2011年05月21日

悪徳は権力の証!?

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「権力は人を腐敗させる」と言いますが、実際にはどうでしょう?

アムステル大学のGerben Van Kleefの研究によると、権力が人を腐敗させるかどうかはともかくとして、少なくともルールやマナーを破るとより権力があるように見えるようです。研究では以下の4つの不正やマナー違反をすると他人からどう見えるかを調査しました。

1.他人からコーヒーを失敬する。
2.帳簿で不正を働く
3.タバコの灰を地面に捨てる
4.自分の脚をテーブルに乗せる

その結果、このようなルールやマナー違反を行った人は、きちんとしたよりも”より意思決定権を持つ”と判断されるようです。つまり、悪徳を働くことで権力があるように見られるのです。

私たちが普段みかける例として、電車の中で席を占領している男子高校生の群れとかが分かりやすいでしょう。彼らは、そうやってルール破りを誇示することで、自分達の優位性を分かりやすくアピールして満足していると思っていますが。実際に見ている側は、それによってその男子高校生達が権力をあると判断するようです。


元論文はこちら
G. A. Van Kleef, A. C. Homan, C. Finkenauer, S. Gundemir, E. Stamkou. Breaking the Rules to Rise to Power: How Norm Violators Gain Power in the Eyes of Others. Social Psychological and Personality Science, 2011


この記事は以下の記事を参考にしました。
SAGE Publications (2011, May 19). Breaking rules makes you seem powerful. ScienceDaily. Retrieved May 21, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110520092735.htm

(文: SY)

2011年05月16日

説得力について分かった4つのこと

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説得力のある話し方ってどういうものでしょうか??このような分野については、いろいろ本も出ていると思います。しかし、ちょっと待ってください。著者が元スチュワーデスだからって、著者が元アナウンサーだからって、著者がなんとかコンサルタントとかいうすごい肩書きを自称しているからって、その本に書いてあることを信じていいんですか??


ミシガン大学のJose Benkiは、100人の男女が1380回の電話インタビューをして、様々な話し方が相手の意思決定にどれだけの影響を与えるか(≒説得力があるか)を調査しました。これを簡単に報告します。

・話すスピードはやや速いのがいい
これはよく言われていることですが、やや速いスピードで話すのが説得力が増します。速すぎも遅すぎもダメで、標準よりはやや速いのがいいです。

といっても、実際に自分の体感と実際の速度には差がありますので、ビデオなどで自分の話すスピードをチェックするといいですよね。実際にさいころでやったプレゼン勉強会でみんなで話しあった時も、若干速いがいいということを言っていました。


・抑揚は難しい
抑揚をつけても平均的にはあまり意味がありませんでした。これは、一部の人は抑揚をつけると説得力を増し、一部の人は説得力が減るとい2つが相殺したためです。

たしかに上手い人もいますが、わざとらしい抑揚で白けてしまうなんてこともセミナーを受けて経験したことがあります。


・男性は低い声がベター、女性は無関係
声の高さは、男性は低い声の方が説得力が増します。一方、女性の場合は、声の高さは説得力には影響を与えませんでした。

私は声がかなり高いので(自分の声を聞くとアメリカザリガニ思い出す)、想像通りの残念な結果でがっかりしています。女性は高くても低くても関係がないというのは意外な結果でした、女性も低いほうが説得力は増すのかな、と思ってました。


・多少の休止がある方が説得力が増す
会話のはしばしで、「えー」と言ったり、ちょっと止まったりする休止(言いよどみ)が適度にあることは説得力を高めます。調査の中で一番頻繁に休止した場合でも、休止のない流暢な人よりも説得力がありました。

つまり、完璧に練習をしたプロの台詞のような話し方では、「台本通りじゃない?」という感じが悪いと考えられます。やはり、”その場で考えながら話している”という雰囲気が大事ではないでしょうか。


いかがでしょうか?普段から出来るのは、標準よりも若干速めで話すこと、無理に抑揚をつけようとしないこと、完璧に言い淀まずに話す必要はないこと、といったことが実戦では使えそうです。



この記事は以下を参考に書きました。

University of Michigan (2011, May 14). Persuasive speech: The way we, um, talk sways our listeners. ScienceDaily. Retrieved May 16, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110515122507.htm

(文: SY)

2011年05月12日

信用ならない人を見抜く11の方法

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このブログでは嘘に関する記事をいくつか書いていますが、やはり嘘を見抜くことには皆さん興味があるみたいで、検索エンジンからのアクセスで一番多いのが嘘に関する記事です。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のEdward Geiselman教授が信用ならない人や嘘についての記事を書いていたので紹介します。ただし、私の方でコメントを入れていますので、教授のオリジナルの記事を見たい人は、リンク先を見てください。

信用ならない人を見抜く方法としては、

・質問をすると、信用ならない人は出来る限り少ししかしゃべろうとしません。研究する前は、巧妙な話をすると思っていましたが、ほとんどの人はほんの少しだけ話をしました。被験者が学生でも囚人でも同様でした。Geiselman教授は相手に話すようにさせて尋問をします。

・信用ならない人はこちらから聞かれる前に、自分がしゃべったどんな小さなことでも正当化しようとします。普通ならば多少の矛盾は気にしないのですが、信用ならない人は一切矛盾がないように話をつくろうとします。

・信用ならない人は、答える前に聞かれた質問を繰り返す傾向があります。おそらく回答を考える時間を稼ぐためでです。また、同じように、より話を途中で区切ることが多いです。話しはじめて「えっと」などと言うなど、休止の回数が普通よりも多いです。これらは、話を作る時間が必要だからです。

・信用ならない人は、しばしば自分が話したことに相手がどういう反応をしているかを見ます。嘘つきは目を逸らすなどと言われますが、嘘に関する実験では逆の結果が出ています。

・信用ならない人は、話を作りながら相手の反応を見るために最初にゆっくり話します。そして、自分の中で話を作り終わるなどの準備が整ったら、途中から早く話し始めます。信用ならない人はゆっくり話していると、嘘をついていると疑われるかもしれないと考えて早く話したがるため、話の速度が途中から変わるのです。正直な人は、1センテンスの中で大きくスピードを変えることはありません。

・難しい質問にぶつかると、しばしば唇をかんだり、髪を触ったり、他の身体を触るような動作をすることがあります。手を使った自分向けのジェスチャーは、嘘のサインかもしれません。ただし、このようなしぐさで嘘を見抜くのは難しいと言われています。

・正直な人は、相手が疑って詳細について説明を要求してくると、十分に説明をします。一方、信用ならない人は、より詳細を提供しません。

・難しい質問をされると、正直な人は集中するために遠くを見ますが、信用ならない人は見るにしても、遠くを少しだけみます。


嘘を見抜くためには、しぐさなどで見抜くよりも、話をして見抜くことが有効と言われています。その時の3つをポイントをあげます。

・起こった事柄を逆順にできるだけ詳細に言ってもらいます。物事を反対から(現在から過去に向かって)話してもらうことが有効というのは、様々な論文などで述べられている方法です。

・詳細を得るために、オープンな質問をして、できるだけ完全な情報を出してもらいます。こちらの質問に答えてもらうのでなくて、相手から話させます

相手が話している時に、話をさえぎらないようにします。「それで?」などと言うと相手に考える時間を与えてしまうので、こちらは一切遮らずに相手が話すように促します。


Geiselman教授も嘘を見抜くことは訓練で上達できるとしています。海外ドラマ”Lie to Me”のモデルのポール・エクマンも猛特訓で嘘を見抜くのが上手いと言います。私たちはなかなかそのような機会がありませんが、上記のことをちょっと留意するといいかもしれません。


この記事は以下の記事を参考に書きました。
University of California - Los Angeles (2011, May 9). How to tell when someone's lying: Psychologist helps law enforcement agencies tell truth from deception. ScienceDaily. Retrieved May 11, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110510101627.htm

関連記事:
透明性の錯覚
非言語的な部分で嘘を見抜く...のは困難です
オーストリッチ効果
初対面ではどんな嘘をつく?
嘘をつく時はどこを見る?
嘘を見抜くちょっとしたポイント
瞬きは迷いのサイン

(文: SY)

2011年05月11日

プロフィールは信頼できる?

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iversさんの画像を使用しています。


フェイスブックのプロフィールは信用できる?

・ソーシャルネットワーキングでは、人は実際の人柄を見せるのか、それとも理想化した人柄を見せるか?

フェイスブックやマイスペースなどのソーシャルネットワークでは、プロフィールを見せている人が世界中で7億人以上います。アメリカでは18歳から24歳で、インターネットにアクセスできる人の75%がソーシャルネットワークを使っています。そして、過去4年で、成人の全ての年齢層でソーシャルネットワークの使用が4倍になりました。

しかし、彼らのプロフィールは、ネット上ではない本当の自分の性格を伝えているのでしょうか?オンラインではとても簡単に簡単に誇張して自分を他者によりよく見せたり、素晴らしい印象にミスリードすることができます。


・実際の性格と、理想化された性格

心理学者がソーシャルネットワークを使っている236人のアメリカとドイツの学生を被験者として、性格調査を行いました。(Back他, 2010


この調査では、彼らの性格の特徴の”ビッグ5”(外向性、協調性、誠実性、情緒不安定性、経験の開放性)を調べてから、彼らがそうなりたい理想の性格を調べました。

次に、別の調査者が彼らのソーシャルネットワークのプロフィールを見て、被験者の性格を評価しました。


・驚くべき真実

被験者の実際の性格と理想の性格、および調査者に評価された性格を比較をしました。すると調査より、人はソーシャルネットワークでは彼らの理想よりも実際の性格を見せたがることが分かりました。

結局、人は自分を見せることには極めて正直ということなのです。あまり目にすることはない文ですが、「人は、正直である」ということです。

この研究で他にみつかったこととして、知らない人のプロフィールを初めて見たとき、性格のいくつかの面は他の面より分かりにくいことです。他人の外向性や経験の開放性は評価しやすいのに対して、情緒不安定性は分かりにくいのです。


・オンラインで嘘をつく?

この研究結果は、インターネットは何か恐ろしい場所、若者が他の人のふりをしたりといった何でもありで、信用ならない場所という古いステレオタイプに待ったをかけるものです。

インターネットは人々に理想の自分を投影させるという理論だけでなく、一般的に言われていることと反対に、この研究は、人は本当の性格をオンラインで示すことに驚くほど誠実であることことが分かりました。

原因がどうであれ、この事実はソーシャルネットワークの驚くべき人口を説明する助けになるかもしれません。「真実は、人をひきつける」のです。


この記事はPSYBlog"Can You Trust a Facebook Profile?"を翻訳しました。


関連記事:
フェイスブックでの友達外しの3つの理由
フェイスブックは自尊心を上げる
フェイスブックの7つの習慣

(翻訳: SY)

2011年04月28日

オフラインでの交渉は、遠いほうが有効!?

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顔を見ないで交渉をするということはあるでしょうか?製品の仕様や納期の調整を電話で交渉をしたりといったことはありますか?

テキサス大学オースチン校のMarlone Hendersonの研究によると、顔を見ないでする場合は互いの距離が遠い方がより交渉がまとまりやすいということです。


この研究では、相手との距離だけを述べていますので、その点は注意しないといけません。人は類似したものを好むため、居住地や出身地が同じ場合により仲良くなるという効果もあるので、近い方がいいこともあるのが要注意です。また、交渉といっても販売活動などの場合では、顧客がサポートなどに不安を感じるということもあります。


なかなかこの理論を応用することは難しそうですが、ソーシャルメディアへの応用などは面白そうです。


この記事はテキサス大学オースチン校のMarlone Hendersonの"Mere physical distance and integrative agreements: When more space improves negotiation outcomes"を参考に書きました。


(文: SY)

2011年04月26日

フェイスブックでの友達外しの3つの理由

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コロラド大学のChristopher Sibonaが1500人のフェイスブックユーザに対して、友達を削除する理由について調査しました。

友達を削除する主な理由は以下の3つでした。

1.どうでもいい情報が頻繁に投稿される
堂々の1番は、”ゴミ情報”でしょうか。納得の理由ですよね。最近は、特定ユーザからの発言を非表示にするといった機能もありますが、多くの人がツイッターやフェイスブックでフォロー外しをする理由がこれじゃないでしょうか。

2.宗教と政治についての偏った意見が投稿される
2番目は宗教・政治の話です。別に、あなたの宗教や政治の話を聞きたくてつないでいるわけじゃないといったところでしょうか。特に宗教と政治については、あまり話さないのがマナーといった感じですよね。

3.粗野な意見や人種差別的発言が投稿される
勝手に言うのはいいのですが、わざわざ言われると腹が立ちますよね。敢えて、そういう発言を見たいとは思いませんしね。


最近は非表示の機能もあるので、上記の行動=友達から削除とはならないでしょう。ですが、どちらにしろ、周りをいらつかせたり、非表示にされたりしているということでしょう。


他の研究としては、AOLの研究ではティーンエイジャーの30%が自分の親とは”友だち”になりたくないと思っています。これは数字が低いくらいじゃないかと思いました。

また、2010年の調査では54.6%のリクルーターが、仕事の候補者を見たり調査したりするのにソーシャルメディアを使っているそうです。日本ではここまで高い比率じゃないでしょうが、それでも気をつけなければいけませんね。


こちらの記事を参考に書きました。

(文: SY)

関連記事:
フェイスブックは自尊心を上げる
フェイスブックの7つの習慣

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
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2011年04月22日

お人好しほどウソを見抜くのがうまい

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【直感に反して、調査によるとお人好しの方が皮肉屋よりも他人のウソを見抜くのがうまい】



人間とは時に信頼できない生き物です。人はしばしば人間の本質に対して非常に疑い深くなり、ウソをつくことに一理あるなら他人は喜んでウソをつくだろうと考えがちです。

私たちは直感的に、ウソを見抜くにはシニカルであることが有利であると信じています。そしてNancy Carter とJ. Mark Weberが、MBAの学生たちに、他人に対する信頼傾向の高い人と低い人のどちらが他人のウソを見抜くのがうまいかたずねたときに明らかになったこともそうでした(Carter & Weber, 2010)。

結果は、私たちの期待どおりでした。85%の学生が、信頼傾向の低い人が高い人よりもウソを見抜くのがうまいと考えました。


しかしこの結果は正しい答えなのでしょうか。信頼傾向の低い人は、本当にウソを見抜くのがうまいのでしょうか。


■ライアーライアー
CarterとWeberは、確信がもてなかったので、29人の参加者がどれぐらい信頼傾向が高いかを測定し、模擬就職面接のビデオを見てもらいました。

ビデオの中で、被面接者は職を得るためにベストを尽くすように言われましたが、その半数がそのプロセスの中で3つウソをつくように言われました。

これらのビデオは、その後実験参加者に見せて、被面接者が雇われる可能性と誠実さを測定するよう求められました。


驚くべきことに、超人的なウソ発見能力を示したのは信頼傾向のもっとも高い人でした。信頼傾向の高い人は、ウソに対して敏感で、どの被面接者がうそをついているか正確に見抜くことができました。

私たちの期待に反して、信頼傾向の低い人の成績がもっとも悪く、彼らはウソつきを見つけだすことに正確ではなく、ウソをついていた被面接者の一人を雇いやすかったのです。


信頼傾向の高い人は、落ち着きの無さや声のイントネーションや声質の変化など、ウソの古典的サインに注意をむけやすいようです。

これは私たちに説明の余地のある直感に反した結果を残しています。信頼傾向の高い人は、ウソを見抜くことがヘタなわけではなく、実際には、あまり人を信頼していない人よりも成績が優れていました。私たちは、信頼傾向の低い人が欺き行動を見抜くのがうまいと期待していましたが、信頼傾向の高い人ほどの成績は示しませんでした。


一体何がおこっているのでしょうか。なぜ私たちの直感は間違っているのでしょう。


■社会的知能
この調査は、理由については教えてくれないけれどー結果しか教えてくれないーなぜ信頼傾向の高い人がウソを見抜くのがうまいのかという理由のいくつかを指摘しています。


1.感受性
ウソに敏感だからこそ、人は他者を信頼するようになるのかもしれません。彼らはウソを見抜くのがうまいので、ダマされることに悩む必要がありません。

2.リスクテイキング
その一方で、社会的リスクを取るけれども、それによってより正確なウソの見抜き方を学ぶことが出来る人もいます。社会的リスクを取らないから訓練することもない人は、ウソとホントの見抜きかたを学習することもないでしょう。これらの2つの要因の上に、人の生得的な能力を考慮しなければならないでしょう。ある人はボディランゲージを読む天賦の才がありより高い社会的知能を持っていますが、それを得るためにたくさん学習しなければならない人もいます。



■リスクと報酬
説明がどうであれ、自動的に(ときにはむやみやたらに)人を信用することが時には有利に働くことを強調しています。信頼傾向の低い人の問題は、他人を信頼することがないので利益も少なく、社会的リスクを取ることも非常に難しいということです。


例えば、あまり面識のない人からレストランへ誘われたとしましょう。やましい動機を隠しているに違いないと考えて断れば安全かもしれませんが、すばらしい友達を新たに獲得することを見逃すことになるかもしれません。

同じことがビジネスにも言えます。信頼は商業的関係の基本です。よい取引とは、両者のベストを尽くすことで成立します。それはしばしばお互いをそれほどよく知らないままに行われることもあります。誰も信頼しないビジネスパーソンは、成功することが難しいことに気づくでしょう。

信頼傾向の低い人は、ダマされることを避ける一方でチャンスもまた見逃しています。それに対して、信頼傾向の高い人は、二つの世界のいいとこ取りができます。彼らは誰かがウソをついている時、頻繁にそれを見抜くことができるようになり、関係性の早い段階で社会的リスクを負うことで、社会的にも経済的にも利益を得ることができるのです。(翻訳 山崎Y)

*この記事はPsyblogの「Highly Trusting People Better Lie Detectors」の翻訳記事です。

2011年04月12日

名刺としてのブランドロゴ

BrandLogo.jpg
画像はFlickrのVincent Teeuwenさんの画像から。


ブランドの服にはどれほどの価値があるのでしょうか?研究によると、ブランドのロゴが物を言うようです。

オランダのティルバーグ大学のRob Nelissenと Marijn Meijersの研究によると、ラコステとトミー・ヒルフィガーのブランドのロゴつきの服、無名なブランドのロゴつきの服、ロゴのない服を着た人の写真を見せると、ステータスの評価が5段階評価でラコステの服3.5、ヒルフィガーの服3.47、無名ブランド2.84、ロゴなし2.91、お金を持っていると思うかという評価がラコステ3.4、ヒルフィガー3.94、無名ブランド2.8、ロゴなし2.78でした。

また、女性のアシスタントがショッピングモールでアンケートをしたところ、デザイナーのロゴつきのセーターをつけていると52%が立ち止まったのに対して、つけていないと13%にとどまりました。 また同様に募金活動をしている時もロゴつきの服を着ていると平均の募金額が19ユーロセントから34ユーロセントに増えました


Neilissenらの実験は他にもいくつかありますが、全てでブランドのロゴに”価値がある”ことを示しています。上記のようにただブランドのロゴがあるだけで、その人自体の評価を高めてしまうようです。ただし、これらは初対面の人に対しての実験になっていますので、知人に対してブランドロゴが効果を持つかは不明です。

個人的にはあまりロゴのついた服というのはあまり好きではなかったのですが、これからはロゴのついた服を着ていきます。特に初めて行く場所には。


(文: SY)

2011年03月31日

ユーモアは批判的思考を妨げる

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Barking up the wrong tree”Does humor mentally disarm us?”(ユーモアは私たちの心を開ける?)と題した記事あったので、内容をご紹介します。


政治的なメッセージの認知処理についてのユーモアの影響についての研究があります。(Moy, Xenos, & Hess, 2003; Young, 2004, 2006)これによるとユーモアは私たちの様々な認知機構を通して、議論の批判的な評価を妨げると考えられます。

被験者がユーモアのある政治的なメッセージとユーモアのない政治的なメッセージにさらされたあとで思想のリストを見せられるという実験を行いました。この結果、ユーモアがあるメッセージは議論についての批判的な精査を減らすということが分かりました。これは”割引キュー”(discounting cue)という機構によるものと考えられます。

"The Privileged Role of the Late-Night Joke: Exploring Humor's Role in Disrupting Argument Scrutiny" from Media Psychology, Volume 11, Issue 1 January 2008 , pages 119 - 142


この実験結果をそのまま全てに応用できるかどうかは不明ですが、ユーモアがメッセージを伝えることに関してプラスの効果があるというのは面白い結果です。プレゼンテーションなどで最初に笑いを取っておくということがありますが、あれは場を暖めるものと思っていたのですが、このような効果が暗黙的にあるのかもしれません。

(文: SY)

心の温かさと能力、どっちが大事?

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以下の記事はBarking up the wrong treeにあった”What do we value more in people: warmth or competence?”(心の暖かさと能力、どちらが価値がある?)と題した記事の翻訳です。


1.他人を評価する時には、能力よりも心の温かさのほうが重要と思っています。
2.自分たちを評価する時には、能力の方が重要と一般的に信じられています。
3.私たちは、人を能力と心の温かさのトレードオフで判断しているといわれますが、この2つの軸は私たちが他人をどのように見ているかを理解するキーになります。私たちは、心の温かくて能力のある人を評価します。一方、冷たくて能力のある人には嫉妬します。心の温かくて能力のない人には同情をします。そして、心の冷たくて能力のない人を蔑みます。

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つまり、能力も重要なのですが、他者から見ると心の温かさの方が重要と考えられます。

元の記事はこちら


(翻訳: SY)

2011年03月24日

非言語的な部分で嘘を見抜く...のは困難です

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こちらの画像を使用しております。


嘘を非言語的な部分で見抜くということは昔から研究が行われています。実際に”嘘を見抜く”と検索すると様々なページがヒットします。そこでは、視線や身体の動きなど非言語での嘘の見抜き方といったものが様々載っています。

嘘を見抜くには俗説もいろいろあります。例えば、嘘をつくと左や下を見るとか、神経質になったり、不安気にあちこち目を動かしたりといったことが言われたりします。実際にはこれらのことは俗説です。

実際の研究によると、30年ほど前の研究では嘘をつくと、言い間違えが増え、会話の一時中断が増え、声のピッチが高くなるとしています。また、25年ほど前の別の研究では嘘をつくと言い間違えが増え、手のジェスチャーが増え、会話の一時中断が増え、返答時間が遅くなり、会話が短くなるとしています。

たしかに、このような非言語的な特徴が表れる傾向はあります、一方で、多くの人は嘘を見破ろうとする時に、このような非言語的要素を重視しすぎています。


また、最近の研究によると、この非言語的な要素は、応答の遅延と会話のピッチのみが有意であり、しかも、あまり大きな差異がないというものもあります。なお、このような嘘の発見については、相手に話を合わせるといった日常に見られるちょっとした嘘と警察で供述するような大きな嘘では違いが見られ、大きな嘘の方が違いがより見られます。


非常に小さな差異なので訓練を受けてもそれほど嘘を見抜けるようにはならないという研究もあります。もちろん訓練を受ければ多少の差はでるようですが。


(文: SY)

関連記事:
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嘘を見抜くちょっとしたポイント
瞬きは迷いのサイン

2011年03月23日

オーストリッチ効果

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人は嘘を暴きたがらないということがあります。これはオーストリッチ効果(ダチョウ効果)とも呼ばれます。ダチョウは危険になると自分の頭だけ砂に突っ込んで見ないようにするという話から来ています(これは作り話)。つまり、自分がリスクのある情報は知りたがらないのです。


このような原因としてはいくつかあり、一つは嘘が真実よりも心地良いということがあります。また、真実を知ってしまうと、その後に起こることが怖いのでそのままにしておくということがあります。さらに、真実を知ったとしても何をしていいのか分からないため、真実を知ろうとしないということがあります。

このように、人には嘘を暴きたがらないという動機があるのです。


ちなみに、人は自分が人の嘘を見抜く能力については、実際よりも高く見積もっています。自分が思っているほど嘘を見抜くのが下手なのです。

一方で、自分が嘘をつける能力については低く見積もっています。意外と嘘をつくのが上手いのです。


(文: SY)

関連記事:
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初対面ではどんな嘘をつく?
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瞬きは迷いのサイン

初対面ではどんな嘘をつく?

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Barking up the wrong treeに面白い記事があったので、紹介します。

Feldmanらは、”Self-Presentation and Verbal Deception: Do Self-Presenters Lie More?”で初めて会う人の嘘について研究しました。


この研究では121組の心理学科の大学生を被験者として、下の3つのゴールを持つグループに分けて初対面のパートナーと10分間会話をしました。

1.統制群: 特に目的を決めません。
2.競争: それぞれが競争相手と考えて、相手に自分の能力を表現する。
3.好感: 相手に自分が好ましいと思わせるように、あなたを見せる。

この会話は内密にビデオに撮られており、それぞれが自分がついた嘘を確認しました。ここで被験者の40%は全く嘘をついていないと主張しました。この40%は本当かどうか分かりませんが。残りの60%の被験者は平均で3回の嘘をついたと主張しています。あえて自分が嘘をついたと言う必要はないので、実際にはこの回数はもっと多いと見ることが出来ます。


ほとんどの嘘は、相手の機嫌をとるためか、ゴールを達成するために行われました。男女では嘘の数は同じですが、男性は自分をよく見せるなど自分が得をするための嘘が女性より多く、特に女性と話している男性では多いことが分かりました。

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さらにこの研究では嘘を、以下の5つに分けてそれぞれどれだけの嘘があったかを検証しています。

 感情: 感動、情動、意見、評価に関する嘘
 達成: 達成、成功、知識などに関する嘘
 行動: 自分がしたことや、やっていること、やろうとしていることの嘘
 説明: ある行動の、理由や説明の嘘
 事実: 物事、事象、人、所有物などについての嘘

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このグラフを見れば分かるように、男女共に感情に関わる嘘が多いことが分かります。また、男性の場合は、相手の好感を得るために感情に関わる嘘が、女性の場合は相手と競争をするために感情に関わる嘘が多いことが分かります。また、目的を持って会話をすると嘘が多くなることも分かります。


この研究から嘘を見抜くことは出来ませんが、どういった嘘をつきやすいかということは分かると思います。


元記事はこちら、”Meeting someone new? You're likely to tell 3 lies in 10 minutes”

(文: SY)

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2011年03月03日

謝罪は思ったほどには効果がない

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オランダのエラスムス大学のDavid De CremerとロンドンビジネススクールのMadan M. Pillutlaが、「謝罪にはどのくらいの価値があるのか?」という研究をしました。

この研究からは、2つのことが明らかになりました。

1つめは、謝罪をした側が「この謝罪はこの位の価値を持つだろう」という想像は、実際に謝罪された側が感じる価値よりも大きいということです。つまり、謝罪する側は、実際に謝罪をして終わったと思っていたとしても、謝罪された側はまだ納得していないということです。

2つめは、謝罪については、実際に相手から謝罪をされた場合と、「謝罪されたと想像してください」と言われて想像した場合と、同じくらいの効果になることが分かりました。意外な結果ですが、このことがどのように使えるかは分かりません。。。あ、飲み会の席でのトリビアとしてはいいかもしれませんね。


このようなバイアスがあることを知って、謝るときにはちょっと余分に謝っておきましょう

元の記事はこちら


(文: SY)

Association for Psychological Science (2011, January 23). Apologies aren't as good as people imagine they'll be. ScienceDaily. Retrieved March 3, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110118154735.htm

2011年02月19日

フェイスブックの7つの習慣



【フェイスブックについての7つの心理学的ヒント】

好き嫌いはともかくフェイスブックは身近な存在になりつつある。その誕生の物語「The Social Network」が世界中で上映され、今後もそれは身近なものであり続けるだろう。


フェイスブックをうまく使うために、これまでの研究をベースにした7つのヒントを紹介しよう。
もしこのヒントを利用しないとしても、少なくともフェイスブックが話題になったときに心理学研究の興味深い結果を披露するのに役立つだろう。

1.100〜300人の友達を作れ
フェイスブックでは友達が多すぎても少なすぎてもよくないようだ。
人が維持できる人間関係は150人までと言われている。
Tongら(2008)は、フェイスブックの魅力はこの数字あたりでピークに達すると言う。友達が300人以上または100人以下になるとフェイスブックの魅力は低下しはじめる。


2.見た目のよい友だちを求めろ
あなたの友達、つまり「ウォール」に書き込みをしてくれる人は外見のよい人にしよう。
Waltherら(2008)は、外見が魅力的な友達は、あなたのプロフィールの魅力を向上させると言う。
オフラインの世界と違って、あなたの外見の評価が高まることはないのだから外見がイマイチな人は遠ざけよう。

3.7つの動機を理解しよう
フェイスブックで友達をもっと増やしたいなら、フェイスブックの魅力を理解するのが有益だ。
Joinson(2008)は、フェイスブックには7つの基本的動機があることを明らかにした。
つまり、旧友や遠くの友達とつながること、社会的監視(会話をせずとも旧友が何をしているか分かる)、オフラインであった人を調べる、ヴァーチャルな人間観察、ステイタスのアップデート、そして内容だ。

4. パートナーにフェイスブックを使わせるな
Muiseら(2009)は、フェイスブックに多くの時間を費やすユーザーはパートナーに嫉妬しやすいことを示した。おそらく、フェイスブックのない時代なら知ることのなかったパートナーのあれこれ(パートナーの知り合いや、住んでいた場所)を知るからだ。
だから、パートナーを嫉妬させたくないなら、フェイスブックのプロフィールを見せてないけない。気にならないなら、そのままでもいいだろう。


5.プライバシーを死守せよ
プライバシーについては、フェイスブックでも大きな議論の的になっている。なぜならば、多くの人のソーシャルネットワークのプロフィールは様々なことを伝えるからだ。
Noskoら(2010)は、特に独身の若者たちは自分についてのセンシティブな情報を開示しやすいことを明らかにした。これは大々的なオンライン脱抑制効果(online disinhibition effect)だ。
しかし、Boyd(2010)によると、1年前よりも若者はプライバシー環境に配慮している。だから、このメッセージは浸透しつつあるのだろう。
これまでにも聞いたことがあるだろうし、これらかも再び聞くだろうメッセージがこれだ。
「自分についてオンラインで言ったことに注意しよう。誰が記録しているかあなたには分からないのだから」

6.等身大の自分を見せろ
驚くことに、人はフェイスブックのプロフィールを信頼している。Backら(2010)はフェイスブックのプロフィールは一般的に理想の自分ではなく現実の自分を反映していることを明らかにした。
フェイスブックユーザーはすべての友達を個人的に知っているわけではないが、彼らはおそらく好きだとアピールしている映画や本、バンドが本当に好きなはずだ。


7.仕事を得るためにフェイスブックを使え
いまや故郷や旧友から遠く離れて暮らすことはよくあることなので、人生で力を貸してくれる人とのつながりも簡単に失ってしまう。フェイスブックはそこに手を差し伸べる。
Ellison(2008)らは、フェイスブックユーザーは優れた「社会関係資本(social capitals)」を持っていることを明らかにした。つまり、人は、自分のフェイスブックでのつながりを職探しや他のチャンスを得るために使っているのである。
このように、フェイスブックユーザーは知人や知人になりたい人の写真を渡り歩いているだけではなく、社会関係資本を構築しているのだ。


少なくとも、これらのヒントは私がこれから使うであろう口実だ。

(この記事はPsyblogの「Facebook: 7 Highly Effective Habits」の翻訳記事です)

関連記事:
フェイスブックでの友達外しの3つの理由
フェイスブックは自尊心を上げる

2011年02月17日

嘘を見抜くちょっとしたポイント

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最近、”Lie to Me”というアメリカのドラマを見ています。これは感情研究の第一人者のポール・エクマンをモデルにしたドラマで、相手の表情で嘘を見抜くというライトマン博士の大活躍を描いたものです。表情を見抜く能力だけでなく、はったり能力も異常に高いのがアメリカ的ですが、見ていて非常に楽しめます。

このドラマの中で嘘をついた時の特徴が説明されていますが。
・会話の相手の反応を見るため、目をそらさずにむしろ相手をよく見る
・嘘をつくために、認知的な時間が必要であるため、一瞬考える

といったところが大きなポイントでしょうか。ちなみに嘘をつく時に右を見るとか左を見るとか一部の人達が言っていますが、これは話半分に聞きましょう。


さて、Association for Psychological Scienceのプレスリリースに
”Lie Detection: Misconceptions, Pitfalls, and Opportunities for Improvement”(嘘発見について 勘違い、落とし穴、改良の機会)という記事がありました。

ここで述べられていることのポイントを述べると、
1.嘘を見抜く時に、しぐさなどの非言語的な要素を重視しすぎることが多い
2.嘘を述べている時と真実を述べている時の差は非常に小さいので、気づきにくい
3.嘘を作っている時は認知的には負荷がかかっている。認知的な負荷は会話のちょっとした遅延になりがち。例えば事件での出来事を逆順に言わせると、認知的な負荷がさらにかかるので、嘘か真実か見抜きやすい。


といったところです。”Lie to Me”を見ていても、相手がしゃべっているのをビデオで撮っていて、スローモーションでチェックをしています。また、3の逆順で言わせるといったこともしていました。

”Lie to Me”の宣伝だかなんだか分からない記事になってしまいましたが、”相手の嘘を見抜くしぐさ”といった通俗的なものに惑わされずに(もちろんその中にはいくつかの真実もあると思いますが)、むしろ会話の中で相手の微妙な遅延に気づくようにしないといけません。とても難しいと思いますが。

元の論文はこちらです。


関連記事:
非言語的な部分で嘘を見抜く...のは困難です
オーストリッチ効果
初対面ではどんな嘘をつく?
嘘をつく時はどこを見る?
瞬きは迷いのサイン

顔は口ほどに嘘をつく
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2011年01月27日

フェイスブック世代を管理する5つの方法

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(c) お花大好き!写真素材 PIXTA



BNETに”Tips for Managing the Facebook Generation”という魅惑的なタイトルの記事が載っていたので読んでみました。

元記事はこちら

フェイスブック世代を管理する方法は、

1.人で導け
 フェイスブック世代を経験のあるのメンターと組ませて、仕事を学ばせましょう。

2.緊密に管理しろ
 フェイスブック世代は短い時間しか集中できません。また、仕事に対する動機を与えることができたら、ベストな働きをします。

3.仕事の詳細を説明しろ
 フェイスブック世代には、よくわかるように説明しましょう。

4.彼らのカルチャーを理解しろ
 例えばフェイスブック世代の音楽について知ることで、共通点を得る基本となるでしょう。

5.小さなキャリアパスを作れ
 フェイスブック世代には、ビジネスの様々な面を経験させるようなチャレンジをさせましょう。フェイスブック世代に、付加的なタスクとさらなる責任を与えましょう。

の5つです。


読んだ時に、あまりに普通なので驚きました..タイトルに騙されたかな、と。

しかし、日本で”最近の子には…”と言われていることと同じようなことが述べられているのが新鮮でした。日本で言われているのは、集合教育やOJTなどの社内教育に割かれるコストが激減したためと考えていたのですが、アメリカでも同じようなことが言われているんですねー


ちなみにこの記事では、フェイスブック世代のことを、リンクスター(linksters)とも書いていました。アメリカではそう呼ばれているんでしょうか。

2011年01月25日

創造的な人は、不誠実

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ハーバードビジネススクールのFrancesca Ginoと行動経済学者として有名なデューク大学のDan Arielyが”The Dark Side of Creativity: Original Thinkers Can be More Dishonest”(創造性のダークサイド 独創的な人はより非倫理的になりえる)という論文を書いています。

論文はこちら


創造性というのは、いいものと言われていますが、一方でより創造的な人はより不誠実な傾向があることが分かりました。

これは創造的な性格や創造性が、”箱から出る”ような考え方を引き起こすからです。

この論文では事例を通じて、発散的な思考を測定するテストで高得点を取る創造的な人がよりカンニングをする傾向があることを示しています。また、創造的であるとプライミング(無意識的に情報処理が促進)された被験者も同様に、より不誠実に振舞うことが分かりました。


より創造的な人は、自己正当化をより容易に行うことができます。人は自分視点からでの一貫性が必要ですので、より創造的な人がより不誠実となれると考えられます。


創造的であり箱から飛び出すことができる能力が高いと、一般的な倫理観の枠からも飛び出しやすいということでしょうか。


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2011年01月21日

第一印象はとてもとても長い手を持っている!

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サイエンス・デイリーに、なぜ第一印象がそんなにも持続するのか、という記事が載っていました。

(元記事はこちら


これは、西オンタリオ大学のBertram Gawronskiらの以下の研究を解説したものです。

Bertram Gawronski, Robert J. Rydell, Bram Vervliet, Jan De Houwer. Generalization versus contextualization in automatic evaluation.. Journal of Experimental Psychology: General, 2010; 139 (4): 683 DOI: 10.1037/a0020315


ここでは、第一印象は一般に言われている通りに重要であることが述べられています。

人は、他人を解釈するときに、第一印象が支配的であり、もし第一印象と違う経験をした時にも、第一印象がまるごと書き換えられるのではなく、違う経験をした時の”ある状況”においてのみ印象を変えます。


例えば、少女漫画でよくあるように。”ぱっと見不良”の第一印象最悪の男の子は、その後でこっそり子犬にエサをあげていても、”あの子は見た目は悪いけど、根はやさしい”と解釈するのでなく、むしろ”あの子は見た目は悪いけど、犬には優しい”というように、”優しい”という印象を、状況に限定したものとして解釈します。


つまり、第一印象は”全ての状況”においての予想となり、その後の新しい経験は”例外”としてみなされるということになります。


この第一印象を変えるためには、様々な状況において、新しい経験をして少しづつ第一印象を上書きする必要があるということです。ポイントは、同じ状況で何度もという頻度でなく、様々な状況で行うということになります。


ちまたで流布しているメラビアンの法則だかは気にしていませんでしたが、思ってたよりも第一印象の影響が大きいのですね。これからは第一印象に惑わされないように、もっと注意します。


APA University of Western Ontario (2011, January 21). Why first impressions are so persistent. ScienceDaily. Retrieved January 27, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110118113445.htm

2011年01月20日

外向的なリーダーの功罪

リーダーにとって外向性は必要でしょうか?当然、あった方でいいでしょう。


と、思ってました。本当でしょうか?


ペンシルバニア大学のAdam Grantらの論文 "Reversing the Extraverted Leadership Advantage: The Role of Employee Proactivity" では、別の視点を提供しています。

この研究では、メンバーが受け身か自発的かによってリーダーの外向性が良いものかどうか変わると言っています。


ピザ屋の事例と研究所での事例において、外向的なリーダーはそうでないリーダーよりも
A) 自発的なメンバーの下では、より低い利益/パフォーマンスしか得られない。
B) 受け身なメンバーの下では、より高い利益/パフォーマンスを得られる。
と、メンバーが受け身かどうかがポイントという結果を得ています。


これは支配相補性(Dominance Complementarity)によって説明されます。人は他者との関係においてバランスを取ろうとするため、ある人が支配的に振舞うと他の人が従順に振舞うというような支配相補性を持っています。これによって外向的なリーダーが、自発的なメンバーのパフォーマンスを低下させると考えられます。

また、外向的なリーダーの方が、メンバーの自発的なアイデアや提案を聞かない傾向があることも、要因の一つと考えられます。


直感的には、外向的な人の方がリーダーに向いていると思いますが。人と人の間の支配関係が見えないパワーバランスとなって、チームのパフォーマンスを上下させるというのが面白いですね。


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