2011年10月16日

困惑する人は、寛大な人?

任意のタイトルを入http://pixta.jp/mypage/manager/?edit=1&img_no=3088250&img_no=3088253&img_no=3088254&img_no=3088255&img_no=3088256&img_no=3088257&img_no=3088259&img_no=3088260&img_no=3088261&img_no=3088262&img_no=3088263&img_no=3088264&img_no=3088265&img_no=30882 - 写真素材
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カリフォルニア大学バークレー校の Dacher Keltnerらは困惑に関しての研究をしました。

1つめの実験では、60人の大学生が被験者となりました。まず、ビデオで録画されて困惑する場面の数をカウントされました。その後、10枚の宝くじのチケットを渡されて、独裁者ゲームをしました。独裁者ゲームというのは、独裁者が民衆にあげるチケットの枚数を決めて、それから民衆が自分と独裁者が決められた枚数のチケットを受け取るか、自分も独裁者も受け取らないという選択をするというものです。つまり、独裁者は、民衆が怒り出さない範囲でチケット枚数を配分するのです。

その後に、クレイグリストで募集した38人を被験者として、普段どのくらい当惑を感じるかを尋ねてから、同様に独裁者ゲームをして、当惑と寛大さの関係を調査しました。

この結果として、より困惑をする人は、よりたくさん民衆にチケットを配分します。つまり、困惑する人は寛大な傾向があるのです。


2つめの実験では、被験者は俳優が「テストで満点だった」と話しているのを見ます。この時、一部の俳優は困惑しながらしゃべって、一方の俳優は自慢っぽくしゃべります。それから被験者が相手の俳優を信用しているかどうかを調べるために、ゲームをしてもらいました。この結果、被験者は困惑を見せた俳優に対して、より打ち解けさせることが分かりました。


困惑をしている人を見ると、たしかに親近感を感じるのは納得がいきます。しかし、より困惑をする人が、寛大というのは興味深い結果でした。


この記事はカリフォルニア大学バークレー校の”Easily embarrassed? Study finds people will trust you more”を参考に書きました。


(文: SY)

2011年10月05日

表情を読んでる?空気を読んでる?

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ノースイースタン大学/マサチューセッツ総合病院/ハーバード医療学校のLisa Feldman Barrettらの研究は、人が顔の表情を読む時には、状況に依存していると述べています。

表情は生得的なもので民族や文化などの影響を受けないなどと言われています。たしかにポール・エクマンの本を読んでいると、そのような印象を強く持ちます。しかし、Barrettらによると、人の表情を読む時にはその顔だけでなく周りの状況などの影響を強く受けているのです。

認知症や一部の病気の人は、他人の表情を読むのが上手くないため、実際の人の表情を読むことができても、漫画のような一枚の絵では前後の状況がないために表情を読むことが難しいそうです。

また、表情を読み取る時にも文化の差があります。西洋人は表情自体から感情を読み取る傾向がありますが、日本人は表情自体に加えて周りの状況からも相手の感情を読み取る傾向がより強いのです。


以前、さいころセミナーで”嘘の心理学”というテーマでやった時に、人の表情から嘘を見抜くことがとても難しいという話をしました。しかし、日常生活では表情から相手の嘘を見抜くことがあります。これは顔の表情からよりも、周りの状況や話の内容を総合して、嘘を読み取ったと考えるべきかもしれません。


このように人が表情を読み取る際には、顔自体だけでなく前後の状況から相手の表情を読み取っているのです。逆にいえば「相手の表情が悲しそうだった」と考える際には、本当に悲しそうな表情をしていたのか、周りの状況からして悲しそうに見えたのかをキチンと把握しないといけないということです。


この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "In reading facial emotion, context is everything." ScienceDaily, 3 Oct. 2011. Web. 5 Oct. 2011.

元の論文情報はこちら。
L Barrett, K Lindquist, M Gendron. Language as context for the perception of emotion. Trends in Cognitive Sciences, 2007; 11 (8): 327 DOI: 10.1016/j.tics.2007.06.003

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(文: SY)

2011年10月03日

男だって協調性がある!

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女性は男性よりも、周りと協調することが上手いと言われています。たしかに私たちの生活を考えると、女性の方が周りの雰囲気に合わせることが上手い気がします。しかし、この直感は正しいのでしょうか?

シンガポールマネージメント大学とオランダのアムステルダム自由大学の両方に属するDaniel Ballietらの研究は、過去50年の社会的ジレンマについての272の研究を対象としたメタ分析です。メタ分析というのは、これまでに行われた様々な研究の結果を集めてさらに精度を高めた研究です。このメタ分析の対象はアメリカ、オランダ、イギリス、日本を中心とした18ヶ国のもので、延べ31,642人を対象としています。


ちなみに社会的ジレンマというのは、囚人のゲームとして知られているような状況です。囚人のゲームでは、二人が黙秘すれば二人とも解放される、片方が自白してもう一方が自白すれば自白した人はより軽い刑で黙秘した人は重罪、二人とも自白したら普通の罪になる、といったものです。

この囚人のジレンマのような社会的ジレンマの状況は、個人の利益と社会の利益のどちらを重視するかといった問題といえ、通常の生活においてもよくある状況です。例えば、個人的には残業したくないけど残業をすれば、会社にとっては利益になるといった状況や、原始時代においては猛獣を狩る時に誰が先陣になるかといった状況になります。


この研究では、社会的ジレンマの状況では、男性も女性と同じくらい協調的な行動をすることが分かりました。さらに、男性は相手が男性の場合により協調的になり女性も相手が男性の場合により協調的になることが分かりました。

この研究では、この男性は男性と、女性も男性とより協調する理由を進化心理学的に説明しています。昔は、男性は狩猟や戦いのために男性と協調する必要がありました。一方、女性は多くの場合は男性を取り合うという点で他の女性が敵になり、男性は味方になります。また原始的社会では女性は成人すると他の部族に行くことが多く、女性は部族内の他の女性とは血縁でないため協調しないということになります。

この理由付けが正しいかどうかはともかくとして、研究の結果は意外なものだと思います。

一般的には”女性の方が男性よりも協調的である”と言われていますが、実際には違うようですね。私も人あたりの柔らかさやコミュニケーションスタイルと協調性を混同していたようです。


この記事は以下の記事を参考に書きました。
American Psychological Association. "Men and women cooperate equally for the common good, study finds." ScienceDaily, 22 Sep. 2011. Web. 3 Oct. 2011.

元の論文はこちら。
Daniel Balliet, Norman P. Li, Shane J. Macfarlan, Mark Van Vugt. Sex differences in cooperation: A meta-analytic review of social dilemmas.. Psychological Bulletin, 2011; DOI: 10.1037/a0025354


(文: SY)

2011年09月27日

自己愛的なリーダーの問題

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■自己愛的なリーダーは、集団での情報共有を減らし、課題のパフォーマンスを低下させる。

自己愛的なリーダーはあらゆるところにいる。スティーブ・ジョブズ、ニコラ・サルコジ、ビル・クリントンを考えてみればいいだろう。

通常、私たちはナルシストの自己肥大した自分についての意見を共有することはないが、リーダーシップに関しては話は違ってくる。ナルシストはよきリーダーのすべての特徴の表現の仕方を知っている。つまり、彼らはセルフ・エスティームが高く、自信があり、権威を示す。研究では、彼らはリーダーなきグループを自動的に引き継ぐことを示している(Brunell et al., 2008)。

しかし、どのように自己愛的リーダーは集団のパフォーマンスに影響するのだろうか。Nevickaら (2011)が Psychological Scienceに掲載された新たな研究の中で問うのはまさにこの疑問である。

リーダーの仕事の1つは、グループメンバーのコミュニケーションを促進することである。もしも情報がグループメンバーの間で共有されていれば、よりよい意思決定がなされるだろう。だから、ナルシストは情報がグループメンバー間で共有されるためにどんなことをするだろうか。

Nevickaらの研究で明らかになったことは、自己愛的なリーダーはグループ間の情報共有を低減させ、グループのパフォーマンスを悪化させるということである。

しかし重大なことは、これがグループで知覚されていないということだ。グループはナルシストが実際には(課題のパフォーマンスによって測定されたように)よい仕事をしていないときでも、よい仕事をしていると考えていた。この知覚はおそらくダイナミックである。

「時間の経過とともに、グループメンバーが持っている自己愛的リーダーのポジティブな印象は減少するだろう。事実、先行研究ではナルシストに抱く第一印象は好ましいものであるが、それは時間とともに減少することを示してきた(Paulhus, 1998)」

しかしその時まで、ナルシストは支持されつづけるのである。


この記事はPSYBLOGの”The Problem With Narcissistic Leaders”を翻訳したものです。

(翻訳:山崎Y)

2011年09月24日

友達の選択肢は多いより少ない方がいい??

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ウェルズリー大学のAngela Bahnsらの研究は、交友の範囲と友達についてのなかなか面白い研究です。

この研究は中西部の500人くらいの小さな大学と、25000人以上いる大きな大学と比べたものです。

それぞれの大学で、学生に態度や宗教や政治などを聞きました。すると、大きな大学では、友人同士が小さな大学より、より似ていることが分かりました。これは人は自分と似た人と友達になるし、大きな大学では多くの人がいるからより自分と似ている人をみつけることができるためです。

一方で、友人同士の親密度を図ると、小さな大学では大きな大学より、より仲が良いことが分かりました。これは大きな大学では友達候補がより多いため、友達を替えることが容易なため満足度が下がってしまうと考えられます。

友達の選択肢が多いことは、より似た人を見つけることが容易になる反面、友達を交換することも容易という問題があるんですね。


元の論文はこちら。
A. J. Bahns, K. M. Pickett, C. S. Crandall. Social ecology of similarity: Big schools, small schools and social relationships. Group Processes & Intergroup Relations, 2011; DOI: 10.1177/1368430211410751

この記事は以下を参考に書きました。
SAGE Publications. "With more choice, friends are more similar, but not closer." ScienceDaily, 22 Sep. 2011. Web. 24 Sep. 2011.


(文: SY)

2011年09月20日

Facebookの顔出し比率は、男性67%、女性61%

フェイスブックではどの位の人が顔出しをしているのでしょうか?

日本では花王が以下のリンクで調査をしています。

SNSホンネ調査

これは20-29歳の男女にWebアンケートをした結果で、男性206、女性104の結果です。

結果として、ソーシャルメディアに顔を出しているのは、男性19%、女性36%という結果を得ています。これは妥当なのでしょうか???花王の調査はFacebookに限っておらず、”ソーシャルメディア”全体を対象としたものになっています。


というわけでFacebookに限った調査をしてみました。ランダムに選んだ知人の知人の知人(ただし日本人が対象)の写真を調査分類してみました。Facebookの平均ネットワークサイズは4.6という研究があったはずなので、日本人を対象とするならば、悪くないランダム性だと思います。ちなみに調査日は2011/9/20でサンプル数は男性173,女性134です。

写真は、顔/上半身を出している写真、全身を出している写真(一人で写っている)、顔の一部が写っている写真、他人と写っている写真、家族と写っている写真、似顔絵、その他(物やペットの写真やマンガのキャラなど)、写真未設定と分けています。

(ちなみに今回の調査では、明らかに本人じゃない写真(有名人の写真)というのは見つけられませんでしたが、実際には本人の写真でなく別の人の写真である可能性はあります)

結果は以下のグラフです。左側が男性、右側が女性です。

facebook-profile-pic.001.jpg

見て分かるように、顔の一部を含めて日本でFacebookで単独で顔出しをしているのは、男性67%、女性61%です。Facebookに限った比率としては、直感に合う結果ではないでしょうか?また、他人と写っている写真(例えば飲み会やパーティーの写真などで自分がどれかは分からないもの)も含めて、写真を出しているものは、男性78%、女性71%となります。

これは、知人の知人の知人という条件をつけたことで、実際に使用しているアクティブなユーザーが主な対象になっているという効果があると思います。


ちなみに今回300枚近いプロフィール写真を見てきましたが、やはりプロフィール写真の巧拙というのは出ますね。別途こういった写真の条件ごとの好感度も測ってみて報告したいと思います。


(文・調査: SY)

2011年09月15日

ツイッターの心理学


ツイッターの心理学の研究は、誰がツイートしているか?どのくらいツイートしているか?何を話しているか?そして、それはなぜか?、を明らかにします。

現在、世界で1.9億人(※)のユーザがツイッターをやっていて、毎日6500万人がツイートをしています。アメリカのインターネットユーザーの19%が、ツイッターか似たようなサービスを使っており、前年の2倍のユーザが使っています。

※訳注2010年時点

それでは、誰が、なぜ、何を、ツイートしているのでしょうか?そして、ただのちょっとした文字の転送システムが魅力的なんでしょうか?

ツイッターがなかった2006年までは無理でしたが、以前からのソーシャルネットワークにいていない面を研究から指摘されています。ここに10の研究があります。いくつかは明らかなものもあります。

私たちが研究にとりかかる前に、ツイッターに不慣れな人のために簡単な説明をしましょう。


ツイッターって何?

ツイッターは、ソーシャルネットワークとブログを混ぜあわせたものです。ブログとしては、ユーザーは公開された140文字の”ツイート”(つぶやき)を読み書きします。ソーシャルネットワークとしては、ユーザーは誰か他の人を”フォロー”して、他者と会話します。また、”リツイート”という仕組みや他者のメッセージを自分の他の”フォロー”している人に転送することができます。


1.ツイッターは、伝言ゲームのようなもの

メッセンジャーは短くて、素早くそして簡単に拡めることができます。ツイッターは、ユーザーに速いペースの会話を好ませます。(Boydら,2010) 通常の会話との違いは、様々なやりとりの中の一部となっていることです。それは、パーティーで10の違ったグループに同時に参加しているようなものです。

あなたが通常の会話で認識するプロセスの全ては、ツイッターでも行われています。多くの情報は、単に繰り返されます。しかし、メッセージは、人が自分なりに評価したり、再解釈や誤解をしたりすることで、伝言ゲームのようにだんだんと改変されていきます。

しかしツイッターは、違った方法でも使われるため、常に会話のようには捉えられていません。会話としてのみでなく、時々は指示や、驚きの表現や、考えることを助けるものです。言い換えれば、ツイッターはソーシャルであるだけでなく、情報システムの一部なのです。


2.人は、友達につられてツイッターを始める

Javaら2007の初期のツイッターのネットワーク分析は、人は友達が既に使っているから使う、ということを示しています。このネットワークは、電話のネットワークの分析結果に似ています。

ユーザーの多くは、単にインターネットに何かを期待した人です。新しいサービスはしばしば無料なので、ユーザーはこのような標準的な技術を簡単に”様子見”して、確認することができます。そして、よく知られたように、無料というのは私たちにとって大変に魅力的な価格です。ユーザーの数よりも、それを何に、そして何故つかっているのかの方が興味深いです。


3.ほとんどのツイートは、バブル

学問的な研究ではないですが、分析会社からツイッターでの1週間以上の話していた2000のツイートをカテゴリーに分けた結果があります。これらは6つのカテゴリーに分けられています(Javaら2007も同様の割合を報告しています)

1.無意味なバブル 41%
2.雑談 38%
3.リツイートなど 9%
4.宣伝 6%
5.スパム 4%
6.ニュース 4%

”無意味なバブル”と呼ぶものは、社会的なやりとりとも言われます、これは「おつかれ」、「おはよう」などのちょっとしたやりとりです。誰か「元気?」といって「うん、元気」、と返す時は、情報は少ないものの、”無意味”ではありません。


4.平均年齢は31歳

ツイッターユーザーの平均年齢(メジアン)は31歳です。MySpaceは26歳、フェイスブックは33歳、LinkedInは39歳です。予測される、ツイッター人口の増えそうな年代は18−24歳です。(Pew, 2009)

※この記事は2010年のものです。


5.男性はツイッターのリーダー

HeilとPiskorski,2009の研究は、ツイッターの性別の違いについて、いくつかの示唆があります。研究では、女性は男性よりもツイッターを少し多く使っています(ユーザーの55%は女性)、しかし、男性は女性よりも平均40%(※)多くフォロワーを持っています。また、男性は女性よりも2倍多く男性をフォローします、そして女性は男性を25%多くフォローします。一方、男性も女性もツイートする頻度は変わりません。 

※訳注: 原文では15%だが、元の記事より修正。

この研究は、女性は男性と女性の両方からのソーシャルネットワークに注意を払っているという仮説を示しています。

”心理学的に男性と女性はとても似ている”という記事で指摘しているように、男女の性差のレポートは注意すべきです。しかし、ツイッターは、平均的には少し男性向きなのかもしれません。


6.20%は”インフォーマー”で、80%は”ミーフォーマー”

Naaman,2010は、ツイッターから集めた350のメッセージからユーザーを以下の2つに分けました。

・インフォーマー: 20%の、他者に情報を伝えたり、返事をしたりする人
・ミーフォーマー: 80%の、自分達自身についてついて話す人

インフォーマーは、多くの興味のあることを伝えたり、自分自身について話さないので、より大きなソーシャルネットワークを持つ傾向があります。

この2つの分類は、ツイッターを使う異なる方法のヒントになります。また、ツイッターの”会話”としての面が誇張されていることを示しています。もし80%のユーザーが他人に返事をしなければ、ソーシャルではありません。


7.トレンドは一回であり、短期的

特定の話題のツイートは稀に1週間以上続きますが、普通は2,3日も続きませんKwakら,2010)。ほとんどの話題は、1回限りのトレンドですぐに消えて、普通は二度と戻ってきません。トレンドの85%は新しいものです。

このようにトレンドが短い理由は、特定のキーワードやフレーズが使われるのは、とても特定の具体的なものだからと考えられます。


8.平均ツイート数は1

ツイッターユーザーの人生でのツイートの中央値は1です(HeilとPiskorski,2009)。このことは、ほとんどの人はサインアップして他の人をフォローするか全然使わないことを示しています。繰り返しますが、これは”無料”の力が、参入の敷居を下げていることを示しています。


一方で、ユーザの10%がツイートの90%のを占めます。このことは、他のソーシャルメディアがそこまで一部に偏重ではないことと対照的です。HeilとPiskorskiは、この点は、Wikipediaのようだ、と述べています。たくさんのフォロワーのいるユーザの多く(全てではない)は、当然のことながら、有名人です。

この一部のヘビーユーザがいることは、興味深い人でいるということは、誰もが手に入れられる才能ではない、という事実を反映しています。ほんの少しの人だけが、有名である、興味ふかい、と思われる上手い方法をみつけています。


9.心配の存在が、ユーザーに興味を起こさせる

ツイッターはしばしば私たちの自己中心的な時代にとって完璧なものと厳しく言われます。それは、フォロワー(追従者)を集めて、自分たちについて語り、そして、それ以外のことを聞かないからです。

Qiuら,2010の研究は、社交的な人の間で、心配ごとの存在がツイートを起こさせることを示唆しています。同じ研究は、しかし、社交的でない人にとっては、このようなことが起こらないことも示しています。


ツイッターについてポジティブな言い方をすると、ツイッターは簡単に使える単に楽しいおもちゃにすぎない、のです。それは、ブログよりもかなり簡単で、めちゃくちゃできて、いろいろ書かなくてよくて、そしてインターネットを少し家庭的に使えるようになります。同時に、それはフェースブックや他のソーシャルネットワークのようにあなたにたくさんの情報を見せて支配しようとしたりしません。ツイッターは自分が見たいものだけを見えるもので、フェースブックほどソーシャルじゃないツールなのです。


10.ツイッターは、ソーシャルというよりも、情報

ツイッターは他のソーシャルネットワークよりも、より情報重視で、ソーシャルでないという意見がJohnsonとYang,2009から出されています。この二人は、人が他人のツイートを興味深い情報ソースとしてみなしていることを発見しました。


この研究によると、人はツイッターを通して見つけた情報から大きな満足を得ます。しかしながら、ソーシャルな面では満足するといったことはありません。

ネットワーク分析は、サイトのソーシャルな面を軽視します。ツイッターは、他のソーシャルネットワークよりも比較的に低レベルの相互関係を持ちます。ツイッターユーザーの22%だけが、相互的なリンクを持っていいます。一方、Flickrでは68%がYahoo!では84%が相互的な関係を持っています。

よく6次の隔たりといいますが、Kwakら,2010の研究は、ツイッターでは他の誰かとつながるには5以下のステップでつながり、93.5%は平均4.12ステップでつながることを示しました。このことは、多くのフォロワーを持つ少数の有名人がソーシャルネットワークの大きなハブになっているためです。


ツイッターの将来

もちろん上記のことは、まだ発展途中の研究からの考察の第一歩です。ツイッターの使い方や分析の新しくて興味深い方法がどんどんと作られています。それでは、ここから少し別の架空の冒険にでかけましょう。

HughesとPalen,2009の研究は、集合や緊急のイベントとしてのツイッターの使用についてみつけました。2つのハリケーンと、2つの政治討論の間のツイートは、人が互いに情報を共有するためのツイッターの使用が増えていることを示しています。

また、別のツイッターの情報についての特徴があります。ツイッターでは情報がソーシャルネットワークを素早く効果的に進むので、危機にはうってつけです。実際に、研究者はツイッターをモニタリングして地震のような緊急のイベントを見つけることができました。(Sakakiら,2010


また、ツイッターは国の気分の指標にもなります。Alan Misloveらはアメリカの3億のツイートを集めて、感情の内容を解析して、”国の気分”のビデオを作りました。これは人々のツイートの感情的な内容が、日毎にどうかわっているかを示しています。赤がネガティブ、グリーンがポジティブです。



興味深いことに、ツイッターの分析は、以前の記事の”月曜はそんなに悪くない”という記事を裏付けるものにもなりました。

また、ツイッターは健康介入として研究者に使われはじめてもいます。(Young,2009)


ツイッターとマイクロブログの学術的な調査については、Danah Boydのサイトと、こちらの”最も影響のある心理学のツイッターアカウント”を参照してください。また、PsyBlogもツイッターをしています。


この記事はPSYBLOGの”Twitter: 10 Psychological Insights”を翻訳したものです。

(翻訳: SY)

2011年09月03日

真ん中効果(center-stage effect)

centerstage-effect.jpg

イギリスのチェスター大学のPaul Rodwayらが、真ん中効果(center-stage effect)の研究をしました。これは名前の通り、真ん中のものが選ばれるというものです。

これは
ヒレカツ定食 900円
トンカツ定食 750円
チキンカツ定食 650円
とあると、真ん中のトンカツ定食が一番売れるというのは有名な話ですが、これとは別のものです。

この真ん中効果は、実際に物理的な真ん中が選ばれるというものです。17列、横に写真を並べてそれぞれの列から、被験者に一番好みのものを選んでもらうと真ん中のものが選ばることが多いです。逆に一番好みでないものを選んでもらった場合は、真ん中のものは特に選ばれません。

また、横に並べるのでなく、縦に並べても同じ傾向があります。つまり、人は物理的に真ん中のものをより選ぶ傾向があるのです。


次に写真でなく、実際の靴下を縦に並べて同じ実験をしましたが、やはり真ん中のものが選ばれる傾向がありました。ちなみに縦に靴下を並べると、一番下のものは選ばれない傾向がありました。ちなみにこの時、靴下は頭の高さと腰より低い位置とそれぞれで実験を行いましたが、どちらでも同じ結果になりました。


このことはどのように使えるでしょうか?非常に広範な応用範囲を持つものです。商品をどう並べるか、広告の設置場所をどこにするか、また選挙の立候補順をどうするか、多くのことに応用できるのではないでしょうか。

逆に消費者としても、こういう罠があることを意識しておきましょう。


この記事は以下を参考に書きました。
Wiley-Blackwell (2011, August 30). Location, location, location: Study shows the middle is the place to be. ScienceDaily. Retrieved September 2, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/08/110830081536.htm

元論文はこちら


(文: SY)

2011年08月30日

女性求職者への推薦書は女性的?

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ライス大学のMichelle Heblらがアメリカの大学の8つのポジションへの194人の志願者のための624の推薦書を分析しました。

この結果から分かったことは、男性を推薦する場合は、推薦書には活動的でしっかりしているといった言葉が多く、女性を推薦する場合は、社会的で、情緒が深いといった言葉が多いことが分かりました。

具体的には男性の場合は、信念がある、積極的、自主的である、遠慮無い、知的といった言葉が、女性の場合は優しい、親切、思いやりがある、機転が利く、愛想がいい、といった言葉が使われていました。


このことは何を意味するでしょうか?”男性らしさ”、”女性らしさ”といった、男女のジェンダーのステレオタイプの影響が強いと言えます。

ちなみに、大学のポジションにとっては、男女それぞれ優劣があるでしょうが、企業においては女性が不利になることが考えられます。それは、女性の推薦の際に書かれている言葉が、”強い”マネージャー像と異なっているからです。マネージャーにとって男女のどちらが向いているかという問いについては、女性の方が向いているという研究もありますが、しかし、優しい、親切といった言葉はマネージャー職への推薦には向いていませんし、そのようなイメージを相手に与えるのもキャリアを考える上ではよくないことです。

もし、あなたが女性で誰かに推薦書を書いてもらう場合には、ジェンダーのステレオタイプの影響がないような、”女性的でない”面を中心に書くように依頼するべきです。


この記事はBarking up the wrong tree"Do letters of recommendation actually hurt women when it comes to getting hired or promoted?"を参考に書きました。



(文: SY)

2011年08月29日

真似するかを決めるのはミラーニューロンじゃない

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人は互いにいろいろなことを真似します。”ミラーリング”という言葉で知られているように、相手に真似をされることで相手への好感度が上がるといった研究は数多くあります。

それでは、この真似をするというのはどういった部位が行っているのでしょうか?最近では、ミラーニューロンという言葉もかなり有名になってきて、このミラーニューロンが人の真似に絡んでいるということが分かってきています。実際にはこのミラーニューロンは人だけでなくサルにもあり、サルも真似をするということも分かっています(え?猿真似!?)


ノッティンガム大学のAntonia Hamiltonらは、真似をする時に脳のどこの部位が活発になるかを調べました。これは、女優のビデオを見ている被験者の脳のイメージデータから調べたものです。ちなみにHamiltonらは、以前の研究で人はアイコンタクトをした時に相手の真似をする傾向があるということを調べていたので、今回の実験は女優がアイコンタクトをするようなビデオを見るという研究になっています。

この結果、分かったことはまず真似をすること自体ではミラーニューロンの部位の活動が活発になったことです。それ以外に前頭葉中央部の、複雑な計画や認知行動や意思決定などの社会行動に関連している部位が活発になっていることが分かりました。

つまり、この社会的行動に関連した部位が相手を真似する正しいタイミングかどうかを判断していると考えられます。つまり、ミラーリングや真似というと思わず「ミラーニューロンかぁ…」と考えてしまうかもしれませんが、実際に真似するかどうか自体はミラーニューロンでなく、もっと高次な機能の役割であるということなんです。


あまりビジネスに使えない心理学ですか?まぁ、たまには…


この記事は以下を参考にしました。
University of Nottingham (2011, August 25). Seeing eye to eye is key to copying, say scientists. ScienceDaily. Retrieved August 28, 2011, from http://www.sciencedaily.com- /releases/2011/08/110816171428.htm


これまでのミラーリング関連の記事
ミラーリング
お金とミラーリングの効果
ミラーリングの負の影響

(文: SY)

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2011年08月18日

社会的なコネクションでの転職は有利だが、男性に限る??

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アメリカは日本に比べて女性の社会進出が進んでいる国です。ビジネス雑誌などを見ていても、有名企業の女性CEOなども多く、出産・育児といったイベントがあっても日本よりもかなり女性にとって働きやすい国だと思います。

しかし、ノースカロライナ州立大学のSteve McDonaldの研究は、アメリカでの女性の転職の不利についてのものです。この研究は12000人以上のデータを使ったものです。


この研究によると、専門的な仕事での経験のある男性は昔の同僚や取引先などの社会的なコネクションから新しい仕事をみつけることで、高賃金やマネージャー職などの”おいしい”仕事につくことが多いようです。情報がオープンになっているような通常の採用でなく、知人の紹介によるフォーマルでない形での採用ということです。

一方、女性はこのような社会的なコネクションを活かした採用というのがないために、結果として”おいしい”仕事につける可能性が下がってしまいます。ちなみに、なぜこのように女性が社会的なコネクションから転職できないのかという疑問については、この疑問に答えるための長期に渡るデータがまだないようです。


転職についてはアメリカと日本では状況が違うので、同じようには比較できない部分があります。日本では会社単位での採用が基本で、アメリカでは部署単位の採用が基本といった背景があると思います。これがこのようなフォーマルでない形の採用ということになる部分もありますが、私も転職は知人の紹介でしかしたことがないです。そして、実際にこのようなフォーマルでない形の転職の方が有利な点が多いと思っています。

この研究は、女性の不利な面を示したものでもありますが。一方で、転職方法についての示唆を与えるものです。最近はFacebookが流行っており、LinkedInも次に来るかもしれないとも一部で言われています。しかし、このようなソーシャルメディアという技術的な面でなく、実際に仕事を通じて築いた知人の重要性を再確認する研究だと思います。


この記事は以下を参考に書きました。
North Carolina State University (2011, August 15). In job market, social contacts help men, not women. ScienceDaily. Retrieved August 18, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/08/110815095729.htm


(文: SY)

2011年08月17日

タイプに分けること

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先日、友人に「君の周りはエキセントリックな人が多いよね」という話をしていました。類は友を呼ぶというのか、実際に二人に共通な知人を挙げていくと、その友人の周りには確かにエキセントリックな人が多かったです。

この時に使った図を載せてみます。この図は人を服装などの外見と発言や態度などの内面に分けて、それぞれを主観的に評価したものです。赤丸が友人の知り合い、青丸が私の知り合いです。こうやって見ると一目瞭然ですね。

女性のタイプ分け.001.jpg

この図が普遍的に有効なツールなのかは分かりませんが、今回の「友人の周りにはエキセントリックな人が多いか?」という疑問を整理するにはいいツールでしょう。

実際には、この図のようなタイプ分けというのは様々な方法で出来るものです。世の中には多くのタイプ分けがあり、ユングのタイプ論やエニアグラムといったものが知られています。これらはあくまでもツールなので、目的や分析対象に応じて使う必要があります。

また、特に図に分けるためのポイントとしては以下のことに注意するといいです。

1.軸数が多いと理解しづらいので、基本的には今回のような2軸のグラフにすること
2.グラフに図示した結果、論点が明確になること(場合によっては、今後のアクションが明確になること)
3.2軸で出来る4つのエリアにキャッチーな言葉をつけること

私たちはこれまでのさいころセミナーでの説明や、様々な分析は2軸の図で行っていることが多いです。簡単にできてかつ強力なのがこの2軸の分析です。


(文: SY)

2011年08月14日

嘘の動画を見ぬいてもらいました!→正解率65%

カード トランプ ジョーカー  - 写真素材
(c) YU-JIストック写真 PIXTA


次回のさいころセミナー”嘘の心理学”の準備として、自分の小学校から社会人時代の趣味や学校でのことを語った30〜50秒くらい動画を、知人に見てもらって嘘を見抜くということをやってもらいました。

ちなみに動画は全部で5本。うち2〜3本が嘘で、残りが本当というものでした。これを1,2回みて、どれが嘘かを見抜くというものです。


ちなみにそれぞれの知人は、「直感で判断した人」、「ボディランゲージで判断した人」、「話しの内容の整合性で判断した人」の3種類に分かれました。ちなみに本来は”直感”や”ボディランゲージ”で見ぬいてもらうつもりだったので、”話の整合性で判断”というのは想定外でした。

その結果を下に示します。

★直感派(二人。うち一人は5問中3問だけ回答。3問中2問正解と、5問中3問正解)
正解率5/8 = 63%

★ボディランゲージでチェック派(一人。5問中4問正解)
正解率4/5 =80%


★内容でチェック派(二人。5問中3問正解と5問中2問正解)
正解率6/10 = 60%

★トータル
正解率15/23 = 65%


ちなみに、多くの人は嘘を見抜くのが難しいと回答していました。実際に自分で見ても、どれが嘘か分からなかったので、正解率は50〜60%程度と予想していましたが、65%と思ったよりもすこし正解率が高かったです。


今日は、さわりだけで、もうちょっと詳細はまた書きます。


(文: SY)

2011年08月12日

社会階層が高いと共感力が下がる

一万円 紙幣 お札 日本円 - イラスト素材
(c) Shadowmanイラスト素材 PIXTA


日本ではあまり社会階層というのはなく、なんとなくみんな中流という気がしますが、海外では純然とありそうです。社会階層はどのくらいあなたがお金を持っているかだけでなく、どんな服を着るか、どんな音楽を聞くか、どんな学校に行くかを決めますが、それだけでなくどのように人に接するかも決めるようです。


アメリカの研究では、育った社会階層と他人への共感力に関連があることが分かりました。これはカリフォルニア大学バークレー校のDacher Keltnerらが行ったものです。

育った社会階層が下流の人はより他人に共感をすることができ、上流の人はより他人に共感できないということです。私はなんとなく逆だと思っていたので意外な結果でした。

上流の人は他人に頼らずに自分自身のことのみを考えていればいいことからより共感力が減ります。逆に下流の人は何かと他人に頼ったり助けあったりする必要があることから、より他人に対して共感できるようになります。

ちなみに育ちだけでなく、よりお金を稼ぐと共感力が下がっていくようです。


また同じ社会階層の中では共感力が高いとより社会的に成功することが出来ると思いますが、このことはこの研究の範囲外のようです。


この記事は以下を参考にしました。
Association for Psychological Science (2011, August 9). Social class as culture. ScienceDaily. Retrieved August 11, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/08/110808152413.htm


(文: SY)

2011年08月09日

給料交渉の10の方法

最近の研究から、あなたが給料を上げるための10の戦略を教えます。

給料袋とお金札束 - 写真素材
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給料の交渉をどうやってするかという多くのアドバイスは役に立ちません。給料は微妙な問題ですし、正確に調査するのは難しいものです。そして、様々な本で著者は同じことを繰り返し繰り返し書いているだけです。

しかし、最近のいくつかの研究から、どのようにして給料を増やすかについての科学的な洞察を得ることが出来ます。以下の10のことを知っておきましょう。


1.交渉をはじめろ
頼まなければ、得ることもできません。
驚くことに、多くの人が面接や仕事の間に交渉をほとんどしないので昇給しません。最初の非常に低い金額のオファーの時だけ交渉をしますが。それ以外でも、どんな状況でも交渉の余地がありそれがより高い給料を勝ち取ることになります。

MBAの卒業生についてのある研究では、交渉の準備をしていた人は初期の給料がより高くなりました。(Gerhart & Rynes, 1991)

これはちょっとした教訓ではありますが、多くの人にとっては最初のハードルになっています。


2.アンカーを使え
奇妙なことに、給料を上げるという記事では相手が手の内をオープンにするのを待てとしばしばアドバイスします。このような方法はオークションでは役に立ちますが、給料の交渉に関しては間違ったものです。

特に、最初に述べた数字は重要なものです。これは、他の数字を判断するアンカーになるからです。もし、あなたがアンカーを設定したなら、彼らはそれを下げようとして、交渉のコントロールを握ろうとします。研究では、意識的にしろそうでないにしろ、このような最初のオファーが、アンカーとなって交渉全体の雰囲気を決めます。


3.高額から始めろ
金額を言うなら、高い金額にしましょう。ただし、これはあなたが働いている会社の中での高い金額であって、途方もない高い金額ではありません。
ある給料の交渉をシミュレートした研究では、アンカーの数字が高く設定された時、最終的な金額も高くなる傾向があることが分かりました。(Thorsteinson, 2011).


4.ジョークを言え
最初に高い金額をオファーする際の問題は、雇い主が間違った方法をとってしまうかもしれないことです。例えば、”現実的でない給料の期待”のジョークを言うことで、緊張を緩和することができるかもしれません。

交渉の研究では、適当なタイミングでのユーモアは、交渉の戦術で役立つことが明らかになっています。

ユーモアを言う時でさえ、高い数字から始めることを忘れないようにしましょう。その数字は、最終決定に影響をあたえます。(Thorsteinson, 2011)


5.競争しろ
好きであろうとなかろうと、給料の交渉は、全てのごまかしやスポーツマンシップが使われるようなゲームです。一度、交渉の基本的な部分が進み始めたら、競争としてこのゲームを支配しようとしなければなりません。
説得と主張と、必要ならば不正確に言ったり脅したりといったことをしましょう。研究では、競争は成功する交渉戦略であることがわかっています。(Marks & Harold, 2011)


6.コラボレートしろ
給料を交渉する時、常に競争をする必要はなく、コラボレーションも必要です。相手の興味がなんなのかをみつけましょう。これは有効な戦略になるかもしれません。しかし...


7.ウィン-ウィンは気分はいいが金額は下がる
MarksとHaroldの研究によると、給料の交渉でウィン-ウィンの解決法を見つけようとする人は、交渉について良い気分になるが、給料は決定的に低くなります。ウィン-ルーズのアプローチをする人は、気分は悪いですが、よりたくさんの金額を得ることが出来ます。

このことは、ウィン-ウィンをみつけるという標準的なアドバイスに対抗するものです。ここで考えるべきことは、いい気分になりたいのかお金をもっと欲しいのかどちらなのか、ということです。


8.歩み寄りと調整を避けろ
給料の交渉での一般的なアドバイスは、理性的でフレキシブルであれ、ということです。しかし、この研究から明らかになったことは、妥協と調整は上手くいかない事が多いというものです。この妥協と調整という二つの戦略は両方共、従業員よりも雇用者にとってベストであることを重視しすぎてしまいます。

妥協や調整をした結果は、たくさんの給料が得られないということです。


9.ジェンダーのステレオタイプを忘れろ
あなたが女性で、上記のことが男性的なことに思えるならば、「これは男性的なこと」だなんて考えないようにしてください。研究は、男性と女性の給料の交渉の方法の違いがあることを示しています(女性は、時々少ない金額でも諦めてしまうというのもありますが)。実際に、女性は交渉で男性よりもより競争的になりえます。(Walters他, 1998).


10.勇気をもって
交渉にとって中心となる性格特性は、リスク回避傾向です。リスクテイクを回避しようとする人は交渉下手です。もちろん私たちの中には生まれつき、よりリスクを回避しようとする人がいます。問題となるのは、高いリスク嫌悪は交渉戦略としての競争を減らすことや、競争的な行動と関連しています。
もしあなたがリスクを恐れるならば、より多くのものは得られません。最高の取引のためにはリスクを受け入れなければなりません。


自分の価値を信じて
給料の交渉での一般的な失敗は、自分にその価値がないと考えてしまうことです。自分には価値があると確信することが不可欠です。

他の人が同じ仕事をしたらどれだけもらっているかを知りましょう。もし、それが多かったら、あなたももっともらう価値があります。もしそれほど多くなかったら、何故あなたが特別にもっともらうべきなのかを考えましょう。あなたの給料交渉では、アンカーを打ち込むことを忘れずに、ジョークで緊張をほぐして、そして実質的な利益を得るためのリスクを取りましょう。


この記事はPSYBLOG"Ten Powerful Steps to Negotiating a Higher Salary"の翻訳です。


(翻訳: SY)

2011年08月01日

ミラーリングの負の影響

身だしなみチェック モデル:佐伯美沙 - 写真素材
(c) IYO画像素材 PIXTA


ミラーリング(相手の真似をすること)はコミュニケーションにとって有益であるということを既に書きました。”ミラーリング”という記事ではミラーリングの有効性を書きました。また、”お金とミラーリングの効果”という記事では、お金についてプライミングするとミラーリングは逆効果になるといったことを書きました。


今回は、ミラーリングをしている相手でなく、第3者からミラーリングをしている人はどう見られているかという研究について紹介します。

この研究は、インタビューをしている人とインタビューをされている人のビデオを見て、インタビューされている人の能力や信頼度を評価するというものです。この時、インタビューされている人は脚を組んだりアゴを触ったりといったようにインタビューしている人のミラーリングをします。

ビデオを見た人は、インタビューを受けた人の能力を評価するように言われますが、この時に以下のような結果になりました。

1.インタビューをする人と、インタビューされる人が親密に見えない時は、ミラーリングをしている人をより低く評価する。
2.インタビューをする人と、インタビューされる人が親密に見える時は、ミラーリングをしていてもしていなくても評価に影響がない。

ちなみに評価する人がミラーリングしていることに気づいていなくても評価の低下は起こりました。


また、さらに2つの実験を行いました。まず2つめの実験は、実際に”ミラーリングをしていること自体”が評価に影響をしているのか、それとも”ミラーリングをすると不自然な動作になって”その結果として評価が下がっているのかという切り分けのものです。

3,インタビューをする人がよく見えないようなビデオを使ってテストをした場合は、ミラーリングをしても評価は低下しませんでした。

つまり、”ミラーリングをすると不自然な動作になる”ために評価が下がるのでなく、”ミラーリングをしていること”自体で評価が下がってしまうようです。


最後の実験は、インタビューをする人(ミラーリングされる人)が高く評価されていた場合のミラーリングの効果についてのものです。

4.事前にインタビューをする人は人道的な活動をしていると言われた上で、インタビューをする人と、インタビューされる人が親密に見えない時は、ミラーリングをしても評価は低下しませんでした。


このようにミラーリングをしていることを第3者にみられると、ミラーリングをしている人の評価が下がってしまいます。ただし、これは条件があって、仲が良い人へのミラーリングや、評価が高い人に対してミラーリングをしている時には評価が下がりません。ミラーリングをする時にはこんなことを意識するといいと思います。

ちなみにこの研究は第3者が、ミラーリングに気づいていない場合のものです。わざとらしいミラーリングは、ミラーリングされた人に対しても第3者に対しても評価を下げると思いますので、ミラーリングしていることがバレないように注意してください。


この記事は以下を参考にしました。
University of California - San Diego (2011, July 28). 'Mirroring' might reflect badly on you. ScienceDaily. Retrieved July 30, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/07/110728103139.htm

(文: SY)

2011年07月08日

どうして具体的に表現すると真実に思えるか?

ビジネス 男性 説明 プレゼンテーション [786099] - 写真素材
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明確な言葉で話したり書いたりすると、人はあなたを信用します。


この記事のあいまいな導入文を消したところです。何故かって?それは、最近発行されたPersonality and Social Psychology Bulletinの中の素晴らしいアドバイスを読んだからです。そのアドバイスは簡単なものです。あなたが人に信用されたいならば、具体的なことを話し書きなさいというものです。


言語で真実を伝えるには様々な方法があります。そのうち明らかなことは

・より詳細なものは、真実を告げていると判断する
・より鮮烈なストーリーは、より本当らしいとみなす
・より生々しい真実は、ありそうもないことをよりありそうに見せる

しかし、これらには、より詳細が必要だったり味付けが必要なんでしょうか。私たちがより詳細な情報を持っていなければどうすればいいのでしょうか?正しい情報を加えないで、より本当らしくするにはどうすればいいのでしょう?


Hansen and Wanke(2010)の研究によると、より具体的に表現することで十分ということです。

下の2つの文を比較してください。

1.ハンブルグには、ヨーロッパの橋の数の記録があります。
2.ハンブルグに来た人は、ヨーロッパで最も多くの橋を数えることができます。

これらの2つの文章は同じことを意味していますが、人は2つめをより真実らしいとみなします。2つめはより詳細に書いてあるわけではありませんが、遠まわしではありません。これは単純で、明白で、説得力のあるイメージを思い起こさせます。

抽象的な言葉は、概念を話すにはちょうど良いのですが、様々な解釈の余地があります。一方、具体的な言葉は、現実のものとみなされ、より正確に話しているとみなされます。”バニラアイスクリーム”は具体的な言葉ですが、一方”デザート”はより抽象的な言葉で、”アイスクリーム”のように具体的な”デザート”を想像することはできません。

また、名詞よりも動詞は、より抽象的にもより具体的にもなります。”数える”や”書く”といった動詞は、実質的で、具体的で、明確な言葉です。一方、”助ける”や”侮辱する”という言葉は、解釈の余地があります。”愛する”や”嫌う”といった言葉はもっと抽象的な言葉です。これらの言葉が何を意味するかというのは、解釈の余地がとても大きいのです。

また、能動態・受動態や現在形・過去形などの文章の種類も、具体性に影響があります。受動態はより抽象的と考えられます。未熟なライターは、しばしば能動態で書くように指導されますが、これは能動態の方が読者がより真実と思うからでしょう。

HansenとWankeの研究では、なぜ具体的なことが真実に思われるかの理由を示しています。

1.心では具体的な文章はより素早く処理することができ、そのため私たちは素早くて簡単にできることを真実と自動的にみなしてしまいます。
この記事を参考にしてください ※英文です)

2.具体的な文章は、より簡単に心的なイメージを作成することができます。簡単にイメージが出来るため、より簡単に思い出すことができ、より真実に見えます。

3.さらに、より簡単にイメージできるとよりもっともらしく見えるため、すぐに信じられます。

このように、具体的で明白に話したり書いたりすることで、人はより真実と考えます。私はこれ以上に簡単に書くことはできません。


この記事はPSYBlog"Why Concrete Language Communicates Truth"の翻訳です。

(翻訳: SY)

2011年07月06日

手をつないだ写真は、協力を促進する

手をつなぐ子供カップル[1229903] - 写真素材
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オーストラリアのニューカッスル大学のMark Rubinが写真によるプライミング(相手に影響を与えるための先行刺激)の研究をしました。この研究は、写真の中の二人が手をつないでいるかどうかで、協力姿勢が変わるかというものです。

この研究では心理学科の122人の学部生を対象しています。まず2つのグループに分けます。

1つめのグループにはカップルに見えるような男女の写真を見せられて、次に「その女性であると想像する」ように言われます。
2つめのグループには親子に見えるような女性と子供の写真を見せられて、次に「その子供であると想像する」ように言われます。

さらにこの2つのグループのはさらにそれぞれが2つのグループに分けられており、片方のグループは二人がすぐとなりに立っているが手をつないでいない写真、もう一方のグループは二人がすぐとなりに立って手をつないでいる写真を見せました。

この後に頼みごとをすると、手をつないだ写真を見せられたグループは頼みごとに応じやすくなることが分かりました。ちなみにこの効果はカップルに見えるような男女の場合でも、親子に見えるような女性と子供の場合でも変わりませんでした。

この研究の結果は、広告の写真などを決める時にも使えそうですね。これは人の共感の力なのか、ミラーニューロンの威力か分かりませんが、手をつないだ写真は見ている人の協力する気持ちも変えてしまうのですね。


この記事はBPSの"How images affect our"を参考に書きました。
元の論文はこちらです。


これまでに書いたプライミング関連の記事は以下です。
お金とミラーリングの効果
名刺としてのブランドロゴ
創造的な人は、不誠実

(文: SY)

2011年07月03日

情報取得バイアス

様々な研究で人は、最初から提示された情報よりも、自分が何かを行った結果出てくる情報をより重要視するという傾向が明らかにされています。これを情報取得バイアス(pursuit bias)と言います。人は自分から何かをしてその結果取得した情報を重視してしまうのです

情報取得バイアス.001.jpg

ちょっとした一手間をかけただけで、その取得した情報を重視してしまうというのは合理的ではありません。ですが、このような傾向が私たちにあるというのは、直観にも一致していると思います。

営業などでは有効なテクニックじゃないでしょうか。


この記事は以下の論文を参考にしました。
Tayler, William B., Smith, Steven D. and Prawitt, Douglas F., Information Pursuit and Litigation Risk: Effects on Auditors’ Judgments and Confidence (June 25, 2011).

Nelson, Mark W. and Tayler, William B., Information Pursuit in Financial-Statement Analysis: Effects of Choice, Effort, and Disaggregation (June 1, 2006). Johnson School Research Paper Series No. 32-06.


(文: SY)

2011年06月29日

お金とミラーリングの効果

お札[2280895] - 写真素材
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よく心理学を使った対人関係といった本に”ミラーリング”(相手の真似をすること)が効果があるといったことが書かれています。さいころニュースでも以前に”ミラーリング”という記事を書いたことがあります。

このミラーリングについての最新の研究をオランダのフローニンゲン大学のJia Liuらが行いました。これはお金がミラーリングにどういう影響を与えるかというものです。


Liuらの実験では、被験者がまず最初にパソコンで関係のない作業をして、それから同性の実験協力者と10分間話をします。その後で、実験協力者に対する好感度を調査しました。

この時、72人の被験者はまず2つのグループに分けられています。片方のグループは、パソコンでの作業時に背景にお金の絵が表示されており、もう一方のグループは貝殻の絵が表示されるようにしました。

さらにその後の10分間話をする時に、それぞれのグループがさらに2つのグループに分けられていて、一方は実験協力者は被験者の真似をして、もう一方は被験者の真似をしません。

この実験の結果を下に載せます。ちなみにプライミングというのは、相手に影響を与えるために行う刺激のことで、今回は背景にお金の絵を表示したグループを示します。

お金と真似.001.jpg

この結果から分かるように、通常は相手のミラーリングをする(真似をする)と好感度が増すのですが、事前にお金のことを考えさせると、ミラーリングをすることで好感度が下がるのです。これはお金について考えると、真似されことで防御的な反応が出てしまうと考えられますが、実際のメカニズムは分かっていません。

ミラーリングというのは、”意図的にミラーリングしている”とバレない限り好感度は上がると思っていたのですが、様々な条件があるようですね。


この記事はapsの"Money and mimicry"を参考にして書きました。


関連記事:
”ミラーリング”


(文: SY)