2010年03月23日

お金で人は幸せになれる。ただし周りの人より高収入の場合に限る

お金があれば、人は幸せになれるのだろうか?

イギリスのウォーリック大学とカーディフ大学の研究者たちは、友人や職場の同僚よりも自分の方が収入が高いと知覚したときのみ人は幸せを感じるのであり、単に高収入なだけでは幸福感を感じることはないと指摘する。

 Money Only Makes You Happy If It Makes You Richer Than Your Neighbors

 先進国は、ここ40年以上にわたり経済的成長を遂げ、国民の平均収入は増加した。しかしそれにも関わらずそこに住む人々の幸福感はそれほど高くなっていないようだ。
 
 今回の調査ではイギリスの家計パネル調査BHPSの7年分の結果を元に、収入と生活満足度との関係を分析した。

 その結果、生活満足度は収入そのものよりも、性別、年齢、教育レベルや居住区が同じ集団内での自分の収入ランクと強い相関があることが明らかになった。
 
 この結果は、社会のみんなが豊かになることが必ずしも全体的な幸福感を高めるわけではないことを示唆している。
他者よりも高い収入を得ることが、個人の幸福感にとっては重要なのだ。
 
 主任研究者のChris Boyceは「もしあなたの年収が100万ポンドであったとしても、あなたの友人がみな年に200万ポンド稼いでいれば、あなたは幸せとは思わないだろう」と言う。

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 「お金さえあれば幸せになれる」と考える人は少ないかもしれませんが、幸せにはそれなりにお金も重要と考える人は多いのではないでしょうか。
 
 しかし以下のような研究結果もあるように、私たちが想像しているほど幸せになるためにお金は重要ではないようです。

 People think that money affects happiness more than it really does
 
 宝くじで高額当選した人の行く末が意外と暗いとか、お金がいっぱいあっても必ずしも幸せにはならないことを示すエピソードをよく聞く反面、自己啓発本などではあたかも幸せ=お金という図式で陰に陽にと人を煽っていたりするところを見ると、やはり人はお金の威力を過大評価する傾向にあるからではないかと思います。
 
 今回の調査で明らかになったことは、あくまでも性別、年齢といったデモグラフィック属性が同じ集団での自分の収入ランクが高ければ幸福感を感じやすいということなので、「周りの友達の年収が200万ポンドだと自分の年収が100万ポンドでも…」はちょっと言いすぎな気もします。
posted by さいころ at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2010年03月16日

幸福感は深い会話と関係している

 幸せな人生を送っている人はどんな会話を普段しているのだろうか。世間話が多いのか、それとも深い会話が多いのだろうか。

 アリゾナ大学のMatthias R. Mehl、Shannon E. Holleran、C. Shelby Clarkとワシントン大学のSimine Vazireは、幸福な人とそうでない人では、会話のタイプが異なるかどうかを調査した。

Well-Being Is Related to Having Less Small Talk and More Substantive Conversations

被験者である大学生はElectronically Activated Recorder (EAR) という記録装置を装着し4日間を過ごした。
そして、研究者は記録された会話を分析し、それぞれの会話をささいな世間話と深い会話に分類した。
また、被験者はパーソナリティテストと幸福感アセスメントに記入した。

 この記録の分析で示されたことは、
 
 1.幸福感が高い人ほど、一人で過ごす時間が少なく、他者と話す時間が多い
  一人で過ごす時間は幸福感の高い人が58.7%であるのに対して、低い人は76.8%であった。
  
 2.幸福感が高い人ほど深い会話が多い
   幸福感の高い人はそうでない人よりも深い会話が二倍も多く、逆に世間話は3分の1であった。

 この結果は、幸せな人生には他者との交流の多さだけでなく会話の質も重要であることを指摘している。
 

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 この研究は、会話の質の観点から幸福感について検討したものです。
 「本質的で深い会話が幸福感と関係している」というタイトルだけを見ると、哲学的で深遠な会話をすることが幸せと関係しているのか?と思ってしまいますが、この研究で言う「深い会話」とは、自己開示の高い会話や親密な会話のことをどうも指しているようです。
 つまり、親密で信頼できる他者の存在を示す指標として「深い会話」を使用した研究と言えます。
 
 この研究では幸福感と深い会話の相関関係を示しているだけであり、因果関係までは明らかにしていないものの、著者たちは幸福感を高める要因として、会話の質の可能性を指摘しています。

 よく自己啓発セミナーなどでいきなり知らない人とお互いの嫌な部分を指摘しあうといった「深い会話」をすることがあるらしいです。
 これらセミナー受講者の達成感や充足感は、無理やりに他者と深い会話を行うことで引き起こされるものと考えれば、確かに深い会話が幸福感に影響するという因果関係もあり得ることではないでしょうか。
posted by さいころ at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2009年06月29日

脳は幸せな表情に敏感

 その判断が正しいかどうかはさておき、私たちは、ほんの0.1秒表情を見ただけでその人の感情を判断する

 そして現在、人間の情緒的表現の処理に関する研究によると、ポジティブな表情とネガティブな表情の知覚の皮質非対象性のパターンが明らかにした。

 Brain Detects Happiness More Quickly Than Sadness

 研究者たちは、80人の学生を対象に「分割視覚野(divided visual field)」テクニックを用いて、表情認知における皮質の半球差を分析した。

学術雑誌Lateralityの最新号に掲載されるこの研究は、情動処理に関しては右半球が優れていること、しかし、この優位性は悲しい顔や恐怖に満ちた顔よりも幸福な顔や、驚いた顔を処理するときに顕著になることを明らかにした。

共同研究者の1人Aznar-Casanovaは以下のように言う。

「ポジティブな表情、すなわち接近を表す表情は、ネガティブ、すなわち撤退を表す表情よりもすばやくそして正確に知覚される。だから、幸福や驚きは、悲しみや恐怖よりも早く処理されるのだ」。
posted by さいころ at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2009年06月11日

精神的な若さを保つ4つの秘訣

 2009年6月9日のNeurologyに掲載される研究によると、年を取っても認知スキルが衰えない秘訣を4つ明らかにしました。

Study Finds 4 Things That Keep Old Minds Sharp

 この研究は、70歳から79歳までの2500人の高齢者を7年間追跡し、彼らの認知スキルを測定しました。参加者のほとんどは年齢とともに認知機能が衰退していましたが、30%の参加者はいつまでの認知機能が衰えることがなかったそうです。

 この研究はその後、認知機能が衰えなかった人と、そうではなかった人を区別する要因を調査し、以下の4つの因子を明らかにしました。
 
1.運動
 最低1週間に1度以上適度な運動をしていた人は、そうでない人よりも30%認知機能を維持する可能性が高かった。
 
2.知性
 学歴が高卒以上の人は高卒以下の人より2倍、そして言語能力が中3以上の人はそうでない人よりも5倍、認知機能を維持する可能性が高かった。
 
3.非喫煙
 非喫煙者は、喫煙者よりもほぼ2倍の確率で認知機能を維持する可能性が高かった。

4.社交性
 仕事やボランティアなどをしている人は、誰かと一緒に住んでいる人は、そうでない人よりも24%認知機能を維持する可能性が高かった。
 
 この研究を行ったカリフォルニア大学のAlexandra Fioccoは、「運動や喫煙といった要因のいくつかは、人が変えられる行動です。認知の維持と関連する要因を発達させることは、認知賞の開始を予防したり遅らせる予防戦略に有益であろう。これらの結果はまたサクセスフルエイジングに関するメカニズムを理解するのに有益であろう」と述べています。

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 若い人はさておき、ちょっとでも年齢を感じるお年頃になるとアンチエイジングなんていう言葉が魅力的に感じるようになるわけで、非常に興味深い内容です。

 この研究知見を元に、具体的な認知スキル維持プログラムなど、実践として応用できる研究が行われることを期待したいです。
posted by さいころ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2009年06月09日

幸せは遺伝子の中に

 親であれば誰でも子どもの幸せを願うものでありますが、実は子どもが幸せになれるかどうかは生まれる前から決まっている可能性があるそうです。

子どもの幸せは生まれる前から決まっているかも

 Alberto Halabe Bucay博士は楽しいとか悲しいといった気分に関係する脳内物質を特定し、そして、それらが精子と卵子に影響し、最終的に子どもの遺伝子パターンを変容させると主張しました。
 つまり妊娠前の親の心理状態が子どもの遺伝子パターンに影響し、生まれてからのパーソナリティの発達にも影響するだろう、ということです。

 といっても、上記の見解はまだ実証的に支持されたものではなく、あくまでも仮説にとどまるものであり、この論文が掲載されることで新たな証拠や批判など、他の研究者からの見解を待つものであります。
 
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 この論文はかなり独創的な仮説ではありますが、気分が脳内物質の分泌に影響すること、脳内物質が精子と卵子に影響することは既に知られていることであり、あながち突飛な仮説と言い切れるものでもなさそうです。
 
 さらにこれまでの先行研究では、幸せになりやすいパーソナリティ特性は遺伝が影響していることも明らかにされているとのこと。
 
 Weiss, A., Bates, T. C., & Luciano, M. (2008). Happiness is a personal(ity) thing: The genetics of personality and subjective well-being in a representative sample. Psychological Science, 19, 205-210. 
 
 もちろん、幸せになれるかどうかは生まれてからの経験や教育など様々な外的要因が複雑に影響しているものであることは否定できるものではありませんが、遺伝的要素が、それも、妊娠前の親の心理状態が子どもの幸せに影響するならば子どもが欲しい夫婦にとっては無視できない見解であるかと思われます。

 といってもよくよく考えたら、妊娠前の夫婦というのは基本的にハッピーな状態の人がほとんどだと思われるので、そんなに激しく個人差が出る部分でもないような気がしてきました…。
posted by さいころ at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

ハッピーな音楽を聞くと周りの人が幸せそうに見える

 ノリのいいハッピーな音楽を聴いていると、自分の気分も高揚してくるものですが、それだけではなく他人も同じように「今ハッピーなんだろうなー」と判断する傾向にあるとのこと。

Listening To Music Can Change The Way You Judge Facial Emotions

 ロンドン大学の心理学者Joydeep Bhattacharya博士らは、120種類のさまざまな音楽(ポップミュージック、クラシック、ジャズなどなど)を15秒間実験協力者に聴いてもらった後、さまざまな表情の顔写真を1枚ずつ提示し、それらの顔の気分評定を求めました。

 その結果、楽しい音楽を聴いた場合、表情を楽しそうだと判断する傾向にあり、音楽が表情認知に影響を及ぼすことが示されました。
 
 さらに、実験協力者の脳波を測定したところ、たったの15秒でこの効果は現れ、私たちの無意識下で瞬時に生起することを明らかにしました。
 
 Joydeep Bhattacharya博士は、今後の研究では、この効果の持続性を明らかにする他、音楽の嗜好性やパーソナリティなど、個人差を取り入れて研究を行いたいとのことです。
 
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 音楽によって気分が変わり、そして気分は認知に影響することは、バウワーらの気分一致効果の研究(1981)でも既に示されているものであり、今回の研究はその点では全く斬新な研究というわけでもなさそうです。

 しかし、この効果が15秒という短時間で生じること、また、ニュートラルな表情の顔写真さえもハッピーに見えるほど強力に音楽が表情認知に影響することを示唆している点が新しいかと思われます。
 
 音楽と職場環境と関連を示すこんな研究もありました。
 職場ストレスに音楽「効果あり」 研究成果を発表
 
 確かに無音・無言の職場では疲れを感じやすい気がします。
かと言って、最新J−POPとかだと気分は確かに高まりますが、逆に音楽に集中しちゃって仕事効率が悪くなりそうですね。
と言って、歌詞なしのBGMというのもどうもパンチがない気がして悩ましいところです。
 
 ちなみに全くこれとは関係ないですが、気分一致効果についてウィキペディアで説明がないかと検索していたら、それについてのページは残念ながら見つかりませんでしたが、「効果の一覧」というページにたどり着きました。
かなり面白いです。
 
 効果の一覧(wikipedia)
 
posted by さいころ at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

昇進はメンタルヘルスに悪影響

 職場での昇進は、生活に対する自己統制感を増し、自己価値が高まるため、以前よりも健康になるというのがこれまでの定説でしたが、Warwick大学のChris BoyceとAndrew Oswald教授は、「Do People Become Healthier after Being Promoted」という論文でこの定説に挑みました。

 Researchers Find Promotion Is Bad For Mental Health And Stops Your Visiting The Doctor
ScienceDaily. 2009.4.11


 彼らは、1991年から2005年の間に行われたBritish Household Panel Surveyのデータを分析し、昇進後に身体的健康が向上する証拠は認められないことを明らかにしました。

 さらに、昇進後のストレスは平均10%増加し、病院に行く回数が20%減少することを示し、昇進がメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。

 ホルムズとラーエが1970年代に行ったストレスに関する研究でも、ネガティブな出来事だけでなく、結婚・出産・昇進などといったポジティブな出来事もストレス度が高いと以前から言っているわけで、特に目からウロコ的な結果ではないのですが、しかし、ついつい仕事に没頭して自分の健康(身体的にも精神的にも)に無頓着になりそうなハードワーカーな上司とかには、こういう研究結果は知っておくと自分の生活を顧みるきっかけになりいいのかもしれません。
posted by さいころ at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

メイクで長生き?

 高齢になると体のバランス感覚が低下するため転倒しやすく、またそれがきっかけで深刻な病気や怪我を引き起こすこともありますが、お出かけ前には毎日きっちりメイクをする習慣のある人は、そういったリスクを回避できる可能性が高いですよー、という研究。
 
 Why lipstick could save your life: How a spot of lippy helps to improve your balance
 
 フランスのSt Etienne大学では、65歳から85歳の女性100人を対象に重心や姿勢を調べたところ、お化粧を毎日する群は、しない群に比べて身体のバランス感覚に優れており、姿勢もよく、転倒もしにくい、ということを明らかにしました。

 この結果より、お化粧するという行動自体がなんらかの体のストレッチとして作用しており、それゆえにバランス感覚が維持されるのではないか、と結論づけております。

 が、「メイクをする」という行動そのものが直接、身体のバランス感覚や共応感覚に影響している、と考えてもいいのかどうか、はなはだ疑問な感じもします。

 もしかするとメイクを毎日する人は、そうではない人よりも、他者が視線が気になる人なので、普段から姿勢がよかったり、自分の動きを意識しているかもしれません。
 あるいは、ライフスタイルだってメイクする人としない人では違う可能性だってあります。メイクをする習慣のある人は、そもそも仕事をしている(いた)とかで外出する機会が多く、
それゆえにメイクをしない習慣のある人よりも、運動量が多いということだってありそうです。
 もしそうであれば、身体能力をメイク行動にのみ直接還元するのはうーん、どうなんだろう?という気がします。
posted by さいころ at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福