても上手く機能することがあります。チームスポーツのようなものでは、目的を達成するために協力する必要があります。

しかし、多くの、本当に多くの仕事では、そのようなチームプレイを必要としません。学者やコールセンターのメンバーは、チームやグループとして働く必要はありません。また、営業や人事や他の様々な部門でさえ同様です。

実際に人は様々なチームに属していますが、チームの多くは個人にとってはあまり大きな意味を持ちません。個人にとってあまり大きな意味を持たなければ、そのチームに対してはあまりを努力しません。(英語ですが、社会的手抜きについての記事があります)


それでは、チームワークというのは単に、流行り言葉なんでしょうか?それとも、何か心理学的な深い意味が何かあるのでしょうか?

AllenとHechtは、チームは心理学的なメリットがあると指摘しています。研究では、パフォーマンスは上がらなくとも、人はチームの一員であることで自信と満足を得るとしています。

しかし、すべての人がチームに上手く対応できるわけでもなく、チームの利益はかなり誇張されていることを忘れないように、とAllenとHechtは述べています。


この記事はPsyBlog"Why Teamwork is Overrated"を翻訳したものです。


(翻訳・絵: やまざきしんじ)

2012年04月26日

友達の写真も意外と大事?

フェイスブックフレンド.jpg

フェイスブックのプロフィールの評価ポイントはどこでしょうか?
自分の写真?それは大事そう。
説明?それは..どうでしょうか?

オランダのトゥエンテ大学のChristina JaschinskiとPiet Kommersの研究は、74人の男女の学生を対象にしたものです。

この研究では、本人の魅力度は同じくらいの男女に関して、プロフィール写真とプロフィールの説明を同じにしておいて、友人の魅力度が変わることでどう反応が変わるかを調べるものです。被験者は架空のプロフィールを見て、質問紙で、友達としての好ましさを10段階で評価しました。

その結果が下です。

フェイルブックのプロフィールの評価.001.jpg

友達のプロフィール写真の魅力度を変えることで、10段階評価で約1の差がついているんですね。

ちなみに、男性のプロフィール、女性のプロフィールを、男女それぞれが評価していますが、それぞれの性別から見たもので大きな違いはありませんでした。この研究は、友達のプロフィール写真のみを変えた研究なので、何がより重要かといったことには触れられていません。


私もそろそろプロフィール写真を変える時が来たかもしれません...まず、髪を切りに行かないと...

ちなみに以前書いた”印象を決めるのは、どっち?プロフィール写真?プロフィール文章?”もオススメ。右側のこれまでのまとめにも、ソーシャルネットワーク関連の記事をまとめてあります



この記事は以下の論文を参考にしました。
Christina Jaschinski and Piet Kommers, 2012, "Does beauty matter? The role of friends’ attractiveness and gender on social attractiveness ratings of individuals on Facebook", Int. J. Web Based Communities, Vol. 8, No. 3, 2012



(文・絵: やまざきしんじ)

2012年04月25日

ツイートの種類と評価

ツイート種類.jpg

カーネギメロン大学(CMU)のPaul Andreらの研究です。この研究では、Who Gives a Tweetというサイトを使って、匿名の1,443ユーザに43,738ツイートをレーティングしてもらいました。

その結果、ツイートの価値は
・読む価値があるもの 36%
・まぁ、いいんじゃない 39%
・読み価値なし 25%

という結果になりました。

ちなみにカテゴリごとに分けたものが下のグラフです。ただの書き込みというのは、「おはよう!」とか、「眠い...」みたいな書き込みです。

ツイートの種類.001.jpg

考えたこと、フォロワーへの質問、情報共有が価値が高いと見なされているのは納得です。面白いのはセルフプロモーションで、価値も高いと考えられていますが、一方で価値なしと考えているユーザも多いという特徴があります。これは、セルフプロモーションの難しさ(やりすぎると価値がないと考えられる?)ことを意味しているでしょうか。

この評価は各ツイートの評価の傾向ですが、書き込みの際の参考になるのではないでしょうか?

この記事はHarvard Business Reviewの"Vision Statement: What Makes a Great Tweet"を参考にしました。


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年04月10日

ナルシストは面接に強い?弱い?

ナルシストの面接.jpg

先日書いた”面接の心理学”では「自信を持った自分を見せる」戦略が面接において有効ということを書きましたが、今度は面接とナルシシズム(自己愛)の関係についての研究をネブラスカ大学リンカーン校の Peter Harmsらが行ったので紹介します。


Harmsらの研究は「自分はすごい」と自己アピールを強く行うようなナルシストが就職面接でどう行動するか、そしてどう扱われるかを2つの実験から明らかにするものです。ナルシストは面接ではより強く自己アピールを行うと考えられますが、実際はどうなんでしょうか?

1つめの実験では、72人の被験者に就職面接を模した面接を行いました。

この実験で、厳しい面接官はアピールに対して「その証拠」を求めます。例えば「営業として、トップの成績をとった」というならば「どのような方法で営業をしたか、どういうお客さんからどのくらいの成約をしたか」といったこと尋ねます。

このような「証拠」を求められる面接官に対しては、ナルシストじゃない人は”あまりアピールをしない”という戦術をとりますが、ナルシストはこのような面接官に対してはより強く自己アピールをするという戦術を行います。つまり、ナルシストは「証拠」を求められても強くアピールする”本物”に見えて、ナルシストでない人は「証拠」を求められると一歩引く”偽物”に見えてしまうのです。


2つめの実験では、222人の評価者が同じような仕事のスキルで様々なナルシシズムのレベルの面接者を評価しました。

この結果、評価者は自己アピールをする人をとても高く評価しました。笑顔でジェスチャーが多く、すぐに大量に話すようなタイプの人です。つまり、仕事のスキルが同じ場合は、ナルシストを高く評価してしまうということです。


この2つの実験はとても面白い結果です。職種にもよりますが、同じスキルレベルならば、当然ナルシストよりもナルシストでない人を採用する方がいいでしょう。もし、人を面接するならば、このような傾向があることを知った上で、相手のナルシスト具合を判断して、ナルシストは割り引いて評価するように注意しないといけないということです。


就職(転職)面接でなく、給料交渉に関してですがこういった記事を以前書きました。面接の際には参考になるところがあると思います。
給料交渉の10の方法
女性は交渉をあまりしない?


この記事はnewswiseの"How Do I Love Me? Let Me Count the Ways, and Also Ace That Interview"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年04月03日

上司を操る方法?

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多くの会社では昨日から新入社員が入社して、フレッシュな雰囲気とぎこちなさが会社にあるようです。新入社員に限りませんが、どう上司と接すればいいのでしょうか?


南カリフォルニア大学のYeri ChoとNathanael Fastの研究は、上司との関係にヒントをくれます。

Choらの研究は、被験者に対して、別の部屋にいるパートナーとのやりとりを行うというものです。被験者は、別の部屋にいるパートナーに対して、ノートを使ってやりとりをします。そして、パートナーが書いた「あるモノの組み立て方」の説明に対してフィードバックを行います。

この時に2つの条件があります。1つめは、被験者の一部は「相手を評価するように」と言われ、もう一方は「相手にフィードバックを与えるように」と言われます。評価をするのは上司にあたる権力者タイプと、評価しないのは同僚タイプと考えることができます。

フィードバックの後には、被験者の一部には相手から「フィードバックしてくれてありがとう」という感謝の言葉がもらえ、もう一方は感謝の言葉はもらえません。

※ちなみに別の部屋にいるパートナーというのはウソで、本当はみんなに同じノートをやりとりをしています。


この実験を行った後に、被験者にパートナーの能力について評価するように聞きます。すると、自分が相手を評価するという権力者タイプの場合は、相手が感謝の言葉を伝えると普通に能力を評価しますが、感謝の言葉を伝えてこないと能力を低く評価します。一方で、相手にフィードバックを与えるだけの同僚タイプの場合は、相手からの感謝に関わらず相手を普通に評価します。


つまり、この実験から分かることは、もし感謝の言葉がないと、上司にあたる人は不当に低く能力を評価してしまうということです。一方、同僚の場合は感謝の言葉は評価には影響をしません。

ちなみにこの研究では、「上司への感謝は短期的には有効であるが、長期的にはよくわからない」と主張しています。長期的には、感謝の言葉に頼らず、状況をコントロールできるようになるべき、ということのようです。


この記事は以下を参考に書きました。
University of Southern California. "How to handle your insecure boss." ScienceDaily, 29 Mar. 2012. Web. 3 Apr. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)

2012年03月28日

カリスマは生まれついてのものか?

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カリスマは生まれついてのものなのでしょうか?それとも後から身につけられるのでしょうか?”カリスマ入門”という本では身につけられるスキルとなっていますが、”カリスマ入門”は”いわゆるカリスマ”を茶化した本ですし、実証的な研究に基づいた本でもありません。

たしかに、定期的にフェイスブックに
「会社人間や社畜はかっこ悪いと言われているが、それでも俺は毎日全速力で仕事をするんだ!!もちろん家庭も大事にする。みんなに無理と言われても、絶対にあきらめない!!」
とポストし続けていればカリスマっぽくは思われそうです。でも、それは本物のカリスマ性じゃなくて、単なるカリスマアピールですよね。


このカリスマが向上するかの研究をフランスのローザンヌ大学の John Antonakisらが行いました。これは34人のマネージャーを対象にしたものです。最初に被験者のマネージャーは360度評価でリーダーシップとカリスマを評価されます。1ヶ月後に半分のマネージャーの17人はカリスマ向上の教育を受けます。そして教育の3ヶ月後に、再び360度評価を受けます。

するとカリスマ向上の教育を受けたマネージャーはカリスマが向上していましたが、教育を受けていない人はそのままでした。つまり本物のカリスマ性も身につけられるということです。

それでは、どういったことを身につければいいのでしょうか?

この教育では、カリスマになるための手法として、
・メタファーを使って話す
・ストーリーで伝えたり、史実を話す
・倫理的な信念を見せる
・みんなと感情を分かち合う
・高い期待を設定する
・相手に信用していると伝える
・コントラスト、様々なものの数え上げ、自問などのレトリックを使う

といったことを挙げています。

今、よくカリスマとしてスティーブ・ジョブズやバラク・オバマが挙げられます。彼らのスピーチを見ると、たしかに凄いと感じます。そして、やはりカリスマ性は身につけることができるようです。

この記事はBPS Occupational Digestの"Charisma involves teachable behaviours"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)

John Antonakisのビデオがありますので貼っておきます。



以下は(薄い)カリスマを茶化した素敵な本です。

2012年03月07日

印象を決めるのは、どっち?プロフィール写真?プロフィール文章?

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フェイスブックのプロフィール写真についてはこれまで何度か書きました。”プロフィールとプロフィール写真、好感度の高いのはどういうの?"という記事では、アンケートで評価の高かった写真のタイプを書きました。また、”オンラインデートの10の法則”では、海外のオンラインデートサイトの事例で評価の高かったプロフィール写真について書いています。


たしかに、ソーシャルネットワークでは、プロフィール写真が相手への第一印象になります。この重要性を説明するような面白い研究をオハイオ州立大学のBrandon Van Der Heideらがおこないました。

実験では、195人の大学生が、大学仲間という設定の偽のフェイスブックのプロフィールを見てこの相手の外向性を評価します。プロフィールは写真と自分についての文章からなります。被験者はその写真と文章から、その相手の外向性を1から7で評価します。

この実験で使ったプロフィールは以下の写真と文章の組み合わせです。

・写真
1.友達と遊んでいる写真 (外向-写真)
2.公園のベンチに一人で座っている写真 (内向-写真)

・文章
A.「私はたくさんの友達と一緒に遊んでいる時が、一番幸せ」 (外向-文章)
B.「私は、自分の部屋で素敵な本にかじりついている時が、一番幸せ」という文章 (内向-文章)

そして、この4つのプロフィールの評価は以下となりました。

プロフィールの評価.001.jpg

これを見て分かるように人は、外向的な写真でさえあれば、プロフィール文章がどうなっていても、その人を外向的とみなすようです。つまり、写真の印象の方がプロフィール文章よりも強力ということですね。まず、写真でイメージを決めて、その後で文章で補足するといった感じでしょうか?

ちなみに、写真がポジティブな印象だと、文章がネガティブな印象でもそれを吹き飛ばしているのも注目点ですね。


ただし、これは第一印象に関しての研究と言えます。実際にその人が信頼できそうかといったことを評価するにはプロフィール文章が大事だと思いますが、それはまた別のお話...


この記事は以下を参考に書きました。
Brandon Van Der Heideら, 2012, "The Effects of Verbal Versus Photographic Self-Presentation on Impression Formation in Facebook.", Journal of Communication, 2012; 62 (1): 98 DOI: 10.1111/j.1460-2466.2011.01617.x


(文・絵: やまざきしんじ)

2012年02月29日

ソーシャルネットワーク、いい書き込み悪い書き込みトップ3

先日開催したさいころセミナー「ソーシャルネットワークの心理学」では、参加者の方に『「いいね!」「コメント」アンケート』に回答してもらいました。ありがとうございます!!

このアンケートの目的は

・SNSではどんな書き込みに「いいね!」やコメントがしたくなるか?
・SNSではどんな書き込みの印象がよいのか?または印象が悪いのか?


を調べることでした。
回答人数が19人と調査人数としては少なめですが、ある程度の一般的傾向はつかめるかと思います。

今回は印象のよい書き込み、よくない書き込みに関する集計結果の発表です。

アンケート回答人数:19人
方法:よくあるSNS上での書き込み15個の中から、「好きな(印象のよい)書き込み」を3つ、そして「嫌いな(興味がない)書き込み」を3つそれぞれ選んでもらいました。

それでは、好きな(印象のよい)書き込みトップ3からの発表です!
こちらの結果は比較的安定したものでした。みんながいいと思う書き込みはだいたい同じなのかもしれませんね。

好きな(印象のよい)書き込み第3位!
きれいな風景
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自然の風景は好感度が高い!みんな癒しを求めている???

好きな(印象のよい)書き込み第2位!
おもしろネタシェア
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くすっと笑えるオモシロ画像は多忙なビジネスマンの一服の清涼剤。このオモシロさを伝えたい!とシェアの輪も広がります。

好きな(印象のよい)書き込み第1位!
喜びの報告
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自分のことじゃないけれど、誰かがどこかで喜んでいる声はやっぱりみんな嬉しいんです。他人の喜びの報告が好きな書き込みの第1位とは、なんて素敵な結果なんでしょう!!


さて、次に嫌いな(興味がない)書き込みトップ3の発表です。
激しく嫌い!というよりも「あえて言うならまあこういう書き込みはどうでもいい」という感じで回答される人が多かったかと思います。好きな書き込みに比べて回答にバラツキがあるのも特徴でしょうか。

嫌いな(興味のない)書き込み第3位!
2つあります。
あいさつ
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「おはよー」「おやすみなさーい」などのあいさつはそれほどみんな興味ないみたいです。あいさつをする場合は、追加情報を入れるといいかも。

オレ語り
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突然自分のモットーとか生き様とか語られても困るんです。いや確かにあなたがカリスマならばその一言は多くのフォロワーに生きる勇気を与えるでしょう。でもあなたがカリスマじゃなければオレ語りは控えめにした方がいいかも。

嫌いな(興味のない)書き込み第2位!
誘うような誘わないような…
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一体あなたはどうしてほしいんですか!!読んでるこっちももどかしいわ!相手に何を求めてるのかはっきり言った方がいいですよ!

嫌いな(興味のない)書き込み第1位!
2つあります。
診断メーカー系
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誰かがやると一気に広がる診断メーカー。タイムラインが診断メーカーで埋め尽くされることもしばしば。本人はやってて楽しいかもしれませんが、読んでる方はそんなに楽しくないのかも。いや、話題提供のためにやってるのよ!という人もいるかもしれませんが、どうせ話題提供をするなら診断メーカーなんて安易な方法に頼るんじゃなくて、自分で考えたネタで話題提供しましょうよ。

今日の予定報告
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あなたが首相だったら確かにそれはマストかもしれません。でもそうじゃなければその日1日の予定をわざわざアピールしなくてもいいんです。忙しいアピール?
ただし、日常の忙しい予定報告は印象が悪いようですが、「今日は遊園地に行ってきます」「旅行に行ってきます」といったスペシャルな予定の報告についての評価は調べていないので、今後のアンケートで明らかにしていきたいです。

そんなわけで、まずは好きな書き込み・嫌いな書き込みトップ3の発表でした。
この結果から仮説として導き出せるのが、

「ポジティブな書き込みや、他者にシェアしたいという気持ちの見える書き込みは評価が高い」
「バカポジティブすぎてナルシシズムが入った書き込みは嫌われる」


ということでしょうか。

喜びの報告やオモシロネタのシェアはみんなから受け入れられますが、過剰なナルシシムズの発露には実はみんなうんざりしているのかもしれませんよ。

面白い結果だったので、もっと人数を多くして改めて調査したいです(協力者激しく募集!!)。

なお、詳しい集計結果については以下のPDFにまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。

「いいね」アンケートいいコメント悪いコメント結果.pdf

次回は、「どんな書き込みにいいね!やコメントがしたくなるか」についての集計結果を発表したいと思います。

(集計・文 やまざきゆきこ)