2011年08月04日

昼寝は記憶力を改善する?

公園で遊び疲れて昼寝 - 写真素材
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暗記ものの勉強をする時には、寝る前にするといいといったことが言われています。これは睡眠の際に長期記憶に定着するから、といわれています。これとは別で、睡眠をするとそのあとで記憶力がよくなるようです。

カリフォルニア大学バークレー校のMatthew Walkerが39人の若い健康な大人を対象とした実験をしました。

これは、記憶を司る海馬への過剰な負荷を行うような厳しい学習課題を昼の12時に行い、その後で片方のグループは14時から90分の睡眠を、もう一方のグループはそのまま起きていて、再度18時にまた学習課題を行うというものです。

この結果、昼寝をしなかったグループは18時のテストは正午のテストよりも成績が悪いのに対して、昼寝をしたグループは正午のテストよりも明らかに良い成績となりました

これは昼寝をすることでその後の記憶力を改善することを意味しています。Walkerによると、昼寝の時間に記憶のリフレッシュを行っているのではないか、ということです。

ちなみにWalkerらのチームは、深い睡眠と夢を見ている状態であるレム睡眠の間にあるステージ2のノンレム睡眠の際に記憶のリフレッシュが起こっているのではないかと脳波の調査から指摘しています。


私は記憶のリフレッシュはレム睡眠中に起こるものだと思っていたのですが、脳波の研究というのはかなり進んでいるようですね。また、睡眠による記憶のリフレッシュというものは、睡眠前の記憶の定着に役立つだけでなく、睡眠後の学習にも役立つというのが面白かったです。

なかなか長時間の昼寝をすることは難しいと思いますが、皆さんも休日の予定には昼寝も組み込んでみるといいかもしれません。


この記事はPHYSORG.com"A midday nap markedly boosts the brain's learning capacity"を参考にしました。


(文: SY)

2011年08月03日

ベジタブルマンが地球を救う!?

夏野菜 野菜 食材 食べ物  - 写真素材
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最近はCG技術が発達したせいか、アメコミの映画化が進んでいますね。X-MEN好きとしては、マーブル系の映画がいろいろ増えて嬉しい限りです。マイティー・ソーやアイアンマンなんかはヒーローといっても少し大人向けな気がします。ウルヴァリンもそうですが、ちょっと無骨なイメージのある陰のあるヒーローがやっぱり人気なんでしょうか。

このスーパーヒーローに関連して、面白い実験をシンシナティ大学のPaul Branscumが行っているようです。これは小学校4,5年生の子供71人を対象としたもので、子供が健康のメッセージを含んだ漫画を自分で作るというものです。この時、子供たちは以下のことを考慮して漫画を作ります。

・毎日少なくとも1時間運動をする
・毎日5種類のフルーツや野菜を食べる
・砂糖入りの飲み物の代わりに、シュガーレスの飲み物か水を飲む
・テレビやインターネットやビデオゲームを1日2時間以上しない

この実験は3ヶ月以上の期間で行いました。

漫画の力は強力なようで、子供たちのBMIは変わらなかったものの、フルーツと野菜の消費が増え、運動が増えて、砂糖入りの飲み物よりもシュガーレスの飲み物や水をより飲むというように、生活習慣がより健康的になりました。ちなみにこの実験はさらに拡げていくそうです。


この実験は、自分で漫画を作るというのが面白いですね。自分でヒーローを作るといったように自発的に行うことで容易に習慣にできそうですね。また、最近はパソコンなどで、台詞を入れるだけで簡単に漫画を作るといったサイトなども出来るので、こういった教育の機会は増えていきそうです。


この記事は、シンシナティ大学”A True Challenge for Any Superhero: Can Comic Books Combat Childhood Obesity?”を参考にしました。


(文: SY)

2011年08月02日

タイムマネジメントが苦手な訳とその対策

ストップウォッチ - 写真素材
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時間が十分にあるということは、お金が十分にあるのと同様に滅多にないことだと思います。たしかにみんな時間がないし、そして同様にお金もありません。

しかし、私たちはお金よりも時間の方が不足しているんじゃないでしょうか?これは、時間が貴重な資源で、お金のように蓄えたりできないといった意味ではありません。

最近の研究では人間は時間の余裕を過剰に見積もってしまうことが明らかになりました。

例えば、今1万円欲しいから30日後に1万1千円返すといったことは例えあったとしても、今1万円欲しいから30日後に1万4千円返すといったことはほとんどないと思います。しかし、時間については、今1時間欲しいから30日後に1時間25分返すといった契約を結んでしまいます(実際にはこのような契約はできませんが)。

これは、人間が、将来のお金の価値をある程度割り引いて考える、つまり今の1万円の方が、来年の1万2000円よりも良いと考えてしまいますが(金利を考えたら来年の1万2000円の方が合理的な判断です)。これと同様のことが時間でも行われていて、将来の時間の価値を割り引いて考えているのです。そして、お金よりも時間の場合はこの割引率が大きいのです。つまり、今日の1万円は来月の1万1千円の価値だとしても、今日の1時間の価値は来月の1時間25分程度の価値とみなしてしまうのです。

このように将来のお金よりも将来の時間を過少に評価するのは、お金と違って時間には明確な単位がないからと考えられています


また、これは逆に将来になればもっと時間に余裕があるという幻想も意味しています。そういえば、職場でも「今日はいろいろ割り込みやトラブルがあったけど、明日なら出来る」と言う人がいると思いますが、そういう人には明日もいろいろ割り込みやトラブルが入ってしまうものです。


このような時間についての割引への対策は2つ考えられます。

1.人は未来の時間については過剰に見積もってしまうので、他人からのちょっとしたそして本質的でない仕事の依頼があったら断りましょう。
2.仕事などで自分がどのように時間を使っているか計測しましょう。特にちょっとした用事や割り込みやトラブルが自分の仕事の上でどの位の割合になっているかを計測しましょう。計測することで、実際の余裕を数字として認識することが出来ます。

1と2の対策をセットに習慣づけることで自分にしかできないことをする時間を増やしていくことが大事です。


The New York Times”Future Shock Concept Gets a Personal Twist”を参考にしました。

元の論文はこちら


(文: SY)

2011年08月01日

習慣化のためのちょっとしたコツ

筋力トレーニン - 写真素材
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習慣化するためのコツについては、これまでのまとめの中の”目標達成の心理学”にいくつか書いていますが、今回も習慣化をするためのちょっとしたコツを書きます。


例えば、運動を習慣にしようとする場合、「毎週2時間以上運動をする」というように考えるのでなく、「1日17分以上運動をする」というように小さな単位にしてみましょう。このように小さな単位でイメージをすることが、習慣化をより容易にします。すぐできるので是非試してください。


ちなみに以前、”3年長期保証がダメな訳”という記事を書きました。これは、商品を販売する場合は”3年長期保証”と書くよりも、”36ヶ月長期保証”と書いたほうが良いという内容でした。人は、このように単位に惑わされやすいんですね。



以下の論文を参考にしました。
"Only Minutes a Day: Reframing Exercise Duration Affects Exercise Intentions and Behavior",Johanna Peetz他, Basic and Applied Social Psychology Volume 33 Issue 2, 2011


(文: SY)

2011年07月28日

リスクの心理学

天秤 - 写真素材
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リスクを取るのはどのような人でしょうか?若者は向こう見ず?男性はリスクを取るけど、女性は保守的?様々なことが言われています。

それぞれに真実を含んでいますが、若者だから全てにおいてリスクを取る、男性だから女性よりもリスクを取る、というわけではないようです。これは、それぞれの人がリスクを取る傾向があるかどうか(リスクテイカーかどうか)という単一の指標があるわけではなく、局面によってリスクを取る場所やリスクを取らない領域があるからです。例えば、金銭面ではリスクを冒すがスポーツではとても慎重という人もいれば、逆にギャンブル好きだがとても堅実なプレイをするスポーツ選手もいます。

ちなみに、男性は女性よりも金銭に関してはリスクを取る傾向があります。一方、女性は男性よりも社会的な面でリスクを取ります。例えば、知らない人に話かけるというのもリスクを伴う行為ですが、これは女性の方が男性よりもよく行うことですよね。


また、よく知っていることについては、よりリスクを取るということもあります。これはよく知っていることについては不確実性のリスクが少ないからとも言えます。例えば、よく知っている道を自転車で走る時は、よく知らない道よりもスピードを出すといったことです。もちろんテニスが得意な選手は、ラインギリギリを狙っても技術がある分アウトにならないように、技術がリスクを下げるといったこともあります。


さらにリスク傾向はその時の気分によっても大きく変わります。怒っている時には、猛烈なスピードで車をトバしたり、意味もなくギャンブルをしたりといったこともあります。


このように個人のリスクを取る傾向というのは一面的なものでなく、対象の領域やその時の気分などによります。自分のリスク傾向の特徴がどういう局面で変わるのかといったことや、その意思決定が怒りによって行われていないのかといったことに注意して、冷静に長期的な視点からリスク判断をするようになりたいですよね..

Association for Psychological Science (2011, July 27). Who takes risks?. ScienceDaily. Retrieved July 28, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/07/110727122654.htm

(文: SY)

2011年07月21日

自制バイアス

禁煙 タバコ 鍵 くさり [1884604] - 写真素材
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禁煙や禁酒を続けるのはどうして難しいのでしょうか?タバコについて言えば、吸った時の健康リスクや家で吸った際の家族へのリスクを考えると止めない合理的な理由がありません。

また、タバコや酒は一度止めてもまた元に戻ってしまう人をよく見かけます。1年ごとに禁煙するといって、1、2ヶ月止めるといったことを続けている人は皆さんの周りにも何人かいるはずです。


禁煙や禁酒からまた戻ってしまうことは、自制バイアス(restraint bias)で説明することができます。この自制バイアスというのは、自分の自制心を過剰に見積もってしまうというものです。

自分の自制心を過剰に見積もってしまうと、自らを耐えられないほどの誘惑に晒してしまい、結果として誘惑に負けてしまうといったことがあります。ちなみに人は、自分が自制心があると思っているほど、より大きな誘惑があるところに近づいてしまうようです。その結果、禁煙しているはずなのに、愛煙家の友人と一緒にコンビニの駐車場で雑談したり、飲み会に出たりといったハイリスクな行動をしてしまいます。


自分の能力を過剰に評価するというのは、”レイクウォビゴン効果”としてよく知られていますが、自分の自制心を過剰に評価するのは恐ろしいですね。そういえば、テスト前日に早く寝て、翌朝早く起きようとして起きられないアレも、この自制バイアスが関係していそうです。自制心を過剰に見積もっているので、本来ダメなギリギリまでリスクを犯してしまうみたいですね…

この記事はノースウェスタン大学のLoran Nordgren他の"The Restraint Bias How the Illusion of Self-Restraint Promotes Impulsive Behavior"を参考に書きました。


(文: SY)

2011年07月14日

強気な姿勢が痛みに耐える

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以前、”簡単に自信を持つ方法。ただし、男性に限る”という記事を書きました。これは、男性は拳を握ることで自尊心を増やすことが出来るというものです。また、”姿勢の影響は権力の影響よりも大きいかも!?”という記事では、他者との関係では、権力の状態よりも姿勢の方が影響が大きいということを書きました。

トロント大学のVanessa Bohnsと南カリフォルニア大学のVanessa Bohnsの新しい研究では、姿勢にはこれ以外に痛みへの耐性を変える効果があるようです。


Bohnsらの研究は2つの実験からなっています。1つ目は、ヨガのポーズをしてもらって、痛みにどのくらい耐えられるかという実験をしました。支配的な姿勢という手足を大きく広げた姿勢は直立の姿勢よりも痛みにより耐えることができ、服従の姿勢という正座のような姿勢では痛みにあまり耐えることができませんでした。


2つ目の実験は、相手の姿勢が、自分に与える影響を測るものです。最初に握力を測って、それから椅子にくつろいだ支配的な姿勢をした人の写真か、もしくは椅子で小さくなった服従的な姿勢をした人の写真がプロジェクタで投影されたものを見ます。その後にまた痛みにどのくらい耐えられるかという実験と握力の検査をしました。

この実験では、相手が支配的な姿勢をといっていると、痛みに耐えることができず、さらに握力も減ることが分かりました。

つまり自分は支配的な姿勢の方が痛みに強くなり、相手が支配的な姿勢をされると痛みに弱くなるということです。


この実験結果は、医者やカウンセラーは、支配的なくつろいだポーズでなく、小さくなって相手の話を聞くようなポーズでないといけないことを示唆しています。もちろん、痛みに耐えたいときは支配的なポーズの方が良いことも示唆しています。


なお、この研究では、1つめの実験では、ポーズの影響が心理的な影響でなく物理的な影響である可能性も否定できないとしています。つまり、くつろいだ姿勢の筋力の使い方が、痛みへの耐性に影響をしている可能性もあるということです。

私は心理的な効果という可能性の方が高いのではないかと思っていますが、どちらにしても実験が必要ですね。


この記事は以下を参考にしました。
University of Southern California (2011, July 13). Your mother was right: Good posture makes you tougher. ScienceDaily. Retrieved July 14, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/07/110712133337.htm

(文: SY)

2011年07月06日

コーヒーの効果

コーヒー&文庫[1926655] - 写真素材
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残業で疲れた時などにコーヒーを飲むということがあると思います。カフェインには興奮作用があり、また眠気にも対抗出来るので上手く使えば有効な成分です。しかし、カフェインを摂る時の注意事項はなんでしょうか?

まず、カフェインの摂取ですが、摂取してから45分から1時間くらいで血液に行き渡りそこから人によりますが3,4時間かけて徐々に効果が薄れてきます。また、過剰摂取には注意して、1時間あたり200mg以下に抑えましょう。

参考までにカフェインの含有量の目安を記載します。

カフェイン含有量.001.jpg

次に、カフェインの使い方にはいくつかポイントがあります。カフェインを飲んだ効果は基本的には作業のスピードが早くなったり、集中力が増したり、眠くならずに作業が出来るということです。ただし、複雑な思考を要する事柄をより上手くできるわけではありません。

つまり、カフェインを摂ったからといって仕事の創造性や複雑な仕事の質が向上するわけではないのです。午前中の会議の前にコーヒーを飲んだからといって、創造的なアイデアが出るわけではないということを覚えておきましょう。


最後に、カフェインには眠れなくなるだけでなく、摂取しすぎると様々な副作用があります。とりすぎには注意しましょう。


この記事はDeveloping Intelligenceの"Caffeine: A User's Guide to Getting Optimally Wired"を参考に書きました。


関連記事:
カフェインは協働作業向き?結論は性別による...
カフェインは作業効率を高める


(文: SY)

2011年06月28日

目標設定のポイント

上昇 アップ 右肩上がり [1970195] - イラスト素材
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自分の営業ノルマを決める時は誰しも低い目標を決めようとしますが、ノルマでなく自分の目標とする場合にはどのような目標を決めるのがいいのでしょうか?

カリフォルニア大学リバーサイド校Cecile Choとコロンビア大学のVenkataramani Joharは、被験者に目標設定をさせてから、それから株の銘柄を選ばせるという実験をして目標設定と満足度についての研究をしました。

これによると、下図のように良い結果を得ても低い目標を設定した時は満足度が低いことがわかりました。これは目標が低かった時には、もっと高い目標を達成できたのではないかと思ってしまうためと考えられます。

目標設定のポイント.001.jpg


また、様々な事柄について、技能を改善できると考えている人と、生まれつきの能力で決まっていると考えている人では結果についての満足度が変わります。下図のように技能を改善できると考えている改善志向の人は結果がどうあれ満足しやすく改善できない生まれつきの能力と考えている人は良い結果がでないと満足しないことが分かりました。さらに能力志向の人よりも改善志向の人の方が満足度が高くなります。

目標設定のポイント.002.jpg


このことから言えるのは、会社へ申告するノルマのようなものはともかくとして、目標はある程度高くした方がいいということと、結果よりも自己の改善にフォーカスをした方がいいということです。

「結果志向よりプロセス志向」といったことはよく言われていますが、心理学的にもそれは言えそうです。


以下の記事を参考にしました。
University of Chicago Press Journals (2011, June 27). Go for broke: Consumers who set conservative goals feel less satisfied. ScienceDaily. Retrieved June 28, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110509113731.htm

(文: SY)

2011年06月27日

予測できないものに人は注目する

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私たちは、様々なことから学習をします。例えば、太陽が東から昇ることや、リモコンのボタンを押すとテレビがつくことを覚えます。こういった、きっかけとその結果についての哲学的な考察は昔から行われてきましたが、実際に人間がどのようにこのようなことを把握するのでしょうか?

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のOren Griffithsらの研究によると、人間はある”きっかけ”とその”結果”を学習する際には、”予測”が大事な役割を果たしているということです。


これは例えば、”ガオーッ”という鳴き声が聞こえたら危険がある、ということを学習する場合に、動物の場合は普段の生活の雑音から”ガオーッ”という音だけをより分けられることと、そして新しいことを覚えられるゆにこれまでに聞いたことがない音があったらそれに注意を払うといったことが必要です。


このプロセスを理解するためには、人間の場合は”予測”がポイントになります。

被験者にアレルギーテストの観察という作業をさせて実験をしました。この時に、ある人が”リンゴにアレルギー反応を示す”ということが毎回起こればすぐに、リンゴにアレルギーがあると学習します。そして、ある人が”リンゴにアレルギー反応を示さない”ということが毎回起これば、今度はリンゴにアレルギーがあってもなかなか学習しません。一方、ある人がリンゴにアレルギーがあるかどうかよく分からない状態の場合もすぐに学習します。

これは何が起こるか分からない場合には、事象により注意を向けるということです。

このことは人の学習について様々な示唆を与えると思います。

予測と学習.001.jpg

正しい学習→新しい事象に対して学習を強化
間違った学習→新しい事象に対して、すぐ学習できない
予測できていない→新しい事象に対して、すぐ学習する

ということです。つまり間違った学習をする位ならば、予測できていないとみなす方がいいということです。ただし、どれが正しい学習でどれが間違った学習なのかというのは、後からしか分からないという問題があります。


この記事はapsの"What Do We Pay Attention To?"を参考にしました。


元の論文はこちらです。
Griffiths, O., Johnson, A., & Mitchell, C.J. (2011). Negative transfer in human associative learning. Psychological Science.

(文: SY)

2011年06月20日

自己啓発本の心理学

昨日書いた"アファメーションで気分が低下...人によっては若干向上"という記事では、自己啓発本などでよく言われているアファメーションは、自尊心が高くないと、逆効果ということを書きました。

つまり以下の表のような関係があるわけです

自分探しの考察.001.jpg


つまり、もし今自尊心が低いならば、最初に行うべきはアファメーションでなく、自尊心を高めようとすることなわけです。

自分探しの考察.002.jpg


それでは、どうすれば自尊心を上げられるのでしょうか?これは難しい問題ですが、仕事においての成果・昇進などの仕事面での自尊心の向上と、友人・恋愛・趣味などのプライベートでの自尊心の向上が考えられそうです。

自分探しの考察.003.jpg


そして、仕事でもプライベートでも、自尊心というのは、個人的な問題だけでなく所属するコミュニティや組織の成功などでも得ることが出来ます。例えば、趣味で参加しているサークルが全国大会に出場したり、マスコミに取り上げられたりした場合に、所属意識が高い場合には自尊心が向上します。

自分探しの考察.004.jpg


ちなみに、自己啓発本などを読みすぎることで、仕事への不満が高まっていき、自己違和感(今の自分と”本当の自分”とのギャップ)が増大してしまうと、自尊心は低下すると考えられます。

自分探しの考察.005.jpg


自己啓発本では、アファメーションやセルフブランディングといったことが主張されたりしますが、アファメーションをするためには、仕事やプライベートを充実させてから行うべきで、不満をためてから行うべきではありません。

そして、セルフブランディングといったキーワードで自分の方向性を決める時も、それぞれを充実させていくような方向でポジショニングをしていくのがいいのではないでしょうか。


今日はあんまり心理学じゃないですね...


(文: SY)

関連記事:
"アファメーションで気分が低下...人によっては若干向上"

2011年06月19日

アファメーションで気分が低下...人によっては若干向上

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「ポジティブになることで成功する」といった自己啓発書がたくさん出ています。こういった本では「自分は出来る」、「自分は成功する」と自分に声をかけて宣言することで成功するといったことを書いています。このような宣言を”アファメーション”と言いますが、このアファメーションは本当に意味があるのでしょうか?

一方、こういったアファメーションの負の要素について言われることもよく言われます。例えば、無謀とポジティブを取り違えて、リスクを考慮しないといったことです。また、以前の記事で、アファメーションをするよりも疑問文で問いかけた方が実際には有効といったことも書きました。

では、アファメーションが実際に効果があるかどうかはともかくとして、アファメーションをすると本当にポジティブになるのでしょうか?


ウォータールー大学のJoanne Woodらの研究によると、そうではないようです。この研究では、被験者には、自己啓発本にありがちな「私は、愛される人だ」というフレーズを繰り返しとなえてもらいます。その後で、被験者の気分を計測し、被験者の感情を確認します。

この結果は、自尊心に依存することが分かりました。下の表のように、自尊心が高い人は少し気分が向上するので、自尊心が低い人は気分が低下します。つまり、アファメーションは、人によるということなのです。個人的には自尊心が高い人はアファメーションの必要はあまりないと思いますが…

自己啓発と自尊心.001.jpg

自尊心が低い人はアファメーションをしても自分は欺けないということでしょうか。アファメーションと自分の本心のギャップが自分を苦しめていると考えられます。


ちなみに、Woodらの研究ではアファメーションだけでなく、自尊心が低い人がポジティブなことを考えると同時にネガティブなことを書きだすという実験もしています。この場合は、良い気分になりました。

これはポジティブ・ネガティブの両方を受け入れるということでしょうか。結局、自分が受け入れられないような、偽りのポジティブ感というのは気分を低下させるだけのようです。


やはり、アファメーションをするよりも、現実的な手段にフォーカスしたり、リスクを検討する方がいいということですよね。もちろん、自尊心が高い人は、アファメーションが有効でしょうが。


関連記事:
"アファメーションより疑問文"

apsの"The Problem with Self-Help Books: Study shows the negative side to positive self-statements"を参考にしました。

元論文はこちら
Wood 他,Positive Self-Statements: Power for Some, Peril for Others. Psychological Science, 2009; DOI: 10.1111/j.1467-9280.2009.02370.x

2011年06月18日

スポーツのモチベーション

私はビリヤードを真剣にやっていた時期があり、試合(公式戦)などにも出ていたのですがその時は分かっていなかったことがあります。

それは、物事の結果に対する見方です。試合によく出ていると、以下のような考え方をしてしまいがちです。

motive.001.jpg

つまり結果がポイントという見方です。

自分のスキルを磨くことが大事だと思っていても、これは普段の練習などで行うことであり試合においては結果が大事と考えてしまいます。今でも神戸まで試合にいって負け負けで終わった悔しさをよく覚えています。


一方で、普段のビジネスなどでは個別の結果よりも過程が大事ということも認識しています。つまり下図のような見方をしなければいけないわけですね。勝ってしまうと、その”勝利”に惑わされて過程への集中が曖昧になってしまいます。一方で、例えば負けても、自分の目標さえクリアしていれば一定の満足を得ないといけません。

motive.002.jpg

このような視点で物事を見ないといけないのですが、これまであまり出来ていませんでした。


(文: SY)

2011年06月10日

睡眠は意思決定にも効く!

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記憶にとって睡眠が大事というのはよく言われることです。記憶をする際に間に睡眠をはさむと良いという研究は有名だと思います。以前も"睡眠は学習効果を高める"という記事を書きました。


そして、記憶だけでなく意思決定においても睡眠が役に立つという研究をマサチューセッツ大学のRebecca Spenceらが行いました。研究は、ゲームを使った実験をしています。18〜23歳の被験者を以下の2つのグループに分けます。

グループ1.午前に簡単にゲームの説明を受ける→午後に詳細な説明を受けてゲームをする
グループ2.午後に簡単にゲームの説明を受ける→帰って寝る→午前に詳細な説明を受けてゲームをする

ちなみに簡単な説明は、実際にゲームの理解はできない程度の簡単なもので、ゲームの攻略法を考えることはできません。

このグループでそれぞれゲームをしたところ、グループ2の一度寝てから詳細な説明を受けたグループの方が良い成績になりました。ちなみにその後でゲームを午前にしたグループと午後にしたグループでは同じ得点だったので、テストをした時間帯の影響ではないと考えられます。


つまり、意思決定をする際にある程度の情報を得てから、一度睡眠をとることで意思決定の質が上がると考えられるのです。

これまで経験的に夜に考えるよりも翌朝に仕事をした方が有効であるとは思っていましたが、これは疲労のせいかと思っていました。睡眠をすることで、疲労からの回復だけでなくプラスの効果もあったんですね。

睡眠にはやはり不思議な力があるようで、睡眠は調べていくといろいろ出てきそうですねー。人間って不思議です。

(文: SY)

関連記事:
ツァイガルニック効果
睡眠不足で意思決定をする時の注意点
睡眠は学習効果を高める

2011年06月07日

スポーツにおける”セルフトーク”

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ギリシアのテサリー大学のスポーツ心理学者のAntonis Hatzigeorgiadisらが、スポーツ心理学のセルフトークについての32の研究のメタ分析を行いました。

※メタ分析というのは同じような目的の様々な複数の研究をまとめるような研究です。心理学などでは全く同じ実験条件でも対象が人であるため違う結果になりえます。このような場合に複数の研究を通してみることでより正しい知見をえるためにメタ分析を行います。

この研究は、スポーツにおける”セルフトーク”の効果についてのメタ分析です。”セルフトーク”というのは、”左手を添えるだけ”とか”チャー・シュー・メーン”のようにスポーツの間に自分の中でのしゃべるのことです。この研究では”セルフトーク”がスポーツのパフォーマンスを向上させることが分かりました。


ちなみに”セルフトーク”にも様々なものがありますが、”肘を上げる”とか”左手は添えるだけ”のような”技術的なセルフトーク”の方が、”集中、集中”とか”穴だけを見ること”といったような”モチベーションのためのセルフトーク”よりも有効であることが分かりました。また、当然ですが”技術的なセルフトーク”は、上級者よりも初級者に対しての方が有効となります。私の考えでは”技術的なセルフトーク”の効果は習熟したスキルの実行においては、技術的なフォーカスの結果、集中が切れるため逆効果になると思いますが。

また、これも当然かと思いますが、このような”セルフトーク”は、ゴルフやボウリングのような静かなスポーツに対してより有効で、サッカーやサイクリングのような激しいスポーツではあまり有効ではありません。

実際にこのような”セルフトーク”はスポーツのパフォーマンスを向上させますが、この「”セルフトーク”が効率的にパフォーマンスを向上させるには、そのような練習が必要」とAntonis Hatzigeorgiadisは述べています。


ちなみに私はむかし真剣にビリヤードをやっていたのですが、その時、あるプロによく言われたのは、「試合の時に出来ることが本当の実力」といったことです。練習の時に難しい事ができても、それを試合の時にできないといけません。また、試合の時に出来るようになるには、練習しておくことはもちろんですが、そのような試合をこなさないといけないわけです。

私も集中のための”セルフトーク”というのを持っていて、練習の時も試合の時も行っていました。


この記事はAssociation for Psychological scienceの"Thoughts That Win"を参考にしました。


(文: SY)

スポーツのメンタルタフネスといった本はありますが、これが一番参考になった本です。ただし、この本では、”技術的なセルフトーク”を戒めています。”技術的なセルフトーク”の効果は習熟したスキルの実行においては逆効果ということだと思います...

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2011年05月30日

姿勢の影響は権力の影響よりも大きいかも!?

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ゴルフでは胸をはってゆっくり歩かないといけないと言われます。私がよくやっていたビリヤードでも、試合中はセコセコ歩かずにゆったりを胸をはって歩かないといけないと言われています。

実際に胸をはって歩くことで、王者のように振舞うことができ、スポーツのパフォーマンスを向上させるといったようなことは言われますが、これは日常生活やビジネスにおいても役立つのでしょうか?

ノースウェスタン大学ケロッグマネージメントスクールのAdam Galinsky教授とLi Huang、スタンフォード大学の Deborah Gruenfeld教授とLucia Guilloryが身体の姿勢と権力についての研究をしました。

これは、権力がある人とない人がそれぞれ、堂々とした姿勢と、縮こまった姿勢がどのような影響を与えるかのテストです。

まず被験者には権力のある人とない人ということでマネージャーと従業員(フォロワー)のどちらかの役割が割り当てられ、マネージャーは従業員の評価を行う、従業員はマネージャーに従うというように告げられます。

さらに被験者の一方のグループは、椅子の片腕を肘掛けに置いて、もう一方の腕をそばにある椅子の後ろに置き、脚を組むように言われます。そして、もう一方のグループは、手を太ももの下において、肩を落として、脚をくっつけるように言われます。


このようにすることで、それぞれの被験者の役割が権力があるかないか、また堂々とした姿勢か縮こまった姿勢かが割り当てられます。


そして、単語テストやブラックジャックなどのいくつかのタスクがそれぞれ行われました。すると堂々とした姿勢のグループの被験者は縮こまった姿勢よりも、より力に関係する言葉を使い、より身体を動かすことがわかりました。そして権力のあるマネージャー役の人もより動きますが、動作においては姿勢の影響の方が大きいことが分かりました。


これはあくまでも実験であって実際の環境とは違いますが、マネージャーと従業員(フォロワー)の関係よりも、姿勢の影響の方が大きいというのは意外な結果でした。

ちなみにGalinskyによると、姿勢は就職活動の面接で影響が大きいとのことですので、座った姿勢を鏡やビデオをチェックされてはいかがでしょうか。

この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science (2011, January 7). Standing tall is key for success: 'Powerful postures' may trump title and rank. ScienceDaily. Retrieved May 30, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110106145257.htm

上記記事を見つけるのは"Barking up the wrong tree"を参考にしました。


関連記事
簡単に自信を持つ方法

(文: SY)

2011年05月26日

カフェインは協働作業向き?結論は性別による...

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ブリストル大学のLindsay Claireらが平均22歳のブリストル大学のコーヒーを飲む人64人を被験者としてカフェインの効果について実験をしました。被験者にカフェイン入りのコーヒーもしくはカフェインレスのコーヒーを飲ませた後に、ストレスを与えた環境とストレスのない環境それぞれで、パズル、交渉、記憶力を必要とする協働作業を行いました。
この結果として、ストレスのある環境下ではカフェイン入りのものを飲んだ女性はコラボレーション能力を増し、男性は減らすということが分かりました。


この件について組織行動論で有名なBob Suttonがブログでとりあげていて、”より調査が必要”な状況と書いています。たしかに性別によって効果が違うのは、一般的な感覚と違うので協働作業についての効果についてより大規模な調査が必要というのは理解できます。

ちなみに以前の記事”カフェインは作業効率を高める”でカフェインの覚醒効果が作業効率を高めると書きましたが、実験条件によって必ずしも有効でないということでしょうか。カフェインとカフェインレスのコーヒーというのは実験もしやすく、心理学の実験のネタには面白そうですね。


この記事を参考に書きました。
Coffee helps women cope with stressful meetings but has the opposite effect on men
Caffeine: It Undermines Performance on Collaborative Tasks for Men, Enhances It For Women

元論文のリンクはこちら


関連記事:
カフェインは作業効率を高める


(文: SY)

2011年05月06日

子供の食わず嫌いをなくす方法

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今、Wowowで”ジェイミーの食育革命!in USA”という番組がやっていて家族で楽しく見てます。この番組はイギリスの超有名シェフのジェイミー・オリバーがジャンクフードばかりのアメリカの給食をきちんと調理された健康的な食事に変えていくというドキュメンタリー番組です。また、前番組として、イギリス版である”ジェイミーの給食革命!”というものがありました。

この番組を見てて思うのは、アメリカでもイギリスでも子供たちに健康的な食事をさせるのは非常に難しいということです。ポイントはいくつかありますが、作る側の手間や食品のコストの問題を別にしても、そもそも子供がこれまで食べ慣れたジャンクフードしか食べないという問題です。たしかに大人が「こちらの方が健康的」と聞かされたとしても、よく知らないものは食べないし、これまで慣れ親しんだものを食べます。子供は、「こちらの方が健康的」などということはあまり興味がないでしょう。


ジェイミーはこの解決法として、知らないものや新しいものを食べた子供に”新しいことに挑戦した”と書いたシールを胸につけて褒めるといった手法で対応しました。それまで新しいものにあまり興味がなかった子も、ジェイミーや先生が「すごいぞー、よくやった!」と言ってシールをつけてくれると、新しいことに挑戦をします


これはなかなかに良い方法です。大人でも子供でも同じことを続けるのは得意ですが、新しいことはなかなかしません。このように”新しいことに挑戦する”ということにインセンティブを与えるのはとてもいいと思いました。


以前に読んだこの本を思い出しました。
「短期間で組織が変わる行動科学マネジメント」


(文: SY)

2011年05月04日

テレビ見ながらコンピュータする

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コンピュータを触りながら、テレビを見るということはありますか?

テレビを見ているときに出演者などをコンピュータ調べるという視聴スタイルはよくあると思いますが、コンピュータで何かをしている時にテレビをつけているということもよくあると思います。

ボストン大学のAdam BraselとJames Gipsがコンピュータとテレビを同時に使う”メディアマルチタスキング”について研究しました。

この研究によるとコンピュータとテレビを見るといったマルチタスクでは、27.5分で120回の視線移動があることが分かりました。つまり、片方のメディアを見ていても、約14秒で別のものを見ることになります。これだけ頻繁に視線を移動させていると、どちらもあまり集中することはできません。なお、テレビとコンピュータを同時に使うと68.4%の人がコンピュータをより長い時間使っていましたが、どちらのデバイスもそれほど長い時間集中しているというわけではありませんでした。


ちなみに、被験者はCM中にコンピュータを触っていたり、ウェブブラウザのロード中にコンピュータを触っているというように、それぞれのメディアの隙間時間を有効に使っていると思っていましたが、実際にはそんなことはありませんでした


仕事を出来る人はマルチタスキングを効率的にこなすというイメージがありますが、やはりコンピュータをしながらテレビを見るのは難しいようです。体感として、このようなマルチタスキングは効率はあまりよくないと思ってはいましたが、想像以上に効率が悪いということが分かりました。


元論文はこちらの”Media Multitasking Behavior: Concurrent Television and Computer Usage”です。

この記事は以下を参考にしました。
Boston College (2011, May 2). Media multitasking is really multi-distracting. ScienceDaily. Retrieved May 4, 2011, from
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/05/110502084444.htm

(文: SY)

2011年04月21日

授業ではどこに座るのがいい?

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授業ではどこに座るのがいいでしょうか?なんのために学校に行っているのかによりますが、勉強するために行っているならば先生の近く(前の真ん中)がオススメです。

オーストラリアのクイーンズランド大学のSophie LindquistとJohn McLeanが”Daydreaming and its correlates in an educational environment”(教育環境における、白昼夢とその影響)という研究で大学生を対象に実験をしました。

この研究によると、授業中によそ事を考えたりぼーっとすることが多いのは、年齢が低い、ノートをきちんと取っていない、授業に興味がない、そして後ろの方に座っているといったことと関係しているのが分かりました。そして、ぼーっとしていることが多いが高いとテストの点が低いことも分かりました。


つまり、同じ授業料払ってるなら一番前の席の真ん中で授業を受けるのがお得ってことです。


あれ、なんか当たり前の結果な気がしますが…エビデンス(証拠)がでたということでご勘弁ください。


この記事は、Barking up the wrong treeの”Do students who sit at the front of the class do better?”を参考に書きました。


(文: SY)