2013年08月06日

雑誌で連載させていただくことになりました

この度、ご縁がありまして、BABジャパン様のCUE'S(キューズ)というビリヤード雑誌に連載をさせていただくことになりました。

さいころニュースのコンセプトそのままに、ビリヤードプレイヤーの役に立つ心理学ネタを提供していくつもりでおります。

Cues201308.jpg

よろしければご一読いただければ幸いです。ちなみにDVDもついて1100円とお得な雑誌です!
(逆に言えばDVD買うと雑誌がタダでついてきます!しかも今号のDVDは私の好きな内垣プロ!!)

(文: やまざきしんじ)
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2013年07月26日

放射線技師にもゴリラは見えない

ダニエル・シモンズの選択的注意の実験というのがあります。知っている方もいると思いますが、以下の動画でバスケットボールが何回パスされたかをしっかり数えるというものです。




知らない人は上の動画を見てから、下を読んでください!


さて、この選択的注意の動画は「見えないゴリラ」としても知られています。これと似たような実験がブリンガム&ウーマンズ病院のTrafton Drewによって行われました。この実験では放射線科の技師24人が、肺の写真から腫瘍を見つけるというタスクをしましたが、この写真の中には腫瘍よりも大きなゴリラの絵が48回も表示されていました。

そして、この研究によると技師の83%がゴリラを見なかったと報告しています。


放射線技師がゴリラに気付かなかったのは、腫瘍を探すことに習熟しているため隅々まで写真を見るのでなく、腫瘍だけを見つけようとするためです。見えないゴリラと同様に、見つけたいことに集中することで、それ以外のものが目に入らなくなってしまうのですね。特に何かに習熟した人は、様々なことを自動的にするので、いちいちゴリラかどうかをチェックしないようです。


GorillaImage.jpg
(写真は、下のホームページより)

人は物を見る時には、見たいものだけを見ているということが「見えないゴリラ」の実験でしたが、今回の実験でも同じ結果になりました。


この記事はBRINGHAM AND WOMEN'S HOSPTALの"If You’re Not Looking for It, You Probably Won’t See It"を参考に書きました。


(文: やまざきしんじ)
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2013年03月06日

テキストネックに注意

テキストネック.jpg

ツイッター、フェイスブックやMixiといったソーシャルネットワークは未だに大流行しています。これらをスマートフォンで楽しんでいる方も多いんじゃないでしょうか?

夜寝る前に、布団にもぐって、もぞもぞとツイッターやフェイスブックに書き込んでいる方もいるかもしれません。また、ソファーに腰掛けて、膝の上に置いて使っている方もいるかもしれません。

ネブラスカ大学医療センターのChris Cornettによると、首や背中の上部を変な体勢にしたままスマートフォンや電子書籍リーダーなどの機器を長時間使っていると、”テキストネック”と言われる痛みに襲われるかもしれません。

この対策として、以下のような方法があります。
・機器の場所を変えましょう
膝の上に機器をおいたり、頭を下に向けたまま使うのでなく、目の高さにするような自然の方法をみつけましょう。
・休憩しましょう
自分で休憩を挟んで、体勢を変えましょう。
・運動しましょう
背中や首を鍛えれば、負荷にも耐えられるようになります。


ちょうど、日本ではKindleブームが来ています。これまでの紙の書籍からKindleに変わったことで読書スタイルどころか読書の姿勢(本当の身体の姿勢)が変わってしまう人も多いと思います。無理のない体勢をみつけて、たまに休憩を取りながら健康的に読書しましょう!

あと、布団の中でスマートフォンを使っている人も注意して!

この記事はネブラスカ大学医療センターの”TEXTING BECOMING A PAIN IN THE NECK”を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年10月05日

赤ちゃんはガラスの板を渡れるか?

昨日、ふと視覚的断崖(visual cliff)の面白い動画を見つけたので紹介します。視覚的断崖というのは、幼児や動物の赤ちゃんが奥行きを見えているかという実験です。これは、E.J.Gibsonの実験として知られているものです(ちなみにアフォーダンスで有名なJ.J.Gibsonの奥さんです)

この実験は、チェック柄の床の上に、チェックのテーブルを置いて、さらにガラスの板を渡します(説明が難しいので動画を見るとわかっていただけると想います)そして、ハイハイできるようになった赤ちゃんや動物の赤ちゃんをテーブルの上において、ガラスを渡ろうとするかを見るというものです。

この実験をすると、赤ちゃんはガラスの板を渡ろうとしない。つまり、奥行きが分かっているということが分かると思います。それにしても、このガラスの板を渡ろうとしないで、イヤイヤしてる赤ちゃんカワイイですね...

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2012年07月03日

さいころニュースは2,3日お休みします。

不幸なことは続くのか、身内に不幸がありまして2,3日更新を停止させていただきます。申し訳ございません。

また、木曜日か金曜日に復活する予定です。よろしくお願いします! _o_


(文: やまざきしんじ)
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2012年06月12日

示唆の力と、二重盲検

先日書いた「アルコールを飲むと魅力的?」という記事では、人はアルコールを実際に飲むかどうかでなく、飲んだと思うかどうかで自分が魅力的かどうかの感じ方が変わることを書きました。

これは、「アルコールを飲むと魅力的になる」というように人が考えている(感じている)ことによります。このようにモノには、人に何かをさせる力があるのでしょうか?


モノには人に行動をさせる力があると言えます。「これは効果がある」と信じていると、実際に効果があるというプラセボ効果は有名です。また、「アルコールを飲むと陽気になる」と信じている人は、アルコールを飲むことで他人に話しかけやすくなります。


このことは諸刃の剣となります。良いプラセボ効果になることもあれば、効果があるという思い込みが冷静な判断を妨げることもあります。

もし、研究者が自分の研究は効果があると信じていれば被験者にそのようなメッセージを知らずに出してしまい、プラセボ効果が生まれてしまうということも考えられます。

二重盲検.001.jpg

そのようなことのないように二重盲検(double blind test)というテストを使います。この二重盲検というのは、被験者と、観察者(医師など)の両方が、どちらが対象群(効果を測るための偽薬など)でどちらが実験対象なのかを知らないで行うというものです。

二重盲検.003.jpg


ちなみに、二重盲検を使ってないケースもしばしばあります。このパターンでのテストだと、実験者の意図が被験者に伝わってしまう可能性があるので、厳密なテストとはいえないかもしれません。

二重盲検.002.jpg


このように、実験というのは慎重に行う必要があります。また、実験だけでなく、実体験で「この方法が効く!」という場合でも、何がその効果を生んでいるか切り分けるために、可能な限り二重盲検のような手法を使いましょう。

この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "The power of suggestion: What we expect influences our behavior, for better or worse." ScienceDaily, 6 Jun. 2012. Web. 12 Jun. 2012.

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年04月08日

更新遅れていて申し訳ございません。


身内に不幸があって実家に帰っており更新が滞っておりました。申し訳ございませんでした。いつも座っていたソファに今はいないというのは寂しいものですね。本日までは思い出に浸って、月曜日からまた更新を再開したいと思います。

今後とも、さいころニュースをよろしくお願いいたします。

(文: 山崎有紀子)
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2012年03月08日

図書館を観察してみました

今日は、さいころセミナーのクリエイティブシンキングのワークを作るため、某図書館に二人で行ってきました。某図書館では、現状の問題点や改善点を探しました。まず、一人で20分ほど歩きまわったり利用者を観察しました。それから二人で問題点の共有、互いの見つけたポイントを一緒に見てまわるということをしました。

わずかな時間でしたが意外と問題点ってみつかるんですね。20個くらい問題点がみつかりました。

例えば、
・AVコーナーがあるが電気が消えていて、使えるのかどうかよく分らない
・子供のコーナーの本棚の上に折り紙のオブジェや本が飾ってあるが、明らかに子供には見えない
・オススメ本には、マークがついてます、と書いてあるが、その掲示が子供には読めない。掲示の文章もわかりにくく、マークもすごくわかりづらい
・隣の椅子にちょうど荷物を置きたくなるように配置されている(上手く配置されている椅子もある)
・本棚の横にベンチがあり腰掛けて本が読めるようになっているが、本棚の陰で照明が暗い
・オムツ交換や授乳できる場所があるが、その掲示が非常にわかりづらく。さらに、上に掲示物がかぶっていて見づらい
などなど。

普段、何気なく使っている図書館ですが、ちょっと気をつけるだけで改善点が山積みでした。創造性のワークをするつもりで見て回っていたのですが、ちょっと見てまわるだけで改善点って多いんですね。

(文 やまざきしんじ)

ちなみに、いろいろ見てまわる人には、この本はオススメです。是非読んでみてください。



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2012年02月18日

女性はXXするな

女性はxxするな.jpg

もしあなたが女性なら性的な行動は寿命を縮めます。


ただし、あなたがホラー映画の登場人物の場合。


カナダのウィルフリッド・ローリエ大学のAndrew Welshは、1960年から2009年までの北米のホラー映画から50をランダムに選んで、女性の性的な行動と死亡率の関係を調べました。すると、性的な行動をした女性は、より死亡率が高く、死亡シーンがより長く流れるということが分かりました。

この理由はいろいろ考えられると思います。観客の多くである男性が”性的な行動”に対して”罰”を与えているという考え方や、”お色気要員”として演技の下手な女優が出演していたという考え方もあります。

もしあなたが映画の出演者の場合は、性的な行動は謹んで、そして、ドアの近くでパソコンで犯人の情報を調べたり、夜の銃砲店で一人で働いたり、安いモーテルに泊まったり、婚約者の写真をコクピットに貼って飛行機に乗らないようにしましょう:)


元の論文情報はこちら。
Andrew Welsh, 2010, "On the Perils of Living Dangerously in the Slasher Horror Film: Gender Differences in the Association Between Sexual Activity and Survival", SEX ROLES Volume 62, Numbers 11-12, 762-773, DOI: 10.1007/s11199-010-9762-x


(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年02月17日

利き手は出生順と関係ある?

利き手3兄弟.jpg

昨日書いた記事のコメント欄に出生順と利き手の関係という疑問があったので、少し調べてみました。日本での研究はみつけられなかったのですが、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のStanley Corenとビクトリア大学のClare Poracの1980年の研究は5161人を対象とした大規模な利き手に関する研究です。この研究の中は出生順と利き手の間には相関がありませんでした。

この研究自体はかなり古いものなので、これ以降研究があるかもしれません。もし、これより新しい結果(もしくは研究)を知っている方がいらっしゃると教えていただけると幸いです。

この記事は以下を参考に書きました。
Stanley Coren and Clare Porac, 1980, "Birth factors and laterality: Effects of birth order, parental age, and birth stress on four indices of lateral preference", BEHAVIOR GENETICS Volume 10, Number 2, 123-138, DOI: 10.1007/BF01066263

(文・絵: やまざきしんじ)
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2012年01月20日

バラバラの拍手が一つにまとまる

拍手のリズム.jpg

昨日、岡村靖幸のコンサートに行ってきました。周りがノリノリの中で、照明の心理的効果について考えたり、このノリノリな気持ち(クオリア?)はどこから来るんだろう?などと分析して楽しんできました...あれれ?かなり損しそうな性格ですね^^;;

さて、そこで印象的だったのは、アンコールの手拍子です。コンサートの終盤に近づいてきたくらいに、一度幕を引いてアンコールの時間になりました。

ここで、観客のうち2,30人に一人くらいが手拍子をしていました。これが最初は完全にバラバラなリズムで手拍子をしていましたが、5分くらいしてくるとバラバラだった手拍子が、急に1つのリズムになりました。そして、1つのリズムになると、これまで手拍子をしていなかった人も少しづつ手拍子をするようになってきて、会場が盛り上がっていきました。


これはなぜでしょうか?以前、”お見合いの法則”という記事では、人は狭い道で正面から来た人とすれ違う時に同じタイミングで足を出してしまうので、右から抜こうとしたら同じタイミングで相手も同じ方向に来て、逆に行こうとしたらまた同じタイミングで逆に来るといったお見合いをするということを書きました。これは、相手が視界に入ると脚を出すタイミングが合ってしまうという理由でした。


このアンコールの手拍子の同調については少し違うものと考えられます。これは1対1と、n対nの違いです。ちなみに、この手拍子の同調はコーネル大学のスティーブン・ストロガッツの有名な研究に関連しています。余談ですが、ストロガッツの下で研究をしていたダンカン・ワッツはスモールワールドといったネットワークの研究で有名で、数学的な論文などを書いているだけでなくマーケティングへの応用記事なども書いているので知っている方もいるかもしれません。

さて、この手拍子やホタルの発光などで見られる同調については、ストロガッツのSYNCという本で述べられています。詳細は本を読んでください。もしくは概要は橋本大也さんの”情報考学”のページの”SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか”を読んでも雰囲気がつかめると思います。


それまでバラバラだった手拍子が急に1つになるのはとても面白かったです。全く違う周波数には反応しないものの、比較的近い周波数のものには手拍子が同調するといったことでしょうか?SYNCを読んだのがかなり昔で覚えていないので、理論的な説明はまた別途書きたいと思います。

(文: SY)

手拍子の件はこちらがオススメ。面白いですが、多少数学っぽい考え方に慣れてないと辛いかも。といいつつ、詳細は覚えてませんが^^;;
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こちらもオススメですが、品切れなんですね...”歴史は「べき乗則」で動く”みたいに文庫になってほしいなぁ。
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2012年01月01日

男女の人口逆転はいつ頃?

龍(墨絵)&辰 - イラスト素材
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あけまして、おめでとうございます!!本年もよろしくお願いいたします!


大晦日の昨日ですが、統計メールニュース(こちらから登録できます)で辰年の人口が男性496万人、女性526万人、そして新成人の人口が男性62万人、女性60万人という内容が送られてきました。


当たり前のことかもしれませんが、新成人になる段階では男性の方が多いのに、辰年全体では女性の方が多いのです。間引きなどをしていない国でも生まれた時は男性の方が少し多く、そして一般に女性の方が男性より長寿なので当たり前の結果です。

それでは、同一年齢で、男女の人口比が逆転するのはいつ頃なんでしょうか??ちょうど総務省が「「辰年生まれ」と「新成人」の人口」という資料を昨日発表していたので、こちらのP3のデータからグラフを作ってみました。

辰年の年齢分布.001.jpg

これを見て分かるように、どうやら男女の逆転は48歳から60歳の間に行われているようですね。私もそろそろ健康に気を使わないといけない時期に差し掛かってきたようです。今年も健康に気をつけてがんばりますので、よろしくお願いいたします。


(文: SY)
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2011年12月22日

2011年のアクセス数ベスト10

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今日は、さいころニュースの2011年のアクセス数上位を紹介いたします。さいころニュースは検索で見に来る人が多いサイトのため古い記事が有利です。

というわけで、ベスト10です。


10.マズローの欲求段階説
有名なマズローの欲求段階説について説明した記事です。マズローの欲求段階説のように単純な階層化モデルには批判もありますが、とても有名なモデルです。あまりさいころニュースらしくない記事ですが、やはり有名なモデルなので、検索等でひっかかるのでしょうか?


9.抑揚を抑えた声はモテる
さいころニュースでひっそりと力を入れているのがモテ関係の記事です。”ビジネスに役立つと心理学ニュース”と名乗っていてもやはり気になってしまうのです。ちなみに、抑揚が多く声が高い私にはあまり嬉しくない記事でした...


8.8つの心理的バイアス
さいころセミナーというセミナーでは、過去2回クリティカルシンキングについて取り上げています。この記事では自分を批判的に捉えるという助けになるものです。バイアスという言葉を知らない人は是非一読してください。誰もがこの心理的バイアスに囚われています。


7.Facebookの顔出し比率は、男性67%、女性61%
さいころニュースは基本的には、海外の最新の論文の情報を元に書いていますが、この記事は自分で調べた調査結果です。国内でのFacebookで顔出ししている比率のデータがなかったので、調べてみました。
結構、時間がかかったので、思い入れの深い記事です。


6.右脳・左脳は利き手より利き目?
未だに右脳・左脳といった話をしばしば聞きます。右脳・左脳神話でなく、利き目神話というのを提案してみました。もちろん嘘っぱちですが。


5.習慣化するには2ヶ月以上
3週間続けると習慣になるという神話もしばしば聞きます。この話はいったいどこから来たのでしょうか?その元ネタの紹介と、実際に習慣化するのにかかった期間を調べた研究を紹介しています。


4.ヒールの高さの心理学
脚の長さはどの程度がいいのでしょうか?研究によると、平均値よりも5%長いのが一番魅力的に見えるようです。これを日本人女性の平均身長に合わせると6−7cmです。もちろん自分の実際の脚の長さで計算するのがベストです。


3.信用ならない人を見抜く11の方法
嘘を見抜くための記事はさいころニュースでも人気のある記事ですが、なんとベスト3はすべて嘘関係の記事でした。これは嘘を見抜くためのいくつかの方法を述べています。
さいころセミナー”嘘の心理学”でも述べましたが、嘘を見抜くのは本当に難しいのでこれを読んだだけですぐ見抜けるというわけではありません。もちろんテクニックを使うことで嘘の検出率は上がりますが。


2.嘘をつく時はどこを見る?
嘘をつく時には右上を見るといったことが、一部の本に書かれています。これは本当でしょうか??残念ながら真実ではありません。NLPの”アイ・アクセシング・キュー”という考え方が元だと思いますが、これは誤りであることは昔から数多く指摘されています。
逆にこのことが載っているかどうかで、本の信用度を確認することが出来ます。この件が載っている本は、ちゃんと心理学を知らないということですね。


1.嘘を見抜くちょっとしたポイント
3位の信用ならない人を見抜く11の方法と同様ですが、嘘を見抜くポイントを3つだけ述べています。ちなみに”Lie to Me"というドラマはとても面白いので嘘に興味のある人は是非見てください。ただし、そこで使われている嘘検出は素人で出来るものではありません。一度、友達に嘘の話と本当の話をそれぞれしてもらって、それをビデオで撮って実際に嘘を見抜けるか確認してみてください。意外と嘘を見抜くのが難しいことがわかると思います。


嘘関連の記事は人気だと思っていましたが、トップ3が嘘関連とは思っていませんでした。また10位、6位、5位、2位の記事はよく言われていることの誤りを指摘した記事です。こういった情報を来年も広めていきたいなと思います。



ちなみに11位以降は以下のようになりました。

11.フェイスブックでの友達外しの3つの理由
12.非言語的な部分で嘘を見抜く...のは困難です
13.フェイスブックの7つの習慣
14.シロクマのことだけは考えるな!
15.スポーツにおける”セルフトーク”


(文: SY)
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2011年12月19日

ヒットの方程式

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”ヒットの方程式”といった言葉は時折使われますが、実際にあるのでしょうか?


イギリスのブリストル大学のTijl de Bieらのチームは過去50年間のイギリスのトップ40のシングルチャートをscoreahit.com/で調べ、ヒットの方程式を作りました。


曲ごとにテンポや歌の感覚や音の大きさ、コードのシンプルさ、ハーモニーの単純さ、どのくらいノイジーか、などの特徴を調べコンピュータで解析しました。そして得られたヒットの計算式は23の特徴からなります。この結果、楽譜からヒットするかどうかを、60%の正解率で分類できました。詳細な予測の精度については今後の検証が必要になると考えられますが、逆にデータが増えていくので、この程度の精度はあるかもしれません。


ちなみにヒットする曲のタイプについては年代によって変わっていきます。また、同時にこのヒットの計算式の正解率も年代によって代わり、70年代から80年代前半は予測が難しく、90年代は予測が容易でした。これは、70年代は様々なタイプの曲がヒットしていたと考えられます。また、80年代以降は踊りやすい曲がヒットしたり、だんだんと曲がうるさくなってきたといったことがあります。


このように式で何かのヒットを予測するというと、最近文庫になった”その数学が戦略を決める”を思い出します。この本では映画のヒットを予測するといったことが述べられていましたが、こういったものが今後は作曲にフィードバックされたり、譜面を取るシステムに推定値が表示されたりといったようになっていくのかもしれませんね。

この記事はブリストル大学の”Can science predict a hit song?”を参考に書きました。


(文: SY)


心理学の本でなく、この記事のようにたくさんのデータから未来を予測するといった事例がいろいろと載っている本です。オススメです。
その数学が戦略を決める (文春文庫)
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2011年12月05日

コロンビア白熱教室

昨日初めて知ったんですが、NHK教育で先週からコロンビア白熱教室をやっているんですね。日曜日の夕方6時からやっていました。

http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/columbia.html

これは、選択について研究をしているコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の授業を5回シリーズで放送するものです。

シーナ・アイエンガー教授は盲目の女性研究者です。両親は厳格なシーク教徒で、着るものから結婚相手までさまざまなことがらを宗教や慣習で決定するコミュニティで育ってきた彼女ですが、「選択」こそ力と考えるアメリカでの教育を経験することで、選択を研究テーマとして精力的に取り組むこととなります。

彼女の著書「選択の科学」は今年(多分)流行りました。私も読みましたが、心理学のメジャーな理論から最新の心理学研究などが「選択」という主題に基づいてまとめられていて、非常に興味深かったです。また彼女の研究はシンプルながらもビビットな結果が出ているものが多くてひきつけられました。

自分で配偶者を選択する恋愛結婚よりも、お見合い結婚で結婚した夫婦の方が婚姻期間が長くなるにつれ幸福度が高くなるといった研究なども紹介していますが、こういう研究を見ていると果たして本当になんでもかんでも自分の意志で選択することがいいのだろうか?と思いますね。

日本でも自らの意思で選択することこそが善であり、常に自分で選択をし続けることこそ美徳であるような風潮があると思うのですが、こういった風潮こそまさに文化や時代の影響を受けたものであり、きわめて相対的な価値観だと思います。

当たり前だと思っている価値観や考えに疑問を投げかけ、私たちに人間の本質について考えさせる研究が私は素晴らしい心理学研究だと考えますが、彼女の研究はそういう点では非常に優れた心理学研究だと思います。

(文: 山崎Y)

シーナ・アイエンガー
http://academic.research.microsoft.com/Author/2517499/sheena-s-iyengar

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2011年10月25日

左脳が活発な子は言語の発達が良好

金沢大学の三辺義雄教授、菊池充特任准教授らによる「ほくりく健康創造クラスター」のグループが、幼児用に開発した脳磁図計(MEG)を使って、脳の左半球と言語発達の関連を明らかにしたことがニュースになっています。

左脳活発な子 より言語発達 発達障害早期診断に道

オリジナル論文はThe journal of neuroscienceに掲載されています。

Lateralized Theta Wave Connectivity and Language Performance in 2 to 5 Year-Old Children

脳の左半球と言語発達の関連は、成人に関しては随分前から指摘されている事実です。
しかし、意外なことに就学前の幼児についての実証研究は今回のこの研究が世界初とのこと。

というのも、脳の活動を測定するMEGなどの装置では一定時間じっとしていなければ正確なデータが導きだせないため、長時間じっとしていられない幼児に対して利用することがこれまで難しかったからだそうです。

今回開発された幼児用MEGでは、子どもの好きなDVDを見れるなどの工夫をし、子どもが装置の中でじっとしていられるようにしてあります。この装置を使うと、わずか5分で安全に脳の活動を測定することができるそうです。

この研究は、幼児における左脳と言語と関連を明らかにしたという実験結果以上に、この幼児の脳活動を測定するためのMEGの開発が評価されているようですね。例えば、子ども脳障害の研究や、発達障害の早期診断などへの応用に期待が寄せられています。

こういった研究を見ていると、本当に心理学(および心理学関連領域)の研究というのは、テクノロジーの進歩の恩恵を受けて進歩していることを実感します。

今後、乳幼児の脳研究も急速に進歩しそうですね。こういった研究の成果が子どもたちのQOLに役立つことを期待したいです(^^)


(文: 山崎Y)
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2011年10月24日

顔を語るには、雰囲気重視

顔 スパイス               - 写真素材
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イギリスのストラスクライド大学のElspeth Jajdelskaの研究によると、顔についての記述は、個別の特徴(例えば鼻や目など)を詳細に述べても、鮮明な印象にならないというものです。通常は、瞳の色がどうで、髪がこう、といったように個々のパーツを述べていくとより詳細なイメージが出来て、鮮明な印象を与えることができそうです。しかし、ディケンズ、エリオット、チョーサー、ウォルター・スコットなどの作家の文章を調べると、詳細な特徴を説明するよりも、全体的な印象のみを語ることで、より鮮明な印象を与えるとのことです。

つまり、文学においては顔を述べるのは個々の説明よりも全体的に、ということです。


顔の認識については、他の物の認識とは違います。これはまだ小さな赤ちゃんが人の顔を見ると笑うだけでなく、スマイリーマーク(ニコちゃんマーク)を見ても笑うことからも分かりますし。顔の認識をする脳の部位があることや、”相貌失認”という人の顔が分からなくなる症状があることからも分かると思います。


このJajdelskaの研究は"journal Poetics Today"に投稿した文学に関するものですが、このように心理学的な知見は文学にも応用できるということでしょう。


この記事はストラスクライド大学"Vivid descriptions of faces “don’t have to go into detail”を参考に書きました。


(文: SY)
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2011年10月22日

iPad? Kindle? 紙の本? 一番読みやすいのはこれ!

20代 ポートレート 1人  - 写真素材
(c) Ushicoストック写真 PIXTA


もうすぐ日本でもAmazonのKindleが発売になると思いますし、私もeInkという紙とほとんど同じようなキメを持つディスプレイを使ったKindleについてはかなり興味津々です。また、私はあまり物欲派ではありませんが、タブレットPCについても定期的に欲しくなる発作に襲われています。


それでは、紙の本、タブレットPC、そしてKindleではどれが一番読書しやすいのでしょうか?

ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツのStephan Füsselらが、これについて研究をしました。

この研究はドイツで若い人と老人のそれぞれが、タブレットPCとしてiPad、eInkを使ったKindle3、紙の本で様々な難易度のテキストを読書をした時についての研究です。

まず、被験者の印象ではほとんどの被験者は紙の本が一番いいと述べてました。

しかし、実際の読書のパフォーマンスでは、タブレットPCがKindleと紙の本よりも良い結果を示しました。さらに、若い人でも年寄りでも、タブレットPCを使った時が一番素早く読むことができました

この研究では読書中の目の動きと脳波を測っています。また、テキストの理解度と被験者が情報を思い出せるか、読書のスピードでパフォーマンスを調査したものですので、単にタブレットPCが早いといっただけのものではありません。


この研究は非常に意外なものです。パソコンのディスプレイと紙では、紙の方がパフォーマンスがいいという研究を見たことがあったので、タブレットPCが紙の本よりも良い結果を残すとは想像していませんでした

もちろん、この研究結果は、また別の実験によって覆されるかもしれないとは思いますが、私の電子書籍ライフにも大きな一石を投じそうです。


この記事はヨハネス・グーテンベルク大学マインツの"Different reading devices, different modes of reading?"を参考に書きました。


(文: SY)
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2011年10月02日

服従実験


今年はスタンレー・ミルグラムの服従実験の50周年記念だそうです。服従実験はアイヒマン実験とも呼ばれる実験で、倫理的な(普通の)人でも状況次第では人を殺してしまうことを示したものです。


今日はこの実験を簡単にご紹介いたします。

この実験は被験者と実験を進行する実験者が同じ部屋にいて、別の部屋の生徒の学習をチェックします。生徒が学習を間違えると、被験者は電撃機械を使って生徒に罰を与えます。なおこの時、問題を間違えると電撃の電圧を上げていきます

服従実験.001.jpg

しばらくすると、生徒はインターフォン越しに「やめてー」などと言ってきます。一方、同時に実験者からは「続けてください」と言われます。被験者はここで実験を止めてしまうこともできますが、多くの人は電撃ボタンを押します

服従実験.003.jpg

さらに続けると、電圧を危険と書かれたレベルにします。そして、生徒はドアなどを叩きながら、「耐えられないー」といったように中止を訴えます。

服従実験.004.jpg

ここで被験者は「こんな実験は意味がない」、「こんな実験は非倫理的だ」と言って止めることもできますが多くの人はそのまま実験を続けていきます。最大の450ボルトでも電撃ボタンを押した人が40人中25人にもなりました。

服従実験.005.jpg

この結果は、人は良心によって実験を止めるよりも、権威に服従して非人道的なことでも続けてしまうことを意味しています。この実験は人の弱さと、場の空気の強さを示したとも言えます。人は様々なことから自由ではないのです。


この実験についてはWikiの"ミルグラム実験"にも記載されています。

ちなみに、以前”スタンレー・ミルグラム『服従の心理』”という記事で本の書評を書きました。

以下の本では詳細が書かれています。また、この実験には様々なバリエーションがありますが、それらも載っており非常におもしろいです。心理学好きもそうでない方にもオススメです。

服従の心理
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(文: SY)

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2011年09月30日

心理学実験の”今そこにある未来”

スマフォン スマホ スマートホン  - 写真素材
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フランスのマルセイユ大学のStephane Dufauらの研究は、"Science XL"というiPhoneアプリを使ったものです。この実験自体は、言葉と反応速度を調べる認知心理学実験ですが。この実験をスマートフォンでやっているところが画期的です。

この実験は3ヶ月間で5000人が参加しましたが、これをスマートフォンを使わずに研究室に来てもらってやろうとすると1年がかりです。また、交通費や謝礼を出すことを考えるとかなりのコストになってしまいます。これをスマートフォンを使うことで短期間・低コストで行うことが出来ました。

これまでもWebを使ってアンケートをするといったことはありましたが、Webを使った場合は反応速度などを測ることができませんでした(精度が悪すぎる)。スマートフォンを使うことで、反応速度を測ることができるようになり、より高度な実験を行うことができるようになりました。

現在はスマートフォンの保持者ということで被験者の属性が制限されてしまいますが、今後スマートフォンがさらに普及していくことでこのようなマイナス面も減っていき、心理学実験のプラットフォームとしてのスマートフォンの役割がどんどん大きくなっていくことでしょう。

このことは、分野にもよりますが心理学畑の学生にとっても、アプリ開発能力が大事になっていくことを意味するかもしれません。実際に自分で開発を出来ないまでも、どういったことが出来るのかを知っておくことや、すぐに開発できそうな友達を持っておくことが大事です。

この記事は以下を参考に書きました。
University of Royal Holloway London. "Smartphones revolutionize psychological experiments." ScienceDaily, 29 Sep. 2011. Web. 30 Sep. 2011.

元の論文はこちら。
Stephane Dufau, Jon Andoni Duñabeitia, Carmen Moret-Tatay, Aileen McGonigal, David Peeters, F.-Xavier Alario, David A. Balota, Marc Brysbaert, Manuel Carreiras, Ludovic Ferrand, Maria Ktori, Manuel Perea, Kathy Rastle, Olivier Sasburg, Melvin J. Yap, Johannes C. Ziegler, Jonathan Grainger. Smart Phone, Smart Science: How the Use of Smartphones Can Revolutionize Research in Cognitive Science. PLoS ONE, 2011; 6 (9): e24974 DOI: 10.1371/journal.pone.0024974

(文: SY)
posted by さいころ at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | その他