2013年11月05日

失敗の後に、楽観さを取り戻す簡単な方法

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ケルン大学のKai Kasparらは、手を洗うことで楽観さが増すことを示しました。この実験は、1回目に困難なタスクをします。その後にもう一度タスクを行うと、一度手を洗ったグループは高いパフォーマンスを示すのに対して、手を洗わないグループはパフォーマンスが悪くなります。これはどうやら手を洗うことで、楽観さを回復しているようです。

以前も”気持ちをリセットする簡単な方法”という記事で、手を洗うことで気持ちがリセットされるという記事を書きましたが、今回も同じような結果を得ています。仕事で上手くいかないことがあったら、是非一度手を洗いにいってください!


この記事はケルン大学の”Washing your Hands makes you optimistic”を参考に書きました。

この写真はflickrのcafemamaさんの写真を使用しています。

(文: やまざきしんじ)
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2013年08月26日

働きすぎは肉体面にも注意!

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普通、働き過ぎというと、燃え尽きとか幸福度が低下するとか精神的なことに影響を与えているとまず考えてしまいませんか?


カンザス州立大学のSarah Asebedoらは、1979年から1994年に渡った12686人を対象としたアメリカの若者の縦断研究を使用して、働き過ぎが健康面と精神面に与える影響を調べました。ちなみに、この研究では、1週間50時間以上の労働を働き過ぎと定義しています。

この研究によると、働き過ぎはもちろん精神面や幸福度にも影響を与えているのですが、それよりも肉体的な面に影響を与えているとのことです。

(この研究では実際に健康状態を調べたのでなく、食事を抜く頻度を調査しています)


たしかに、働き過ぎが、精神的なストレスを増大させたり、余暇時間や家族との時間を奪ったりといったことに影響を与えそうですが、健康面にも大きな影響はありそうですよね。そして、精神的な面よりも、注意すれば多少の緩和が出来そうです。


そういえば、私も忙しかった時期は、夜8時くらいにインスタントラーメンを食べて、あとは12時すぎにコンビニ弁当を買って帰るといった時期がありました。今から考えると、精神的な面だけでなく健康的にもリスクが高かったですね。


Asebedoによると、このような働きすぎに対しては、まず働き過ぎが肉体的にも精神的にも影響があることを認識して、それを和らげるようにということを述べています。忙しい時には暴飲暴食をしたり、休日にほとんど運動もせず、ぼーっと一日DVDを見てすごしたりといったことがありますもんね。精神的なストレス解消も大事ですが、不健康という肉体的な面にも注意しないといけませんね。

また、部下の残業が多い上司は、精神的なストレスや燃え尽きには気をつけているかもしれませんが。食事をちゃんと食べているかなど、肉体的な健康面にも気をつけてあげてください。


この記事はカンザス州立大学の"Well-being not a priority for workaholics, researcher says"を参考に書きました。


(文: やまざきしんじ)
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2013年03月27日

フェイスブックプロフィールの魔法(自分に!)

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フェイスブックのプロフィールを見ていると自尊心が上がるという研究については、以前”フェイスブックは自尊心を上げる”という記事で紹介しました。


今度も同じコーネル大学のJeffry Hancockらが、実験を行いました。これは学生を対象とした2つの実験からなっています。

1つめの実験は、被験者はちょっとしたスピーチを行ってから、しばらくフェイスブックの自分のプロフィールか他人のプロフィールを見ます。そのあとに、スピーチについて否定的なコメントをされるというものです。
この時、自分のプロフィールを見ていた人は、否定的なコメントに対してもそれほど防衛的な態度を取りませんでした。

2つめの実験は、被験者はちょっとしたスピーチをしてから、肯定的、もしくは否定的なコメントをされます。その後で、被験者は自分のフェイスブックのプロフィールを見るか、もしくはYoutubeやニュースサイトを見るか選べるというものです。
この実験では、否定的なコメントをされた被験者は、より自分のプロフィールを見るという結果になりました。


この2つの実験は何を意味しているのでしょうか?フェイスブックの自分のプロフィールを見ることで、自尊心が満たされ、相手からの否定的なコメントに対しても防衛的な態度を取らずにすむ。また、相手から否定的なコメントを受けた時には、自分のプロフィールを見ることで自尊感情を回復させていると考えることができます。

以前の研究でも、自分のプロフィールを見ることで自尊心が高まるということがわかりましたが今回の研究からも、プロフィールと自尊心はつながっているということがわかりますね。


この記事はコーネル大学の"Like! Facebook assures us we're good enough, smart enough"を参考に書きました。

(文・絵: やまざきしんじ)

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2012年12月11日

意思決定力が、ストレス対処にも効く!

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スペインのグラナダ大学のAna Santos-Ruizらが、スキルのある人とない人の意思決定と唾液のコルチゾール濃度の関係について調査しました。通常、コルチゾール濃度は、ストレスとの関係が知られており、ストレスがかかると濃度が上がることが知られています。また、最近の研究では意思決定へのストレスの影響について明らかになりつつあります。

この研究では40人の健康な女性がアイオワ・ギャンブル課題という課題をしてもらい、それからバーチャル・リアリティを使って架空の観客の前でスピーチをするというストレスをかけました。それから視床下部・下垂体・ 副腎皮質系の活動状況を調べることでストレスを調査し、また唾液のコルチゾールレベルを調査しました。

これによって、意思決定のスキルが、ストレス対処に大きな役割を持っており、コルチゾールレベルを低く抑えることが分かりました。


結論自体は予測できることかもしれませんが、バーチャル・リアリティを使うというのが面白かったです。最近はヘッドマウントディスプレイの値段も下がってきており、またコンピュータグラフィックスの精度も高くなって来ました。バーチャル・リアリティを使った認知行動療法の研究というのも読んだことがありますが、様々なところでヴァーチャル・リアリティが使われてきましたね。





この記事は以下の記事を参考に書きました。
University of Granada. "Saliva analysis can reveal decision-making skills." ScienceDaily, 10 Dec. 2012. Web. 11 Dec. 2012.

上の絵は、以下の論文のものです。
Ana Santos-Ruizら,"Can decision-making skills affect responses to psychological stress in healthy women?" Psychoneuroendocrinology, 2012; 37 (12): 1912 DOI: 10.1016/j.psyneuen.2012.04.002


(文: やまざきしんじ)
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2012年09月27日

緑の中をジョギングしましょう!

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毎日の仕事で日々、ストレスを貯めている人はどうすればいいでしょうか?オススメの方法は、緑の多い(大きめの)公園で5分間走るというものです。また、緑のある整備された堤防沿いをジョギングするのもいいでしょう。


イギリスのエセックス大学のJo Bartonらが、様々な年齢や精神状態の1252人について、ウォーキング、ガーデニング、サイクリング、釣り、ボート、乗馬、農業といった行動をした場合に精神状態がどうかわるかという10の研究を解析しました。


行動としては自然に関係する行動が有効です。例えば、街の中にある緑の多い大きめの公園を走ったり川もあるような緑の場所を散歩したりといったことがいいですね。また、特に若者や精神的に病んでいる人に特に有効であることが分かりました。


人は緑によって癒されるということはよく言われています。それでは、皆さんは散歩やランニングコースに緑のある場所を入れているでしょうか?ランニングコースを少し工夫をして、健康増進だけでなく、精神的な健康にも有効な緑のゾーンを取り入れてはいかがでしょうか?


ちょっと違う視点ですが、「植物が注意力を増やす」という記事を以前書きました。オフィスにも緑を少し置いてみるといいかもしれませんね。


この記事は以下を参考に書きました。
American Chemical Society. "In the green of health: Just 5 minutes of 'green exercise' optimal for good mental health." ScienceDaily, 21 May 2010. Web. 26 Sep. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年08月27日

怖いと言うか、リフレーミングか、どっちがストレス?

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カリフォルニア大学ロスアンゼルス校のKatharina Kircanskiらは、感情と言語の関係を研究しました。この研究では、クモ恐怖症の人が、クモに近づいた時の言葉と実際の気分の関係を調べました。

実験では、クモ恐怖症の人を4つのグループに分けて、クモに近づく時に以下のいずれかの指示をします。
・クモに近づく時に現在のネガティブな感情を言葉にします(怖いグループ)
・クモに近づく時に、中立な言葉を使って、その状況を”再評価”するようにします(リフレームグループ)
・クモに近づく時に、関係ない話をします(中立グループ)
・特に何も指示をしません(指示なしグループ)

すると、ネガティブな感情を言葉にした怖いグループが、一番、落ち着いていて、また他のグループより少しクモに近づくことを恐れませんでした。このことは、恐ろしい状況ではそれを口にすることはやはり良いということを示しています。また、1週間後に別のクモを使った実験でも、ネガティブな言葉を発していたグループが一番落ち着いていました。


嫌なことは、そのまま口にした方がストレスが減るというのは説得力のある理論ですが、一方で嫌なことは”再評価”する方がいいという意見も説得力のあるものです。この研究結果は、クモ恐怖症での実験ということで、あるヒントを与えてくれますが、どこまでこの理論が通用するかという適用範囲が難しい研究結果でもあります。


この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "Language, emotion and well-being explored." ScienceDaily, 23 Aug. 2012. Web. 27 Aug. 2012.


(文・絵 やまざきしんじ)
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2012年08月10日

歳を重ねるとニコニコ対処?

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ノースイースタン大学のDerek Isaacowitzらは、高齢者のストレス対処方法についての研究をしました。

この研究によると、歳をとった人は、気分が悪い時でもそれほど沈んで見えません。一方、若い人は、気分が悪い時は、沈んで見えます。このように悪い気分の時にも、それほど沈んだ外見をしないのは、気分を沈み込まないためにも有効な戦略です。

たしかにストレス対処方法として”笑顔”が有効というのはよく言われています。「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」として知られるジェームズ・ランゲ説ということを聞いたことがないでしょうか?


そして、人は歳をとると自分のストレスへの対処が上手くなるのか、外見のコントロールもできてくるようです。そして、外見のコントロールが、気分の低下を抑えるポイントにもなるのです。


この記事はAssociation for Psychological Scienceの"Why Do Older Adults Display More Positive Emotion? It Might Have to Do with What They’re Looking At"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年08月08日

嘘を減らして健康に!

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ある研究では人は、週に11回嘘をついているそうです。

※10分で3回嘘をつくといった研究もあります。これはどこまでを”嘘”とするかと、どうやって測るかによるでしょう。

嘘の中には、相手のための嘘やその場の空気を壊さないための嘘といったものもあるので、嘘自体がいいか悪いかは難しいところです。社長とカラオケに行って「僕の歌どう?」と聞かれて、「正直、下手です」と答える人はきっといないでしょう。

でも、やっぱり嘘はつかない方がいいみたいです。


ノートルダム大学のAnita Kellyらは18歳から71歳の110人の被験者を10週間に渡って嘘に関する調査をしました。被験者の平均年齢は31歳で、66%が大学生でした。

被験者の半分は大きな嘘と小さな嘘をやめるように言われ、残りの被験者は何も指示されませんでした。被験者は毎週、研究室に来て嘘の数を評価しました。


この結果、嘘をつかないように言われたグループはいつもよりも嘘をつくのを3つ減らすと、憂鬱や緊張といったメンタルの問題が減少し、頭痛や喉の痛みといった身体の問題も減りました。一方、何も言われていないグループでも嘘を3つ減らすとメンタルと身体の問題がわずかに減りました。

この研究を通して、嘘をつかないように言われたグループは、この10週間で有意に嘘が減りました。また、5週めで、自分がより正直になったと感じていました。さらに嘘を減らすことで、個人的な関係もより改善し、社会的により上手く対応できるようになったと感じていました。


また、この研究では嘘をつかないようにするために、嘘つくのを回避する方法を被験者が学習したということを述べています。趣味の悪い服を相手が着ている時に「この服どう?」と聞かれそうなら、その前に「珍しい服だねぇ?どこで買ったの?」と聞くのは、嘘を避ける良い方法です。このように質問することは、相手への興味を示すことにもなるので、互いの関係も良好になるでしょう。

嘘をつくことは、精神的にも身体的にもストレスがかかることです。また、嘘をつかないで済むようなテクニックも磨くことができるということですね。


この記事は以下を参考に書きました。
American Psychological Association (APA). "Lying less linked to better health." ScienceDaily, 4 Aug. 2012. Web. 7 Aug. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年07月15日

他人のために時間を使う?自分のために時間を使う?

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人は自分の時間が常に足りない、といっています。

24時間じゃなくて25時間だったらいいのに、
時間がないから睡眠時間を削ってテレビをみてる、
あと30分あれば仕事が終わるのに、


土日も仕事のことをずっと考えることはいいことだとも思いますが、燃え尽きてしまっては元も子もありません。


でも、実際の時間を増やすことはできませんが、時間の感覚を変える方法はありそうです。ペンシルバニア大学のCassie Mogilnerらは実験から、自分のために時間を使う人よりも、他人のために時間を使う人の方が、自由な時間があると感じることを明らかにしました。

仕事が忙しくても、家族のために時間を使う、友人のために時間を使う、といったことが結果的には、時間が長くなったような気がして、その人の時間に対する余裕を生んでくれるのです。

寄付をすると結果に対してより楽観的になるといった記事を先日書きましたが、人には自分よりも他人に対してコストを払うことで自分が得をするようにできているんですね。興味深いです。


この記事はAssociation for Psychological Scienceの”Giving Time Can Give You Time”を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年07月09日

客観的に怒りを鎮める

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怒った時に、自分を少し遠いところに置くことで怒りを鎮めることができます。え?当たり前ですって?


オハイオ州立大学のDominik Mischkowskiらの実験は、被験者がアナグラムの課題をやっている時に邪魔が入るというものです。この時に「自分を状況から遠ざけて、状況を眺めてください」と言われるグループでは、怒りが減ります。自分を状況から遠ざけるというのは怒りのコントロールにおいても有効なんですね。たしかに、状況から少し遠ざかることで、事態を客観的に見ることができ、怒りを鎮めることができそうです。しかも、ただ「自分を状況から遠ざけて、状況を眺めてください」と言われるだけというのは単純な手法でいいんですね。


ちなみに、以前”箱と自分から脱出するクリエイティブ思考”という記事では、客観的になることでよりアイデアが生まれやすくなるということを書きました。一方で、”ストーリーを売れ: ”入り込んで”説得する”という記事では、具体的になることで説得をしやすくなるということを書きました。人は具体的になってその物事に”近づく”ことで客観的でなくなり、また批判的に物事を考えなくなります。

主観的・具体的になってしまうと、怒りを鎮めることも難しいし、その状況の解決策を見つけたりそもそも判断する力も減ってしまうので、トラブル時は要注意ですね。


この記事は以下を参考に書きました。
Ohio State University. "'Self-distancing' can help people calm aggressive reactions, study finds." ScienceDaily, 2 Jul. 2012. Web. 9 Jul. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年07月01日

SNSと自己愛

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ジョージア大学のBrittany Gentileや”自己愛過剰社会”の著者の一人キース・キャンベルらの研究です。

18から22歳の151人を対象とした実験。15分間で1つのグループはMySpaceという日本のMixiのようなソーシャルネットワークで自分のプロフィールを編集して、もう1つのグループはグーグルマップを使ってもらいました。すると、MySpaceを使ったグループはより自己愛傾向が高まりました

2つめの実験では、今度はフェイスブックを使って実験をしました。すると、フェイスブックでは自尊心が高まったのですが自己愛は高まりませんでした。


非常に面白い結果ですが、なぜMySpaceとフェイスブックで違いが出たのかがよくわかりません。元のニュースでは、MySpaceは自分のプロフィールに注目してしまうが、フェイスブックでは友達のニュースなどの情報が入ってくるからと記載されていたのですが、私はいまいち納得できませんでした。

しかし、SNSの使用によって、自己愛が高まるというのも、自尊心が高まるというのも十分に考えられることです。もう少し詳細な研究を待ちたいところです。誰か日本でMixiとフェイスブックでしてくれないでしょうか?^^;;


この記事はジョージア大学の"Facebook makes us feel good about ourselves"を参考にしました。


(文・絵: やまざきしんじ)


この本はとても面白かったです。今年読んだ本の中でトップクラスの面白さ^^;;

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2012年06月22日

金と地位、どっちが大事?

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幸福は銀行口座に預けてあるお金からはやってきません。以前書いた”年収と幸福度”という記事では、たしかに収入が増えると幸福度が上がるという内容を書きました。


しかし、お金よりももっと大事なことがあります。カリフォルニア大学バークレー校のCameron Andersonらの研究は、経済状態、社会的地位と幸福度の関係に関するものです。

この研究によると、経済よりも社会的地位の方がより幸福度に影響を与えているようです。ここでいう社会的地位というのは「大企業の社長さん」といったものでなく、会社の中での地位、昔からの友達の間でのポジション、趣味のゴルフ仲間でのポジション、よく行くバーの常連内での立場、こういったものを指しています。つまり、社会的地位というのは自分の属している様々な狭い社会の中で、どのくらい尊敬されているか、影響力があるか、といったものです。

この研究の大学生を対象とした調査では、経済状況よりも、友人関係などの社会的地位の方がより幸福度に影響を与えていることが分かりました。また、MBAの学生の卒業前後での社会的地位と経済状況の変化と幸福度の関係を調査したものでも、社会的地位の方が幸福度に影響を与えていることが分かりました。


たしかに収入よりも、日常の中での人間関係の方がより幸福度に影響を与えていそうです。MBA卒の新入社員ならばかなり稼いでそうですが、会社内では一番下の地位で、友人関係も新しく作りなおさなければならず、様々なコミュニティ内で新参者となります。収入が増えても、やはり幸福度は下がってしまうようですね。

転職などを考えている人は、こういった社会的地位(狭い社会でのポジション)が幸福度には大事ということも考慮して行うことがいいでしょう。


この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "Respect matters more than money for happiness in life." ScienceDaily, 20 Jun. 2012. Web. 22 Jun. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年06月18日

スリーグッドとはちがう、幸せになる方法

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ポジティブ心理学は最近流行っています。ポジティブ心理学の権威であるマーティン・セリグマンが提唱しているスリーグッド(毎日、その日あったいいことを3つ挙げる)というのは私の周りでも流行っていますし、ツイッターでも #3good といったハッシュタグでその日あったよかったことを書いている人がたくさんいます。


スイスのチューリッヒ大学のRene Proyerらの研究は、人の強みとなる特性にフォーカスをして、人生の満足度を向上させられるか調べたものです。この研究では、”楽観主義”や”好奇心”などの特性を練習することで向上させ、その結果として、人生への満足度が上がっているかを調べました。

この研究では、チューリッヒ強みプログラム(Zurich Strength Program Z.S.P.)というプロジェクトを通じて、178人の成人を対象としました。この研究では被験者を3つのグループに分けて、1つめのグループは”好奇心”、”楽観主義”、”ユーモア”、”熱意”の練習を4-8週間行いました、2つめのグループは”創造性”、”優しさ”、”学習欲”、"洞察力”の練習を4-8週間行いました。3つめのグループは何もしませんでした。

ちなみに練習というのは、大事な人に感謝の言葉を書くといったこと、新しい人に会うこと、優しくした回数を数えるといったことをするように言われ、毎日このようなトレーニングのセッションを行います。


この研究では、実際に練習を通じてそれぞれの特性が向上しているのが分かりました。また、1つめの”好奇心”、”楽観主義”などを練習したグループは、人生への満足度があがりました。つまり、人の特性にフォーカスして、人を幸福にできたのです。


スリーグッドとは違って、この研究のように強みになるような特性にフォーカスをして人生への満足度を向上させるというアプローチは、人の幸福感についてさらに示唆を得るものではないでしょうか?今後は、このような詳細な方法や分析によって、ポジティブ心理学の研究がさらに深まっていくのではないかと思います。


この記事は以下を参考に書きました。
René Proyerら, 2012 "Testing strengths-based interventions: A preliminary study on the effectiveness of a program targeting curiosity, gratitude, hope, humor, and zest for enhancing life satisfaction.", Journal of Happiness Studies (in press). doi:10.1007/s10902-012-9331-9


(文・絵: やまざきしんじ)

あれ?Amazonで新品が品切れなんですね(2012/6/18現在) この本は超オススメです。


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2012年06月14日

収入増えても幸せにならない人

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ワーウォック大学のEugenio Protoaとミネソタ大学のAldo Rustichiniの研究は、性格特性と収入と生活への満足度に関するものです。

これはイギリスでのBritish Household Panel Survey (BHPS)の1996-2008年のデータとドイツでのGerman Socioeconomic Panel Study (SOEP)の1984-2009年のデータ元に分析をしたものです。


このデータの解析結果から、神経症的傾向が高い人は、収入が増えても満足しないことが多いことが分かりました神経症的傾向というのはビッグファイブという心理学でよく用いられる性格検査で使われる性格特性の1つで、心配性だったり、抑うつ傾向が高かったり、ストレスやプレッシャーに弱かったりするような傾向です。ウッディ・アレンの映画で、よくウッディ・アレンが演じてるキャラクターが分かりやすいですね^^;; 心配性でひがみっぽくて、細かいことを気にして、他人の目をとても気にしているような人をイメージするといいですね。


この調査では、このような神経症的傾向が強い人は収入が増えても満足しない傾向がありましたが、収入が少ない人は収入が増えれば満足度が上がっていました。しかし、収入が多い人の場合は、収入が増えても自分が思ってたほどでないためか、満足度が下がることさえあります。高収入の神経症的傾向が強い人は、自分が作った罠にハマってしまうのか、収入が増えてすら人生の満足度が上がらないことがあるということです。


通常は、収入が増えると人生への満足は増えていきますが、神経症的傾向の強い人だけは例外のようです。

この記事は以下を参考に書きました。
University of Warwick. "More can mean less when it comes to being happier, especially if you are neurotic." ScienceDaily, 9 Jun. 2012. Web. 14 Jun. 2012.

この記事は以下の論文も参考にしました。
Eugenio Protoaら. "Life Satisfaction, Household Income and Personality Traits." CAGE working paper, n.86, presented

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年05月28日

文章は8割ハッピー

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以前書いた、「世界は幸せにあふれている?」という記事では、新聞、本、ツイッターのつぶやき、歌詞を分析すると、その全てで幸福な言葉の方が多いということを書きました。


スイスのチューリッヒ工科大学のDavid Garciaらの研究は、Googleが提供しているデータに対して、単語がポジティブなのかネガティブなのかをスコアリングされた辞書を適用して分析するというものです。この研究では英語、ドイツ語、スペイン語について研究されています。

まず、単語のスコアリングについてですが、例えば”パーティー”や”日の出”はそれぞれポジティブな単語ですが、”出産”の方がよりポジティブな単語じゃないでしょうか?このようにして、それぞれの単語を複数の人がスコアリングしておきます。それから、実際の文章で、単語のスコアで重み付けして頻度を書くと、それぞれの言語でポジティブとネガティブの単語の比率は英語は約87%がポジティブ、ドイツ語は80%、スペイン語は79%がポジティブとなりました。どの言語でもやはり、ポジティブな単語の方が多いのです。


一方、この研究ではネガティブな単語の方がより情報が多いということを述べています。これは、発生率が低いものはより大きな情報量をもたらすためです。「いいですね!」というコメントはいっぱいつくため忘れ去られても、「そうなの?」というコメントは滅多につかないので覚えているのではないでしょうか?この辺りは情報理論の情報量というキーワードになります。


また、この研究は、人はコミュニケーションにおいてポジティブなことを多用することを実証したものと言えます。どの言語においても、圧倒的にポジティブな単語が多いのは、受け手のことを考えるとポジティブな単語が増えるからと言えますし、一方で受け手にウケることを考えるとポジティブなことを書きたくなるからとも言えます。

また、この研究において出てきた、約8:2というポジティブ:ネガティブの比率は一つの指針として使えるのではないでしょうか?ただし、この研究は文書を対象としたものなので、会話を対象としたものの比率ではないという点は注意しないといけないと思います。今後は、文書と会話の違いの研究や、会話でも相手との関係性によって変わってくるといった研究などが行われていくのではないかと思います。


この記事は以下の論文を参考に書きました。
David Garciaら, 2012, "Positive words carry less information than negative words.", EPJ Data Science, 2012 1:3


(文・絵: やまざきしんじ)

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2012年05月13日

もっと細く、もっと美しく

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多くの女性は、自分の身体に満足していません。メディアや友人から「もっと細く、もっと美しく」というプレッシャーがあり、病的なまでに痩せたり、適切な食事をとらないということまで発展することもあります。

アリゾナ大学のShannon Snappは、2つの大学での301人の大学1年生を対象とした調査をしました。

この調査では、家族のサポートがあること、家族・友達・メディアからの細くならなきゃというプレッシャーが弱いことが、細く美しくという願望を減らし、自分のボディイメージの評価をポジティブにし、ストレスに上手く対処できることが分かりました。


もっと細く、もっと美しくというプレッシャーは巷にあふれています。そして、女性は自らの細さと美しさの渇望に上手く対処しないといけないです。特に最近は、「**歳に見えない」ということだけがウリの人が健康食品の宣伝したり、フォトショップで修正した非実在モデルの広告写真を目にすることが多いですからねー。

また、私たちは見た目だけで他人を評価してしまうということをついつい行なってしまいますが、それが女性を苦しめてしまいます。この結果を見ると家族や友人が大事なんですね...ちょっと反省。


この記事は以下を参考に書きました。
Springer Science+Business Media. "Self-worth needs to go beyond appearance, experts say." ScienceDaily, 9 May 2012. Web. 11 May 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年05月10日

幸福になったら、それをキープ

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人はどうすれば幸福になれるのでしょうか?


これは、経済学にとって大きなテーマであると同時に、最近では心理学にとっても大きなテーマです。

ミズーリ大学のKennon Sheldonとカリフォルニア大学リバーサイド校のSonja Lyubomirskyが481人の大学生を対象として、幸福についての研究を行いました。

この研究では、最初に被験者の幸福度を調査して、6週間後に彼らの生活での最近のポジティブな変化とそれが幸福にしたかを調べました。さらに6週間後に、その幸福度の向上が続いているかを調べました。すると、ほとんどのひとは、幸福度の向上は続いていませんでした。

どういうことでしょうか?


幸福度は、新しいパソコンを買ったり、恋人ができたりすると向上します。しかし、やがてそれは薄れていきます。古いパソコンから新しいパソコンへの変化は、最初の1週間もすれば、もはや新しいパソコンが当たり前になり、新しい恋人とのデートも次第に「もっといい人」に憧れたり、「この人でもいいけど、もっとここを直せばいいのに」と勝手にハードルを上げてしまって、幸福度の向上が薄れていきます。


それでは、幸福度を常に向上させるために、常にお気に入りのものを買うという戦略はアリでしょうか?

きっと、お気に入りの靴をどんどん買っていけば、そのうち家に革靴が50足も溜まるでしょうが、きっと幸福度はそれほど上がりません。


Sheldonの提唱するHedonic Adaptation Prevention (HAP) モデルでは、この幸福度の向上を出来るだけキープするヒントをくれるかもしれません。

ヒントとしては、幸福度を上げてくれたイベントを再評価する、また様々な面を見るというものです。ざっくり言えば、靴を買ったら、買った靴を履いて外出をしたり、靴を磨いたり、その靴メーカーについて書かれた雑誌のバックナンバーを読み返すといったことでしょうか?

もちろん恋人が出来た場合は、その恋人について考えたり(言われなくても考えていそうですが)、二人でネズミの国や日本昭和村へデートに出かけた時のことを妄想したり、二人で行ったフレンチレストランについて思い返すといったことが考えられます。


人の幸福度の向上はほっておくと、日常状態に戻っていってしまいます。この戻るのを防ぐのが、再評価というプロセスになります。


この記事はミズーリ大学のHappiness Model Developed by MU Researcher Could Help People Go From Good to Greatを参考に書きました。


また、以下の論文を参考にしました。
Kennon Sheldonら,2012, "The Challenge of Staying Happier: Testing the Hedonic Adaptation Prevention (HAP) Model", Personality and Social Psychology Bulletin, 2012; 38 (5): 670 DOI: 10.1177/0146167212436400


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年05月08日

フェイスブック中毒の尺度

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あなたは、ソーシャルメディア中毒ですか?

今日はフェイスブック中毒尺度についての研究を紹介します。これは、男性196人、女性227人の計423人を対象としたノルウェーのベルゲン大学でCecilie Schou Andreassenの研究です。

この研究では、女性は、フェイスブック中毒のリスクが高く、またフェイスブック中毒は外向性が高いと起こりやすいことが分かりました。また、当然のことながら、フェイスブック中毒の人は、睡眠のリズムなどの問題が起こりやすいです。

ちなみに、フェイスブック中毒については、以下の6種類の項目を、「めったにない」、「あまりない」、「ときどき」、「しばしばある」、「よくある」の5段階で評価します。
・フェイスブックやその使用について考える時間が多い
・ますますフェイスブックを使おうと感じる
・個人的な問題を忘れさせるためにフェイスブックを使用する
・フェイスブックの使用を減らそうとする試みに失敗したことがある
・フェイスブックの使用を禁止されると、心配で不安になる
・フェイスブックを使いすぎて、仕事や学校に悪い影響があったことがある

皆さんは、どのくらいフェイスブック中毒でしょうか?フェイスブックじゃなくて、ツイッターでも同様と思います。ソーシャルメディア中毒にならないように注意してください:->


この記事は、ベルゲン大学の”New Research about Facebook Addiction”を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2012年05月03日

年収と幸福度

収入と幸福度.jpg

内閣府経済社会総合研究所 幸福度研究ユニットによる幸福度研究が発表されました。先日はここから同居と幸福度について見てみました。”第1回生活の質に関する調査結果(検討用資料)”から今度は、年収と幸福度の関係を見てみましょう。


現在の幸福度と年収の関係を18ページから引用してみます。

年収と幸福感.jpg

これを見て分かるように、全体的には収入が多いほうが幸福であることが分かります。また、年収200万円のあたりに壁があって、この前後で幸福度が大きく異なっていることがわかります。

それでは、これは雇用形態の問題でしょうか?雇用形態と現在の幸福度の表は以下になります。

雇用形態と幸福度.jpg

この資料では雇用形態の要因と年収の要因を分析していないため、残念ながらそれぞれの相関まで述べることはできません。


ちなみに、こういった幸福度の研究を見ると、「人の幸せは、数値化できない」とか「アンケートで分からない」という批判をする人もいます。一方で、幸福と各種要因との関係についての示唆は与えてくれます。そもそも、「幸福は数値化できない」、「人による」と切り捨ててしまうと、あらゆる判断を拒否する相対論に陥りますしね...

この資料からは、年収によって幸福度が大きく異なっているということはよく分かりました。この資料では500万以上では幸福度の増大はなだらかになりながらも、1000万までは、やっぱり収入を増やすと幸福度が増えることが分かりました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年05月01日

親子の同居と幸福度

内閣府経済社会総合研究所 幸福度研究ユニットによる幸福度研究が発表されました。このうち”第1回生活の質に関する調査結果(検討用資料)”から同居についてちょっとだけ見てみましょう。

社会的接触頻度と幸福度.jpg

上のグラフは同資料29ページからの引用です。

これを見ると、”子ども”との関係(親から見た関係)では、同居が一番幸福で、それから別居して接触頻度が下がっていくについれて幸福度が下がっていくことが分かります。つまり、親視点では子供と同居がいいということでしょうか?

一方、”両親”との関係(子から見た関係)では、別居で2,3日に一回の連絡が一番幸福度が高く続いて別居で月1,2回の連絡、それから、最低週1回、毎日、年数回、同居と続きます。

子から見ると親との同居は幸福度が高くないということは想像していましたが、親から見ると逆なんですね。さらに、親子が毎日連絡というのは子から見ると幸福度が高いわけではない(僅差ですが4位)というのも興味深い結果です。


また、配偶者との関係で、別居で月1,2回というのは単身赴任でしょうか?これが、同居よりも幸福度が高いというのも面白い結果です。遠くなることで愛情が深まるのでしょうか?


この幸福度研究はなかなか面白いので、もうちょっと読み込んでみます。

(文: やまざきしんじ)
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