2013年08月20日
右脳派vs左脳派、これってホント?
一般的に右脳vs左脳という言葉で何かを語る時には、おおよそ間違っていることが多いと思います。
左脳派は、ロジカルで分析的で、細かいところが気になる。
右脳派は、クリエイティブで、主観的で直感的で、全体的に把握する。
こういったことはよく言われますが、このような左脳派vs右脳派という対立図式は、一般的にはよく言われるものの、このような左脳派や右脳派などはないというのが定説だと思います。それでは本当のところはどうなんでしょうか?
ユタ大学のJared Nielsenらの研究では、7歳から29歳の1011人のfMRIでの脳の画像を解析して、右脳派と左脳派といった個人差があるかを確かめるというものです。
この研究では、個人が右脳を優先的に使うとか、左脳を優先的に使うといった偏りを見つけることはできませんでした。やはり、右脳派vs左脳派なんてのは存在しないということです。
(図は参考論文より)
脳の各領域の接続については個人差があるようですが、右脳派vs左脳派といった単純な図式ではないようです。
”分析的vs直感的”といったような内容で、左脳と右脳という言葉を安易に使っている人も多くみかけますが、「あの人は直感派だよね〜」というのを敢えて「あの人は右脳派だよね〜」という必要は全然ないと思います。
この記事はNielsen JA, Zielinski BA, Ferguson MA, Lainhart JE, Anderson JS, 2013, "An Evaluation of the Left-Brain vs. Right-Brain Hypothesis with Resting State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging.", PLoS ONE 8(8): e71275. doi:10.1371/journal.pone.0071275を参考に書きました。
(文: やまざきしんじ)
2013年01月21日
ダニング・クルーガー効果
ダニング・クルーガー効果(Dunnig Kruger effect)というのは、能力がない人が自分の能力を把握できないというものです。
「自分の無能さを、把握できないほどに無能」
という書き方をすると皮肉すぎですが、「人は自分が得意でない分野では自分の能力を見誤る」と言うならば納得できるのではないでしょうか。
例えば数学の能力が低い人になればなるほど、自分の数学の能力は実際よりもより高いと判断します。基本的に人は自分の能力を過信しているのに加えて、数学の能力が低い人ほど、自分の数学の能力が低いとは思いません。
これは数学だけでなく、他の様々な分野で同じことがあります。実際に自分のことを思い返してみても、本当に苦手な分野はテストでの成績が平均よりも上なのか下なのかもよく分からなかったりしました。
このダニング・クルーガー効果は2000年のイグ・ノーベル賞を受賞しています。たしかに、賢い人ほど自分を賢いと思わず、そうでない人ほど賢いと思うというのは面白いことですよね。そういえば、「パソコン詳しい」、「数学詳しい」と自分で思っている人(言っている人)はたいして詳しくないという法則もありますね。
このダニング・クルーガー効果から言えることは、「自分の苦手な分野では、かなり自分は本来より過信してるぞ」ということです。これをいつも心に命じておきましょう。
ちなみに、以前さいころニュースでも、このDunningとKrugerが行った”8割の学生は自分の実力を過大評価”という研究を紹介したこともあります。
(文・絵: やまざきしんじ)
2012年05月09日
1万時間が天才を生む
天才になるには1万時間というのはよく言われています。
1万時間の練習を積むことで、1つの分野で習熟し、天才になることが出来ると言われています。1万時間というのは、1日3時間を10年間続けるということです。もしくは1日10時間を3,4年間でしょうか。実際に、マルコム・グラッドウェルの「天才」という本を読むと、天才は才能でなく、努力(と運)であるという印象を持ちます。
もちろん、どんなことでも1万時間をすれば天才になれるというわけではありません。様々なスポーツでは、いくら練習してもあまり上手くならない人がいると思います。これは、適切な練習方法をしていないというのがあります。上達するには、高い目標を持って練習をしないといけません。自分のベストのパフォーマンスの10%増を目標として日常から練習する必要があります。このような練習の質がなければ、単純に1万時間を重ねてもあまり意味はありません。
(タイムを測る競技の場合は、過去5回〜10回の平均タイムと最高タイムを計測して、次からは平均しても以前の最高タイムが出るように目指します)
もちろん、天才と言われるためにはこれだけで十分とは言い切れません、競技によってはたくさんの競技者がいますし、一人だけで練習できる競技もあれば、同レベルの対戦相手がいないと上達しない競技もあります。
また、天才が主観で決められるもの(例えば小説家や音楽家)の場合は運も必要となりますし、むしろ運の要素が大きいものもあります(たくさん応募するとか、編集者と仲良くなるなどの運を引き寄せる方法もありますが)
天才が1万時間で創られるかは分かりませんが、周りに才能のある人がいる競技で、スキルを伸ばすような練習方法を行なっていけばその道の第一人者になれそうですね。
(文・絵: やまざきしんじ)
人気のビジネス書作家マルコム・グラッドウェルの本です。是非一読してみてください。
タイトルはパクリっぽいですが、内容も似ています。そして、この本もとても面白いです。天才の続編として是非読んでみてください。
2012年02月11日
速読・速聴のインターチェンジ効果?
速読や速聴(小説の朗読などを3倍速とかで聴く)の本や講座ではインターチェンジ効果というものがよく主張されます。
そして、速読や速聴を続けることでスピードに慣れて、その後高速道路からインターチェンジから降りたかのように遅く感じる(逆に言えば頭の回転が速くなる)というのです。
これは本当でしょうか?
調べた範囲では、これが真実かどうか分かりませんでした。速読・速聴側の人達が「こういう効果もありますよ!!」と、データもなしに主張しているというのが私の調べた範囲での結論でした(データや参考論文をご存知の方は是非教えて下さい)。
もし、このインターチェンジ効果があるならば、全く同じロジックによって速度の速いゲーム(例えば高速スクロールのシューティングゲームや、高速な格闘ゲーム)をよくやっている人は、そうでない人よりも頭の回転が速いということになります。つまり、スーパースト2Xばっかりしている人は、バーチャファイターをしている人よりも頭の回転が速い(ゲームの速度が全然違うので)ということになります。これは真実なんでしょうか?これは冗談にしか思えません。
この議論は、脳トレゲームブームを思い出します。脳トレはそのやってるゲームが上手くなるだけなのに、あたかも頭がよくなるかのように宣伝されていました。これと同様に、速聴や速読をいくら練習しても、速聴ができたり速読ができるだけの効果しかありません。ただし、速聴にかんしては、もしかすると速読の際に言葉を音声化しないで(音韻ループを使わないで)読む練習に出来る可能性もありそうです。
ちなみに速読については、多少の効果はありそうです。これは、また別に書きます。
(文・絵: やまざきしんじ)
そして、速読や速聴を続けることでスピードに慣れて、その後高速道路からインターチェンジから降りたかのように遅く感じる(逆に言えば頭の回転が速くなる)というのです。
これは本当でしょうか?
調べた範囲では、これが真実かどうか分かりませんでした。速読・速聴側の人達が「こういう効果もありますよ!!」と、データもなしに主張しているというのが私の調べた範囲での結論でした(データや参考論文をご存知の方は是非教えて下さい)。
もし、このインターチェンジ効果があるならば、全く同じロジックによって速度の速いゲーム(例えば高速スクロールのシューティングゲームや、高速な格闘ゲーム)をよくやっている人は、そうでない人よりも頭の回転が速いということになります。つまり、スーパースト2Xばっかりしている人は、バーチャファイターをしている人よりも頭の回転が速い(ゲームの速度が全然違うので)ということになります。これは真実なんでしょうか?これは冗談にしか思えません。
この議論は、脳トレゲームブームを思い出します。脳トレはそのやってるゲームが上手くなるだけなのに、あたかも頭がよくなるかのように宣伝されていました。これと同様に、速聴や速読をいくら練習しても、速聴ができたり速読ができるだけの効果しかありません。ただし、速聴にかんしては、もしかすると速読の際に言葉を音声化しないで(音韻ループを使わないで)読む練習に出来る可能性もありそうです。
ちなみに速読については、多少の効果はありそうです。これは、また別に書きます。
(文・絵: やまざきしんじ)
2012年01月25日
精神病は見分けられる?ローゼンハン実験
(c) UYORI|写真素材 PIXTA
昨日は私の39歳の誕生日でした!!自分におめでとう!!!というわけで、1973年に行われた有名な心理学の実験を紹介します。
デビッド・ローゼンハンが1973年に行った実験は、精神病院の患者の判断能力を調べるもので2つの実験からなります。
1つめの実験は、アメリカで3人の女性と5人の男性が”偽の患者”として、幻聴が聞こえるフリをしていくつかの精神病院に入るというものです。どの精神病院でも幻聴のフリをした”偽の患者”は入院を許可されました。その後”偽の患者”は普通に戻って、「もう幻聴は聞こえない」とスタッフに言ったのですが、どの患者も退院を許さませんでした。
この1つめの実験では、精神病院は”偽の患者”を本物の患者と間違えるということを明らかにしました。
2つめの実験は、精神病院に「偽の患者を送り込むよ!」と宣言をするというものです。そして病院は193人の患者のうち、41人が”偽の患者”かもしれないと判断しました。さらに、うち19人は少なくとも精神科医と別のスタッフから”偽の患者”と見なされました。しかし、実際にはローゼンハンは一人も”偽の患者”を送り込んでいなかったというものです。
この2つめの実験では、精神病院は本物の患者を”偽の患者”と間違えるということが明らかになりました。
人の心や精神病というのは非常に難しいものです。一方で、学問としては、個人の能力や才能に依存しないことや科学的であることが必要とされます。
このローゼンハン実験を読んで、カール・ポパーが著書「推測と反駁」でアドラーについて書いた以下の話を思い出しました。
1919年のあるとき、わたくしは格別アドラー的とも思われないような一事例をかれに報告したことがある。しかし、かれは、その小児患者を見たことさえないのに、自分の劣等感理論によってその事例を事もなげに分析してみせたのである。わたくしは、少しばかりショックを感じて、どうしてそれほど確信がもてるのか、とかれに尋ねるとかれは「こういった例は千回も経験しているからだよ」と答えたので、わたくしはとうとう次のように言わざるを得なくなったのであった。「でもこの新しい事例で、先生の経験は千1回目になるんだと思いますが」と。
(藤本隆志ら訳、法政大学出版局版より引用)
今回のニュースは一見あまりビジネスには関係ありませんが、このような曖昧な技能でなく、ちゃんと分かるエビデンス(証拠)ベースの考え方こそが大事というのは、ジェフリー・フェッファーがよく書いていることですね。
元の論文情報はこちら
David Rosenhan, 1973, "On being sane in insane places", Science 179 (4070): p.250–8. doi:10.1126/science.179.4070.250
ローゼンハン実験についてビデオはこちら。
(文: SY)
ローゼンハン実験も紹介されています。
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ポパーの本はこちら。アドラーとのエピソードが載ってます(他の本でも載っていた気がしますが..)
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2012年01月22日
得を選ぶ?損しないを選ぶ?
(c) jun|画像素材 PIXTA
ノーベル経済学賞をとったカーネマンとトヴァスキは行動経済学者というもので知られています。行動経済学というと一見経済学のようですが、内容はほとんど心理学といってもいいです^^;;
ここでは二人の研究からアジア病気問題として知られる有名な研究を紹介します。
問題1.アメリカで、アジアの謎の病気が流行して600人が感染しました。ここで病気への対処として以下の2つのどちらを選択しますか?
プログラムA 200人が助かる
プログラムB 1/3の確率で600人が助かって、2/3の確率で誰も助からない。
皆さんなら、プログラムAとBどちらを実施しますか?そして、よく似た次の問題はどうでしょうか?
問題2.アメリカで、アジアの謎の病気が流行して600人が感染しました。ここで病気への対処として以下の2つのどちらを選択しますか?
プログラムC 400人が死ぬ。
プログラムD 1/3の確率で誰も死なない、2/3の確率で600人が死ぬ。
この場合はどちらを実施しますか?
この2つの問題は論理的には全く同じものですが、問題1は”利益を選ぶ問題”、問題2は”損失を選ぶ問題”のように読めるようになっています。そして、プログラムAとC、BとDは全く同じ選択です。
これを実験すると、問題1では72%の人がプログラムAを選び、28%の人がプログラムBを選びました。一方、問題2では22%の人がプログラムCを選び、78%の人がプログラムDを選びました。
つまり、人は問題1の”利益を選ぶ問題”では利益が手に入らないというリスクを回避し、問題2の”損失を選ぶ問題”では損失を回避する(損失を0にしたがる)傾向があるのです。
人はこのような傾向に何がしかの形で縛られています。会社などでの意思決定でも、このようなバイアスの影響下にあることを認識して意思決定をしないといけません。
また、このようなリスク回避志向のために、保険をかけすぎる傾向があるということを、以前、”保険は控えめに”という記事で書きました。こちらもどうぞ。
この記事は以下の論文を参考にしました。
TverskyとKahneman, 1981, The framing decisions and the psychology of choice, Science, Vol. 211, p.453-458
(文: SY)
2011年12月26日
マシュマロが4歳児の成功を予測する
(c) 笑里|写真素材 PIXTA
昨日、NHK教育(ETV)でシーナ・アイエンガーのコロンビア白熱教室を見ていました。全5回の最後だったのですが、非常に面白かったです。マイケル・サンデルのハーバード白熱教室以降、これまで海外版および日本版の様々な授業がやっていましたが、マイケル・サンデルのハーバード白熱教室と並んで一番面白かったです。もし再放送することがあったら是非見てください。
ところで、昨日の授業の中で有名なマシュマロの実験について述べていました。これは心理学者のウォルター・ミシェルが1960年代に行った実験です。4歳の子供をマシュマロ1個とベルがある部屋に置いて、実験協力者が「今から部屋を出るけど、もし戻るまで待っていたらマシュマロを2個あげよう。もしベルを鳴らしたらすぐに戻ってくるけど、その時はマシュマロを1個しか食べてはいけない」といって、子供がどのくらいでベルを鳴らすかを実験したものです。
この結果、1/3の子供はすぐにマシュマロを食べ、1/3の子供は少しだけ待ってベルを鳴らしてマシュマロを1個食べ、残りの1/3は実験協力者が戻ってくるまで待って見事2個のマシュマロをもらいました。
そして、その10数年後に追跡調査をしたところ、2個のマシュマロをもらった子供は成績が良く、一方ですぐにマシュマロを食べた子供は集中力にかけた子供に育っていたのです。つまり、マシュマロをすぐ食べるかどうかでその子供の未来の成績が分かったというわけです。
たしかに、地道なトレーニングを厭わないスポーツ選手は成功するし、つまらないことでも明日のために我慢できる子供は勉強も得意になるでしょう。そして、このマシュマロ実験の結果は、自己管理の重要性を再認識させてくれるのではないでしょうか。
(文: SY)
アイエンガーの本はこちら。心理学に詳しい人ならば、知っているネタだらけでしょうが料理の仕方が秀逸です。そして、心理学に詳しくない人には是非オススメの一冊。
2011年12月21日
「朝礼をする会社は儲かる」の罠
(c) BAN子|ストック写真 PIXTA
心理学用語で”根本的な帰属の誤り”というものがあります。”根本的な帰属の誤り”はある現象について、個人の性格や能力が大きな原因と考え、その時の状況の影響を小さく見積もるというものです。例えば成功した会社については、社長の性格や手腕が原因と考えて、規制緩和や市場トレンドの影響を小さなものと見ます。
ITバブルの時期にIT社長が、工場への派遣が伸びていた時期に派遣会社の社長が「自分はどうして成功したか?」といった内容の本を出していましたが、その優れた経営者は今はどこに行ったのでしょうか??
また、"確証バイアス"というのは、人は自分の都合の良い情報だけを集めて自分の意見を補強する傾向があるというものです。例えば、”朝礼をする会社は業績が伸びる”という信念を持っている人は、人から聞いた”朝礼をしている業績のいい会社”の情報を熱心に集めて、自分の信念を強化する傾向があります。実際には、朝礼をしていて業績の悪い会社や、朝礼をしていない会社の業績の良い比率を考えなければいけません。
実際にはこの"確証バイアス"に加えて、そもそも朝礼をしたから業績が伸びたのか、それとも業績が悪い会社は朝礼をする余裕がないのかといった、因果関係と相関関係についても検討しなければなりません。
ビジネス書には、個人の経験と印象にあまりにも頼りすぎていて、自分の能力を過大評価した本が多くて残念な気持ちになることがあります。
もし、”朝礼をすると業績が良い”という仮説を主張するならば、
朝礼をして、業績が良い
朝礼をして、業績が悪い
朝礼をしていなくて、業績が良い
朝礼をしていなくて、業績が悪い
という4つの考察と、”朝礼→業績”のつながりの実証的なデータを持ってきて主張してもらいたいものです。
最近は良い本を書く人も増えてきたので、このようなバイアスに負けない本を書いてもらいたいです。
(文: SY)
2011年12月04日
判断と予測の過信
(c) maimu|イラスト素材 PIXTA
人は自分の判断と予測を過信しています。これは過信効果(overconfidence effect)として知られています。
人は自分の予測能力についても過信をしています、ここでいくつかの実験を見てみましょう。Dunningら,1990の実験では、被験者は相手に約30分のインタビューをしてから、インタビュー相手が質問にどのように答えるかを予測するという実験を行いました。この実験では、74.5%正しいと予測したのに対して、実際には63.0%の正解率でした。また、インタビュー相手でなく、より仲の良い相手であるルームメイトが質問にどのように答えるかを予測した時は、77.7%正しいと予測したのに対して、実際には68.0%の正解率でした。
人は自分の様々な能力について過信していますが、予測能力についても過信をしています。未来を楽観的に見るだけでなく、その未来を本来よりも、より正確に予測できると思い込んでいるようです。
参考文献
Dunning, D., Griffin, D.W., Milojkovic, J.H., & Ross, L. (1990). The overconfidence effect in social prediction. Journal of Personality and Social Psychology, 58, 568–592.
(文: SY)
2011年12月02日
認知的不協和
(c) WORST|イラスト素材 PIXTA
レオン・フェスティンガーの認知的不協和(cognitive dissonance)として知られるものは、人は2つの矛盾する認知に直面した時(認知の不協和状態)に、どちらかの認知にもう一方を合わせることでこの不協和状態を解消するというものです。
例えば、”タバコを吸っている”人が、”タバコは身体に悪い”という情報を得た時に、”でも自分は運動をしているから大丈夫”といった理由を作り出します。
A タバコを吸っている
B タバコは身体に悪い
だったのが、
A タバコを吸っている
B’ タバコは身体に悪い、が自分は運動をしているから大丈夫
と変わるのです。
この認知的不協和の実験として有名なのは、FestingerとCarlsmith,1959の実験です。これは、71人のスタンフォード大学の男子学生を被験者として、”実験として”つまらない作業をさせました。この後、別の被験者に、「この実験は楽しかった」と言います。なお、この実験では、被験者はそれぞれ、1ドル、20ドルの報酬をもらっていました。
その後に、この実験を楽しめたかどうかを聞いたところ、1ドルをもらった被験者の方が実験を楽しんだと答えました。また、1ドルをもらった被験者の方が実験の意義も感じていました。これは、
1ドルの被験者 あまり報酬も貰えなかった、楽しかったと他の人に伝えた
20ドルの被験者 報酬はたくさん貰えた、楽しかったと他の人に伝えた
1ドルの被験者は、「少ない報酬、楽しかったと言った」ことから、「少ない報酬だったが、実験に意義があって、楽しい作業だった」と思うのです。一方20ドルもらった被験者は、「楽しくない作業でも、報酬のために面白かったと言った」と思うことができます。
この認知的不協和は、自分の考えや行動を後づけで正当化するものとみなすことができます。このような認知的不協和が、自分や他人に常に働いていることに注意しないといけません。
(文: SY)
2011年11月29日
良いことはそれほどしない
(c) moeyan|画像素材 PIXTA
ほとんどの人は自信過剰です。以前にも”レイクウォビゴン効果”について触れました。この”レイクウォビゴン効果”は多くの人は本来の客観的なものよりも自分をより高く評価するポジティブ幻想があるというものです。これは”レイクウォビゴン効果”としても知られています。レイクウォビゴンというのは、アメリカのミネソタの”子供の全てが平均以上である”という架空の町です。ここから転じて、多くの人は自分を平均以上と思うといったことをさします。
これに似た効果で、社会的に好ましい行動について行うかどうかを見積もると、実際に行うよりもより高く見積もるということがあります。
コーネル大学の実験では、1ヶ月後のチャリティーで花を買うかと予測した時に、83%の人が自分は買うと予測し、自分以外は55%の人が買うと予測しましたが、実際には43%の人が購入しました。
また、別の実験では90%の人が次の選挙に行くと予測し、自分以外の仲間は75%が行くと予測しましたが、実際には69%の人が選挙に行きました。
このように人は、未来に自分はより好ましい行動をすると予測しますが実際にはそこまでしません。このような予測をする時には、”自分が行う”でなくて、”他の人が行うならどのくらいか”を予測した方がより現実に近い予測ができます。この上の例の場合は、それでもまだ過剰な見積もりですが
仕事に限らず人は、見積が苦手です。人には様々な心理的な傾向があるので、そういったものに注意しなければなりません。
この記事はDavid Dunningら,2004の"Flawed Self-Assessment Implications for Health, Education, and the Workplace"を参考に書きました。
(文: SY)
2011年11月14日
21日間で習慣になる!?...本当???
(c) yakko|写真素材 PIXTA
よく自己啓発書には、3週間続けることで習慣になるということを書かれています。ここ2,3日だけでも、そのような主張をしている人やブログをいくつか見かけました。
というわけで、以前書いた”習慣化するには2ヶ月以上”という記事のポイントを再度紹介します。
誰が21日間と言い始めたか?
おそらく1960年に形成外科医Maxwell Maltzが書いた本が元ネタと考えられます。Maltzは、手足などを失った人が損失に適応するには平均21日かかることに気づきました。このことから、人が主要な生活の変化に適応するには21日かかると主張しました。世の中の本も一応、根拠らしきものがあるんですね。ただし、これは自分が主体的に何かを行った時に21日間経つと習慣になるということとは大きく違うのはわかると思います。
ではどのくらいで行動できるか?
ロンドン大学のPhillippa Lallyら,2009の研究によると、習慣化したい行動の難易度や楽しさによります。ランチの時に一緒にヨーグルトを買ってきて食べるくらいなら5日もあれば習慣になるでしょうし、毎日10km走るというのは30日かけても難しそうだ、というのは直感的にもわかることでしょう。
この研究によると、以下のグラフのようになりました。この研究で行った様々な行動について習慣化するためには、18日から254日までの日数がかかり、平均で66日となりました。
また、この研究では以下のことが分かりました。
・1日だけサボるのは、習慣にする可能性を低くはしませんでした。
・一部の人達は、他の人達よりも習慣にするのに時間がかかりました。”習慣にしにくい”という特性があるかもしません。
・習慣にしたい行動のタイプによってははるかに時間がかかります。
この記事は以前書いた”習慣化するには2ヶ月以上”の概要版です。
(文: SY)
2011年08月24日
タッチをすると依頼を受けてくれやすくなる!
(c) MAI|写真素材 PIXTA
人に依頼をする時に、相手を触ると有効ということは昔から言われています。これについての実験結果があります。
この実験は53人の男性と67人の女性を対象としたものです。この実験は、二人の共謀者が大きくてとても興奮した犬を連れていて、被験者に対して「今から薬局に行くが、薬局には犬を連れていけないので、犬の面倒を10分間みて欲しい」と頼みます。
この時に、被験者に触るか触らないかという2つの場合があり、被験者に触った場合には55%の被験者がこの依頼に応じました。一方、被験者に触らなかった場合には35%の被験者がこの依頼に応じました。
この実験では約20%の被験者が、触られるかどうかで結果を変えたと言えます。この触ることで、こちらの依頼をより受けるようになるというのはよく言われていることで非常に多くの実験がありますが、私が読んだ範囲ではいずれの実験でも大きな効果が出ているようです。
この記事はBarking up the wrong treeの"Another quick and easy way to improve your persuasion skills"を参考にしました。
(文: SY)
2011年07月12日
右脳・左脳は利き手より利き目?
(c) meromeropanchi|ストック写真 PIXTA
以前、”左利きは天才が多い?”という記事を書きました。これは、よくある”右脳左脳神話”の一つの”左利きは天才が多い”というわけではないデータがあるという記事でした。
”左利きは天才が多い”という言説は、「左利きは右脳を使う。右脳は直観などの芸術的な能力を司る。よって左利きは芸術的な能力がある人が多い(天才が多い)」というストーリーで述べられているものです。
一方、前回の記事では、データとしては”左利きはむしろ成績が若干悪い”ということになります。本来左利きなのに、強制的に右利きに変えられるコスト(その時間に他のことできるのに)や世の中の多くのものが右利き用に出来ているために、そういったものに習熟する手間や使用する手間がコストになるといったことが考えられます。
ところでふと思ったのですが、もし本当に”右脳・左脳神話”を主張するならば、何故利き手で主張するのでしょうか?
たしかに手というのはよく使うものですが、おそらく認知能力としては手よりも目の方をより使っているはずです。つまり、”利き目”にフォーカスをして、”利き目が左目の人は天才が多い”とした方がより本物っぽいストーリーが作れるのではないでしょうか?
利き目を調べるには、両目で物をみて、右目と左目をそれぞれ閉じてください。もしくは鼻の上(右目と左目の間)に指を立てて両目で見て、それから右目だけ、左目だけでそれぞれ見ることで測ることができます。ちなみに右利きの多くの人は、利き目は右です(おそらく90%以上)。
この利き目が左目の場合は、「左目は右脳を使う。右脳は直観などの芸術的な能力を司る。よって左目は芸術的な能力がある人が多い(天才が多い)」というストーリーを作り出すことができます。
もちろん上に書いた利き目神話は嘘っぱちです。利き手神話と同様に、右脳・左脳のように明確に別れると考えないほうが現実的です。
分離脳の研究などで、右脳や左脳の働きなどについて分かってきたことは多いのですが、それらの結論とよく言われる”脳として”というものには大きなギャップがあり、ちょっとした情報に妄想を混ぜあわせた言説が入り乱れているので要注意です。
特に”分かりやすいストーリーと、それっぽい結論”は気をつけましょう。機能の説明でなく、実証的なデータで示されたものは信じてもいいと思います。天才の基準を示しておいて、これまでにいた天才1000人のうち右利きと左利きの比率は、天才じゃない人とどう違うかといった研究があればいいのですが、こういったことは誰もやらないですよねー。>< まぁ、そんなデータが出ないでしょうから、誰もやらないんでしょうが。
(文: SY)
2011年07月05日
他人が幸せならあなたも幸せ
マズローの欲求段階説というのは、より下位の欲求を満たすと上位の欲求のニーズがあらわれるというものです。以前、マズローの欲求段階説について書きましたが、マズローの欲求段階説が正しいかといった新しい研究がイリノイ大学のEd Dienerらによって行われました。
この研究は2005-2010年の世界中の155ヶ国でのギャラップ調査のデータから人々の満足度を調査するというものです。この研究の中で、社会の他者のニーズも満たされると、より幸福になるということが確認されました。さらに、基本的な欲求である生理的な欲求や安全欲求が満たされていない時でも、他者と良い社会的な関係を保ち自己実現をして幸福になることがあると分かりました。
これはマズローの欲求段階説には合わない事象です。これはどのように解釈すればいいのでしょうか?
マズローのように明確に階段があって、下の欲求が満たされい限り上の欲求が表れないのでなく、下位の欲求が満たされなても上位の欲求が現れることもあると考えるのが適切かもしれません。
また、他者のニーズが満たされると自分も満足するということには、以下のジレンマについても考えてみる必要があります。
・人は他者と比較をして自分が他者より良いことで満足する(自分が年収1000万で知人が600万の方が、自分が年収1200万で知人が2000万よりも満足度が高い)
・人は他者との関係の中で満足する(承認される他者が必要で、その他者の欲求が満たされている方が良い)
つまり、自分の満足や幸福には、他者との比較というネガティブな効果(他者は自分より不幸な方が良い)と他者の幸せを願うというポジティブな効果の2つが組み合わさっています。この研究結果はこのポジティブな効果が出ていると考えられますが、この2つの関係まではこの研究では明らかになりませんでした。
このようにマズローの欲求段階説一つとっても、様々な視点があります。ビジネス書などでは、マズローの欲求段階を公然の事実として扱っているものが多いのですが、この説一つとってもまだまだ研究の余地がありそうです。
この記事はThe British Psychological Societyの"We are happier if others are happy too"を参考に書きました。
関連記事:
マズローの欲求段階説
(文: SY)
マズローの欲求段階説を含めてモチベーションに関わることが概説された良著です。全ての管理職の方にオススメ。
この研究は2005-2010年の世界中の155ヶ国でのギャラップ調査のデータから人々の満足度を調査するというものです。この研究の中で、社会の他者のニーズも満たされると、より幸福になるということが確認されました。さらに、基本的な欲求である生理的な欲求や安全欲求が満たされていない時でも、他者と良い社会的な関係を保ち自己実現をして幸福になることがあると分かりました。
これはマズローの欲求段階説には合わない事象です。これはどのように解釈すればいいのでしょうか?
マズローのように明確に階段があって、下の欲求が満たされい限り上の欲求が表れないのでなく、下位の欲求が満たされなても上位の欲求が現れることもあると考えるのが適切かもしれません。
また、他者のニーズが満たされると自分も満足するということには、以下のジレンマについても考えてみる必要があります。
・人は他者と比較をして自分が他者より良いことで満足する(自分が年収1000万で知人が600万の方が、自分が年収1200万で知人が2000万よりも満足度が高い)
・人は他者との関係の中で満足する(承認される他者が必要で、その他者の欲求が満たされている方が良い)
つまり、自分の満足や幸福には、他者との比較というネガティブな効果(他者は自分より不幸な方が良い)と他者の幸せを願うというポジティブな効果の2つが組み合わさっています。この研究結果はこのポジティブな効果が出ていると考えられますが、この2つの関係まではこの研究では明らかになりませんでした。
このようにマズローの欲求段階説一つとっても、様々な視点があります。ビジネス書などでは、マズローの欲求段階を公然の事実として扱っているものが多いのですが、この説一つとってもまだまだ研究の余地がありそうです。
この記事はThe British Psychological Societyの"We are happier if others are happy too"を参考に書きました。
関連記事:
マズローの欲求段階説
(文: SY)
マズローの欲求段階説を含めてモチベーションに関わることが概説された良著です。全ての管理職の方にオススメ。
2011年06月08日
左利きは天才が多い?
(c) taka|写真素材 PIXTA
以前書いた、”人は脳の10%しか有効に使っていない?、、、なわけない”という記事で、”脳は10%しか使ってない”という脳の10%神話について書きました。これと同様に、右脳派vs左脳派神話というのがあります。
この神話の一部に、左利きは天才が多い、というものがあります。「左利きは右脳の動きが活発なので芸術的な才能が高く天才が多い」と言われているものです。
オーストラリアのフリンダース大学のMike Nicholls教授が、オーストラリア、イギリス、アメリカで大規模な研究をしたところ、左利きは家族の他の右利きの兄弟よりも悪い、ことが分かりました。もちろん、その傾向があるといった程度のものでしょうが。
個人的には利き腕の差での優劣の差なんて存在しないと思っていたので驚きです。もちろん、右利きが多数であるため、競争的なスポーツでは左利きの人の方が様々なスポーツで有利になるとは思いますが。
また、Nicholls教授は、人は対象物の右側よりも左側により注意を払う傾向があると述べています。このような傾向は、車椅子が右に行く傾向があったり、アメフトのゴールキックが右に行く傾向があったりすることと関係があると思われます。
以下の動画はアメフトでのゴールキックが右に行くことを解説しているニュースの動画です。
ちなみにNicholls教授も左利きです。やっぱり、人は自分のことに興味があって研究テーマを選ぶのでしょうか…
この記事はMedicalXpressの"Discounting the 'lefty' myth"を参考に書きました。
(文: SY)
2011年05月09日
透明性の錯覚
(c) ちょあ|写真素材 PIXTA
実はそれほど見透かされていないのに、過度に他人に内面を見透かされていると思ってしまうのが透明性の錯覚です。
透明性の錯覚の具体的な例としては、自分が嘘をついたり演技をしたりしている時、自分が思っているほどには他人はその嘘や演技を見破っていないということです。このような実際よりも嘘を見抜かれやすいと思っているという傾向については、よく言われていることです。逆に、他人の嘘を本来よりもより見抜くことが出来ると思っているというバイアスもありますが、これは別の話です。
また、自分があがり症と思っている人は自分が緊張していたというのが相手に伝わっていると思いますが、自分が思っているほどには相手にはその緊張が伝わっていないということも、透明性の錯覚から説明することが出来ます。
人は主観的に物事を見ていますので、自分は自分の悪い点や気づかれたくないと思っている点が実際に他人が見ているよりも目立ってみえてしまうというのが背景にあると思います。
(文: SY)
2011年04月30日
名古屋の人はウインカー出さない、それは確証バイアス
(c) Wkun|写真素材 PIXTA
とある友人によく「名古屋の人はウインカー出さないから怖い」ということを言われます。実際にはどうなんでしょうか?インターネットでいろいろな県の掲示板を読んでいると、同様に「XX県はウインカーを出さないので注意」と書かれていました。
あれれ?、と思って調べてみると、調べた範囲ではどこの県でも「XX県の人はウインカーを出さない」と言われているようです。
これがいわゆる確証バイアスというヤツです。人は自分に都合の良い情報だけを選択して収集するというものです。つまり、「名古屋の人はウインカーを出さない」と信じていると、”ウインカーを出さない車”のみを記憶にとどめて、他の情報(ウインカーを出す大多数)は無視して、「やっぱり、名古屋の人はウインカーを出さないんだ」という信念が強化されるわけです。
今回の「名古屋の人がウインカーを出さない」という件では、以下の全領域をチェックしないといけないのですが、左上の”ウインカーを出さない名古屋の車”のみに着目してしまうわけです。
このように4つの領域を認識しないといけない場合もあれば、”名古屋でウインカーを出さない車と出している車”の2つの領域を認識しないといけない場合もあります。どちらにしろ、自分の信念に従うものよりも、むしろ信念に背くものに着目をすることが大事です。
(文: SY)
2011年04月15日
モンドセレクションと社会的証明
(c) Sra.Tommy|写真素材 PIXTA
皆さんもきっとモンドセレクションというのを聞いたことがあると思います。お菓子などのCMで「モンドセレクション金賞受賞」とか言ってますよね?
このモンドセレクションってどういうものなんでしょうか?Wikiによると、
モンドセレクション(Monde Selection)とは、食品分野を中心とした製品の技術的水準を審査するベルギー政府系の民間団体、またはそこから与えられる認証(この組織では賞と表記している)である。
〜
定められた基準を満たしさえすれば「金賞」が授与されるため、中小の食品メーカーがこぞって宣伝に使う目的で「金賞」を得ることから、「食品業界のディプロマミル」とも言われる。
※ディプロマミルとは、お金さえ払えば簡単に学位を授与する教育機関(大学や民間の教育機関)のこと。
といったように、お金さえ払えば金賞が簡単に取れる仕組みのもののようです。
それでいったい、どうしてモンドセレクションを取るのでしょうか?これはメーカーからすると、モンドセレクション金賞受賞と宣伝することで、より売れるようになるからです。一方、私たちは何故モンドセレクション金賞受賞の商品を買うのでしょうか?
これはお菓子というのが、商品のスペックがない感性的な商品だからというのがまず背景にあります。つまり、車のように馬力や燃費で商品を知ることができません。そのために商品の価値を他者の評価によって高めようとしているのです。
この社会的証明というのは人は他人が物事をどう見ているかということに影響を受けて判断をするというものです。「多くの人がいいと言っているから良い物だ」、「一番売れている物は、やっぱりいいと思ってしまう」ことです。
この社会的証明はとても強力なものです。敢えて社会的証明といった難しい言葉を使わなくても、普段の販売活動で行われていますよね。
「これが一番売れています」
「他の方もみんなそうおっしゃいますが、その上でこれを買われますよ」
「他の企業も、この方法を選択されますよ」
といったように、敢えて理由を説明しなくとも”多くの他のお客さんもそうしますから”をキラーワードにします。
モンドセレクションはお菓子メーカーでよく用いられる手法ですが、他の企業や個人でもモンドセレクションに代わる社会的証明はいろいろあります。個人の場合は嫌味にならない程度に、企業の場合はガンガンと、社会的証明をアピールすることが大事なんですよね。
(文: SY)
2011年04月08日
ミラーリング
(c) Yasu|写真素材 PIXTA
こちらが売り込みをかけている商談中に相手が腕組みをしたら、あなたはどうするのがいいでしょうか?
1.少し身を乗り出して熱心さをアピールする
2.こちらも腕組みをして相手の真似をする
3.相手の目をじっと見つめる
この答えのキーワードがミラーリングです。ミラーリングとは相手の仕草などをさりげなく真似することで、答えは2.こちらも腕組みをして相手の真似をするとなります。
心理学の実験によってもミラーリングは効果があると言われており、実際に交渉を行うという実験でミラーリングを行うと交渉の確率が上がったという結果が出ています。
なぜ、このような結果になるのでしょうか?一つの仮説としては「人は自分に似たものを好きになる傾向がある」ということがあります。ミラーリングで自分を真似されることで、知らないうちに相手を好きになってしまうんですね。
一方、このミラーリングについては一つの罠があります。それはバレると逆効果なことです。実際に、このミラーリングは様々な本にも書かれていますので「あ、この人ミラーリングしてる」と気づかれることがあります。そうすると「好意を得ようと敢えてやっているという意図」がマイナスに働きます。
バレない範囲で、ひっそりと使えばミラーリングは有効なテクニックです。でも、大げさなミラーリングは控えめに。
まとめ
・ミラーリングは相手の真似をすることです。相手に合わせて、腕を組んだり、脚を組んだり、同じ姿勢をしたりしましょう。
・ミラーリングは相手の好意を得られます。だから相手が身を乗り出したら、こっちも身を乗り出しときましょう。
・でも、バレバレのミラーリングは逆効果です。相手が腕を組んだらすぐ腕を組む、その後で相手が脚を組んだらすぐ脚を組むなんてのはリスキーです。
(文: SY)