2011年10月09日

男女は異性のどこを見る?

音楽と女性 - 写真素材
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エモリー大学のHeather Ruppとインディアナ大学のKim Wallen が、男女が異性や同性のどこを見るかを研究しました。

これは27人の学生を対象にした実験です。このうち13人が男性で14人が女性です。
カジュアルな服装のモデルの写真を、男女15枚づつ見せました。それをアイトラッキングしてどこを見ているかを計測しました。


この結果、女性が男性を見た場合は、顔、脚、肩をみます。見る回数でいけば、顔、肩、胸をよく見ます。男性が女性を見た場合は顔、肩、脚をみます。見る回数でいえば、顔、肩、胸、腰をよく見ます。

もちろん、男女共に写真の顔をかなりよく見ており、全時間の半分程度は顔を見ます

また、見る順番として、男性は顔の次に相手の胸を見て、女性は顔の次に相手の脚を見る傾向があります。

この結果は納得のできるものです。やはり、男性は女性の上半身をよく見ていて、女性は男性の全身をよく見ているということと解釈できますね。


この記事はBarking up the wrong treeの”Where do men and women look first when eyeing the opposite sex?”を参考にしました。

元の論文情報はこちら
Gender Differences for Specific Body Regions When Looking at Men and Women" from Journal of Nonverbal Behavior, Vol. 32, No. 2. (14 June 2008), pp. 67-78.


(文: SY)
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2011年10月07日

スポーツでノッテる?ノッテない?

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スポーツにおいて、”ノッテる”、”ノッテない”というのが本当にあるのか、それともバラツキを勝手に解釈しているだけなのかは難しい問題です。

この問題については、トマス・ギロビッチの研究が有名で、彼の書いた”人間、この信じやすきもの”という本にも載っています。この研究はバスケットボールのフリースローの結果について、1投目のフリースローの成功/不成功の結果は、次のフリースローの成功率と相関がないというものです。ギロビッチは非常に有名な心理学者でこの本も有名なため、この結果も広く知られています。そして、この結果は、”ノッテる”、”ノッテない”というのが幻想であることを示唆しています。

この研究が正しいのかどうかを、イェール大学のGur Yaariとイスラエルのエルサレム・ヘブライ大学の Shmuel Eisenmannが2005年から2010年のNBAの300,000回の以上のフリースローのデータを元に研究しました。


この新しい研究によると、よく知られたギロビッチの結果に反して、スポーツでは”ノッテる”、”ノッテない”ということが本当にあるようです。この研究の結果、1回目をミスした場合、2回目のフリースローの成功率が72-73%程度なのが、1回目を成功した場合、2回目のフリースローの成功率は78-80%程度になります。このように、1投目に成功すると、有意にフリースローの成功率が上がっているのです。


元のギロビッチの研究から25年経っています。ギロビッチの研究は、1シーズンの1チームのデータ、および2シーズンの別の1チームのデータを元にしていました。Yaariらは、より大規模なデータを使うことで以前の研究の結果の誤りを示したのです。


元の論文情報はこちら。
Gur Yaari, Shmuel Eisenmann. The Hot (Invisible?) Hand: Can Time Sequence Patterns of Success/Failure in Sports Be Modeled as Repeated Random Independent Trials? PLoS ONE, 2011; 6 (10): e24532 DOI: 10.1371/journal.pone.0024532

この記事は以下を参考に書きました。
Yale University. "Athletes' winning streaks may not be all in our -- or their -- heads." ScienceDaily, 5 Oct. 2011. Web. 7 Oct. 2011.

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
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(文: SY)

気持ちをリセットする簡単な方法

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ミシガン大学のSpike LeeとNorbert Schwarzの研究は手を洗うことの心理学的な意味についてのものです。

手を洗うことは健康にとって大事なことはもちろんですが、気持ちにとっても様々な意味を持っています。

人は手を洗うことで、最後に行った様々なことを”リセット”するようです。例えば、ギャンブルで負けが込んでいる人は、一度手を洗うと”悪い流れが消えた”と感じるのか、再び賭け金を上げます

さらに、自分が悪い行いをした後でも、手を洗うことで罪悪感が減ります。逆に、自分がいい気持ちでいる時でも、手を洗うことでいい気持ちが減ってしまうのです。つまり、手を洗うことで、気持ちが”リセット”してしまうのです。


また、Leeらの実験では、2つのフルーツジャムのうちどちらかを選んで、その後でどちらのジャムが良かったかを聞くというものがあります。人は、自分が選択した後に、それを正当化する傾向があります。しかし、選択をした後に手を洗うことで、この正当化の度合いを半分程度に減らすことができます。つまり、手を洗うことで人は冷静になって、自分の決定をより客観的に見ることが出来るのです。


このように手を洗うことには様々な効果がありますが、全て自分の気持をニュートラルに近づけるというものです。もちろん、手を洗うだけで全てが解決するわけではありませんが、落ち着くために手を洗うというのは実際的に意味があるのです。

これまで、私は仕事をしている昼間に眠気覚ましに手を洗うというのはよくしていましたが、眠気覚ましだけでなく冷静になるために手を洗うというのもアリなんですね。


元の論文はこちら。
S. W. S. Lee, N. Schwarz. Wiping the Slate Clean: Psychological Consequences of Physical Cleansing. Current Directions in Psychological Science, 2011; 20 (5): 307 DOI: 10.1177/0963721411422694

この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "You can wash away your troubles, with soap." ScienceDaily, 5 Oct. 2011. Web. 7 Oct. 2011.


(文: SY)

2011年10月06日

夫婦別姓?夫婦同姓?

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日本では一般的に結婚をすると妻が夫の姓を名乗るということが行われています。これは日本だけでなく、世界中の様々な国で行われている習慣です。日本では女性が姓が変わっても、仕事の上や会社の中では旧姓を名乗っていたりといったことがあります。

それでは、夫婦別姓が認められている海外では別姓を名乗るか、夫の姓を名乗るかでどのような差があるのでしょうか?

アメリカの研究では、夫の姓を名乗っている女性は、知性が低くて、野心が少なくて、より短い時間しか働かず、家族により集中しているとみなされます。それでは夫の姓を名乗るメリットはなんでしょうか?これは、夫や周りに対して”結婚に対してよりコミットメントをしている”証となります。このことは雇用者側に対しては逆に働き、良い労働者とはみなされないことを意味します。

ちなみに、学歴が高い人ほど夫の姓を名乗らない(夫婦別姓)の傾向があります。修士卒はより低い学歴の人の2.8倍、博士号取得者は、学部卒の人の9.8倍、別姓を名乗ります。

またオランダの研究では、夫婦同姓の場合子供が平均2.2人なのに対して、夫婦別姓の女性は、子供が平均1.9人となります。また、週の平均労働時間も同姓の場合は22.4時間に対して、別姓の場合は28.3時間となります。もちろん、その分給料も違っており、夫の姓を名乗っている人が週給が960ユーロに対して、夫婦同姓の場合は1156ユーロとなります。

この週給の差は労働時間の差にも見えます。しかし、ある実験によると、候補者が夫の姓を名乗っているか夫婦別姓かによって、雇用者がオファーする金額が変わります。夫婦別姓の場合は、月給で861ユーロも多い金額がオファーされます。


夫の姓を名乗るか夫婦別姓かというのは、倫理や法制度の問題でもありますが、その結果については心理学の対象でもあります。


この記事はBig thinkの"Are women paying the price for taking their husband's name?"を参考に書きました。

元の論文はこちら
Gooding, Gretchen E. and Rose M. Kreider (2010). “Women’s Marital Naming Choices in a Nationally Representative Sample.” Journal of Family Issues 31(5): p.p. 681-701.

** Noordewier, Marret K.; Femke van Horen; Kirsten I. Ruys and Diederik A. Stapel (2010). “What's in a Name? 361.708 Euros: The Effects of Marital Name Change.” Basic and Applied Social Psychology 32(1): p.p. 17-25.


(文: SY)
posted by さいころ at 12:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 恋愛・男女関係

2011年10月05日

表情を読んでる?空気を読んでる?

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ノースイースタン大学/マサチューセッツ総合病院/ハーバード医療学校のLisa Feldman Barrettらの研究は、人が顔の表情を読む時には、状況に依存していると述べています。

表情は生得的なもので民族や文化などの影響を受けないなどと言われています。たしかにポール・エクマンの本を読んでいると、そのような印象を強く持ちます。しかし、Barrettらによると、人の表情を読む時にはその顔だけでなく周りの状況などの影響を強く受けているのです。

認知症や一部の病気の人は、他人の表情を読むのが上手くないため、実際の人の表情を読むことができても、漫画のような一枚の絵では前後の状況がないために表情を読むことが難しいそうです。

また、表情を読み取る時にも文化の差があります。西洋人は表情自体から感情を読み取る傾向がありますが、日本人は表情自体に加えて周りの状況からも相手の感情を読み取る傾向がより強いのです。


以前、さいころセミナーで”嘘の心理学”というテーマでやった時に、人の表情から嘘を見抜くことがとても難しいという話をしました。しかし、日常生活では表情から相手の嘘を見抜くことがあります。これは顔の表情からよりも、周りの状況や話の内容を総合して、嘘を読み取ったと考えるべきかもしれません。


このように人が表情を読み取る際には、顔自体だけでなく前後の状況から相手の表情を読み取っているのです。逆にいえば「相手の表情が悲しそうだった」と考える際には、本当に悲しそうな表情をしていたのか、周りの状況からして悲しそうに見えたのかをキチンと把握しないといけないということです。


この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "In reading facial emotion, context is everything." ScienceDaily, 3 Oct. 2011. Web. 5 Oct. 2011.

元の論文情報はこちら。
L Barrett, K Lindquist, M Gendron. Language as context for the perception of emotion. Trends in Cognitive Sciences, 2007; 11 (8): 327 DOI: 10.1016/j.tics.2007.06.003

顔は口ほどに嘘をつく
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(文: SY)

2011年10月04日

功利主義者はイカれてる?

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去年、ハーバード白熱教室というテレビ番組や、その活字版である「これからの正義の話をしよう」という本がかなり売れました。ここでマイケル・サンデル教授は、歴史的に道徳観を、功利主義、自由主義、美徳による道徳の3つに分けて、そこから自らの主張するコミュニタリアニズムを語っていました。功利主義というのは”最大多数の最大幸福”という言葉で知られるもので、社会全体の効用を考えるというものです。

コロンビア大学のDaniel Bartelsとコーネル大学のDavid Pizarroの研究は、彼らは208人の大学生を対象として、道徳的な観点と性格特性に関するものです。

この研究によると、功利主義的な考え方をする人は、サイコパス的で、目的のためなら非人道的にもなるようなマキャベリ的特質を持ち、人生の意味を感じない、という傾向が普通の人よりも強いことが分かりました。


多くの道徳的ジレンマに対して、功利主義的な観点から良い解決が出来ることが知られていますが、良い解決ができる人が良い性格特性を持つわけではないということです。


論文情報はこちら


この記事は以下を参考に書きました。
Columbia Business School. "Antisocial personality traits predict utilitarian responses to moral dilemmas." ScienceDaily, 1 Oct. 2011. Web. 4 Oct. 2011.

(文: SY)
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2011年10月03日

男だって協調性がある!

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女性は男性よりも、周りと協調することが上手いと言われています。たしかに私たちの生活を考えると、女性の方が周りの雰囲気に合わせることが上手い気がします。しかし、この直感は正しいのでしょうか?

シンガポールマネージメント大学とオランダのアムステルダム自由大学の両方に属するDaniel Ballietらの研究は、過去50年の社会的ジレンマについての272の研究を対象としたメタ分析です。メタ分析というのは、これまでに行われた様々な研究の結果を集めてさらに精度を高めた研究です。このメタ分析の対象はアメリカ、オランダ、イギリス、日本を中心とした18ヶ国のもので、延べ31,642人を対象としています。


ちなみに社会的ジレンマというのは、囚人のゲームとして知られているような状況です。囚人のゲームでは、二人が黙秘すれば二人とも解放される、片方が自白してもう一方が自白すれば自白した人はより軽い刑で黙秘した人は重罪、二人とも自白したら普通の罪になる、といったものです。

この囚人のジレンマのような社会的ジレンマの状況は、個人の利益と社会の利益のどちらを重視するかといった問題といえ、通常の生活においてもよくある状況です。例えば、個人的には残業したくないけど残業をすれば、会社にとっては利益になるといった状況や、原始時代においては猛獣を狩る時に誰が先陣になるかといった状況になります。


この研究では、社会的ジレンマの状況では、男性も女性と同じくらい協調的な行動をすることが分かりました。さらに、男性は相手が男性の場合により協調的になり女性も相手が男性の場合により協調的になることが分かりました。

この研究では、この男性は男性と、女性も男性とより協調する理由を進化心理学的に説明しています。昔は、男性は狩猟や戦いのために男性と協調する必要がありました。一方、女性は多くの場合は男性を取り合うという点で他の女性が敵になり、男性は味方になります。また原始的社会では女性は成人すると他の部族に行くことが多く、女性は部族内の他の女性とは血縁でないため協調しないということになります。

この理由付けが正しいかどうかはともかくとして、研究の結果は意外なものだと思います。

一般的には”女性の方が男性よりも協調的である”と言われていますが、実際には違うようですね。私も人あたりの柔らかさやコミュニケーションスタイルと協調性を混同していたようです。


この記事は以下の記事を参考に書きました。
American Psychological Association. "Men and women cooperate equally for the common good, study finds." ScienceDaily, 22 Sep. 2011. Web. 3 Oct. 2011.

元の論文はこちら。
Daniel Balliet, Norman P. Li, Shane J. Macfarlan, Mark Van Vugt. Sex differences in cooperation: A meta-analytic review of social dilemmas.. Psychological Bulletin, 2011; DOI: 10.1037/a0025354


(文: SY)

魅力的な女性は、全てハイスペックな男性を探す

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女性と男性は、パートナーに対して何を求めているのでしょうか?相手に求める4つの面を以下に挙げてみます。

・良い遺伝子(外見の良さや頭の良さ)
・資産や高い収入
・パートナーとして適切かどうか?(子供好きか?家族に優しいか?家事はするか?)
・忠誠心や献身

テキサス大学のDavid Bussらの研究によると、女性は自分の外見的な魅力が”点数が高い”と思っている場合は、これらの4つの全てについて高い点数の男性を求めます。一方、自分の点数がそこそこや低いと思っている女性は、これらのうち重視する面を決めて、残りの面では妥協します。

一般的に言われるように10点の人は10点の人と付き合い、6点の人は6点の人と付き合う傾向があります。そして、6点の女性は全ての面で6点の男性でなく、自分の重視する面で8点や10点で他の面では4点や5点の男性を探します。そして、外見的な魅力が10点と思っている女性は、すべての面で9点や10点の男性を探すようです。


ちなみに男性の場合は、自分の外見的な魅力が”点数が高い”と思っている場合でもすべての面で高い点を求めるわけではないようです。これは、男性は、外見よりも社会的な面をより求められるからかもしれません。

皆さんの周りにも、「見た目も学歴も収入も高い人しか相手にしない」と言って苦笑を誘っている美人な女性がいるんじゃないでしょうか?


この記事は以下を参考に書きました。
University of Texas at Austin. "Do Attractive Women Want It All?." ScienceDaily, 24 Mar. 2008. Web. 3 Oct. 2011.

元の論文はこちら


(文: SY)
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2011年10月02日

服従実験


今年はスタンレー・ミルグラムの服従実験の50周年記念だそうです。服従実験はアイヒマン実験とも呼ばれる実験で、倫理的な(普通の)人でも状況次第では人を殺してしまうことを示したものです。


今日はこの実験を簡単にご紹介いたします。

この実験は被験者と実験を進行する実験者が同じ部屋にいて、別の部屋の生徒の学習をチェックします。生徒が学習を間違えると、被験者は電撃機械を使って生徒に罰を与えます。なおこの時、問題を間違えると電撃の電圧を上げていきます

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しばらくすると、生徒はインターフォン越しに「やめてー」などと言ってきます。一方、同時に実験者からは「続けてください」と言われます。被験者はここで実験を止めてしまうこともできますが、多くの人は電撃ボタンを押します

服従実験.003.jpg

さらに続けると、電圧を危険と書かれたレベルにします。そして、生徒はドアなどを叩きながら、「耐えられないー」といったように中止を訴えます。

服従実験.004.jpg

ここで被験者は「こんな実験は意味がない」、「こんな実験は非倫理的だ」と言って止めることもできますが多くの人はそのまま実験を続けていきます。最大の450ボルトでも電撃ボタンを押した人が40人中25人にもなりました。

服従実験.005.jpg

この結果は、人は良心によって実験を止めるよりも、権威に服従して非人道的なことでも続けてしまうことを意味しています。この実験は人の弱さと、場の空気の強さを示したとも言えます。人は様々なことから自由ではないのです。


この実験についてはWikiの"ミルグラム実験"にも記載されています。

ちなみに、以前”スタンレー・ミルグラム『服従の心理』”という記事で本の書評を書きました。

以下の本では詳細が書かれています。また、この実験には様々なバリエーションがありますが、それらも載っており非常におもしろいです。心理学好きもそうでない方にもオススメです。

服従の心理
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(文: SY)

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2011年09月30日

心理学実験の”今そこにある未来”

スマフォン スマホ スマートホン  - 写真素材
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フランスのマルセイユ大学のStephane Dufauらの研究は、"Science XL"というiPhoneアプリを使ったものです。この実験自体は、言葉と反応速度を調べる認知心理学実験ですが。この実験をスマートフォンでやっているところが画期的です。

この実験は3ヶ月間で5000人が参加しましたが、これをスマートフォンを使わずに研究室に来てもらってやろうとすると1年がかりです。また、交通費や謝礼を出すことを考えるとかなりのコストになってしまいます。これをスマートフォンを使うことで短期間・低コストで行うことが出来ました。

これまでもWebを使ってアンケートをするといったことはありましたが、Webを使った場合は反応速度などを測ることができませんでした(精度が悪すぎる)。スマートフォンを使うことで、反応速度を測ることができるようになり、より高度な実験を行うことができるようになりました。

現在はスマートフォンの保持者ということで被験者の属性が制限されてしまいますが、今後スマートフォンがさらに普及していくことでこのようなマイナス面も減っていき、心理学実験のプラットフォームとしてのスマートフォンの役割がどんどん大きくなっていくことでしょう。

このことは、分野にもよりますが心理学畑の学生にとっても、アプリ開発能力が大事になっていくことを意味するかもしれません。実際に自分で開発を出来ないまでも、どういったことが出来るのかを知っておくことや、すぐに開発できそうな友達を持っておくことが大事です。

この記事は以下を参考に書きました。
University of Royal Holloway London. "Smartphones revolutionize psychological experiments." ScienceDaily, 29 Sep. 2011. Web. 30 Sep. 2011.

元の論文はこちら。
Stephane Dufau, Jon Andoni Duñabeitia, Carmen Moret-Tatay, Aileen McGonigal, David Peeters, F.-Xavier Alario, David A. Balota, Marc Brysbaert, Manuel Carreiras, Ludovic Ferrand, Maria Ktori, Manuel Perea, Kathy Rastle, Olivier Sasburg, Melvin J. Yap, Johannes C. Ziegler, Jonathan Grainger. Smart Phone, Smart Science: How the Use of Smartphones Can Revolutionize Research in Cognitive Science. PLoS ONE, 2011; 6 (9): e24974 DOI: 10.1371/journal.pone.0024974

(文: SY)
posted by さいころ at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | その他